はるはかなの元に近づき、少し沈黙が続いた後、静かに声をかける。
「かな、何かあったの?」
かなは少しびっくりした様子で、はるに目を向けた。だが、すぐにまた目をそらす。
「別に、何もないよ。」
「でも、なんか…元気ないよね。無理しなくていいんだよ?」
はるは、かなの様子を気にしながら近づく。しかし、かなは腕を抱え込み、目をそらし続ける。
そのとき、はるの目にかなの袖が少しめくれて、肌に隠れていた痣が見えた。痛々しい青紫のアザが、かなの腕に広がっている。
「かな、そのアザ…?」
はるの声が少し震える。かなはそれを見て、驚いたように目を見開く。
「…気にしないで。」
「でも、これ…誰かに?」
かなは急に立ち上がろうとしたが、はるがすぐに手を伸ばして彼女を引き寄せた。
「待って。無理に隠さなくてもいいんだよ。」
その瞬間、かなはもう我慢できなかったのか、静かに涙をこぼし始めた。
「…やっぱり、いろいろあってさ。」
はるは驚きつつも、優しくかなを抱きしめる。
「大丈夫、かな。無理しなくていいんだよ。」
かなは涙を流しながら、はるの胸に顔をうずめる。はるは、彼女が抱えている痛みを少しでも軽くできればと思い、そっと背中を撫でる。
「今は私がいるから、怖くないよ。何も心配しなくていいんだよ。」
かなは少しずつ、はるの温かさに包まれていく。涙が止まり、しばらくの間、二人は静かにその瞬間を共有した。
コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!