テラーノベル
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黒服「で?何が有ったんです?」
先生「幼少期は省いて良い?長いし特に目立った事もないし…元々記憶力弱いから覚えてないんだよなぁ、強いて言えばご飯があまり食べれなかったってことぐらいだから」
黒服「クックック、ならば一番覚えてる事を教えて貰いましょうか」
先生「嫌な記憶だけどやっぱり自分が死んだ時が一番残るよね」
黒服「クックックやはりそうですか…って、先生は一度死んでらっしゃるんですね…」
先生「う~ん死んだかどうか怪しいんだよね…でも爆撃された時の痛みとか記憶は残ってるから多分死んだはず…」
黒服「その記憶が残っているのは少々残酷ですねぇ」
先生「まぁ、そうだね…てか驚いたのが死んでも数秒間意識が有るんだよ!?びっくりしたよね」
先生は明るく言っているが目には涙が浮かんでいる。それは酒の力かそれとも生前からの癖なのか…
先生「爆撃されたときに体が吹き飛んだんだよ…頭は無事だったけど仲間だったものと自分の身体が無数の肉片になるのを見るのは辛かったな…」
黒服「そうでしたか…」
先生は凄惨な死に方をしたようだ。やはり戦争と言うものは恐ろしい…
黒服「私はその恐ろしい時代では生きてませんから…知ったような口は言えませんね」
先生「そうだね…でも一番恐ろしかったのがさ…」
先生が言葉を詰まらせているそんなに辛いことなのだろうか…
先生「あんなに信じた神は居なかった!天国に行くとか神様に会うとかじゃなくて気付けばこの世界に居た…あんなに教え子達に神様は居るやら信じることで救われるとか、そんなホラ話を話してたことが一番最悪だ…」
黒服「…それは御愁傷様でした」
先生も酒が大分回ってきたのだろう。喋り方が感情的に成っている…
先生「あぁ、あの子達は無事に生きられたのかな?頼むから長生きしていて欲しい…見届けれなくてごめん…ごめんなぁ…」
先生は泣き上戸なのだろうか?喋り方がグチャグチャで解りにくい…
先生「そう言えばさ!黒服は何年生まれなの?何で死んでここに来たの?」
泣いていたと思えば急に笑顔になる…馴れるのは苦労が要りそうだ…
黒服「いいえ、私は死んで此処に来たわけでは有りませんよ…いや、どうでしょう死んだ可能性も有りますが怪しいところですね」
先生「はぁ!?御前は死んでねぇのかよ!私は死んだのに…まぁ死なないに越したことはないか…」
この人は怒り上戸も持っているのか…酒を飲むのは控えた方がよろしいタイプの人間だ…
黒服「では、先生も話して頂いたことですし…私も話しますか」
先生「よ!待ってましたぁ!」
黒服「感情の起伏が激しいですねぇ…」
先生「へへへ」
黒服「褒めてないですよ…取り敢えずお酒を追加しますね?」
先生「はいは~い!」
黒服「では、改めまして…私の過去を話していきましょうかね…」
先生「おぉ!」
黒服「小さい頃はダイジェストで行きましょう」
先生「小さい頃はどうだったのよ?」
黒服「小さい頃は至って普通の子供でした…多くはないですが特に仲の良い友達と公園へ行って遊んだりセミ等の昆虫を採っていましたね…」
先生「おぉ私の世代では考えられない日常だね」
黒服「先生は時代が時代ですからね」
先生「そうだねぇ…私の憧れた日常だ、まぁそんなことは良いから次だよ次!」
先生は酔いが少し覚めたのだろう…喋り方が通常に近くなっていた
黒服「少し飛びますね…私が社会人になった頃です。私は就活をしていました…中々良い大学を卒業出来ました…ですが社会は甘くはありませんでした。私は俗に言う就活氷河期と言う時期の真っ只中でした」
先生「就活氷河期?なにそれ?」
黒服「就活氷河期というのは仕事が貰えず、クビになったり就職出来なかったり色々と大変な時期とだけ覚えて頂ければ宜しいですよ」
先生「あー世界恐慌的なやつ?」
黒服「そうですね…先生が体験したものだとそれが一番近いかも知れませんね」
先生「うわー未来も大変なんだねぇ」
黒服「そうですね。しかも似たようなことが何回もありましたから…」
先生「げー、良く生き抜いたねそんな生活」
黒服「ですが先生、とても儲けて金が腐るほど有るなんて時代も有りましたよ」
先生「なにそれ羨ましい…」
黒服「まぁ色々と有りましたがそんな時代も終わりを告げ、なんやかんやあって私は結婚しました…」
先生「そのなんやかんやを話してよ!」
黒服「特に何もありませんよ?だってお金貯めて指輪と言葉を贈っただけですから」
先生「ふーん?黒服がこんなにまともなやり方で告白したとは…」
黒服「黒服がとは何ですか…私はマトモですよ」
先生「まぁ良いや…じゃあ続きを話してよ」
黒服「えっと…何処からでしたっけ?」
駄目だ…私も流石に頭が働かなくなってきた
先生「う~んと結婚したって言ってたよ!」
本当にこの人は喋り方がコロコロと変わる…多重人格みたいだ
黒服「そうですね…そこからでしたね」
黒服「まぁ色々と大変な事は有りましたが無事に娘が産まれました」
先生「おぉ、それはおめでたい」
黒服「えぇ、可愛い子ですよ…美しい妻に似て美しくも可愛らしい自慢の娘でした…」
先生「ん?でした?ですじゃなくて?」
黒服「えぇ、ここからが今私がこんな見た目な理由と繋がっていきます」
先生「え、なんか凄く重そうな話だね」
黒服「私は仕事から帰るのが遅くなり帰った時には家の電気が消えていて恐らく娘達は寝ているのだろうと思い、冷蔵庫に入っていたご飯を食べ、風呂に入り娘達の寝ている寝室に行きました」
黒服「そこには娘達が寝ていました…いつも通り、一つの異物を除いて…」
さっきから相槌が来ない、先生は聞いているのだろうか…そういえば海外では話に相槌を打つと話の邪魔されていると思うらしい…それだろうか?
黒服「そこには何と形容したら良いのでしょうか…まるでブラックホールの様な…冒涜的な見た目でした」
黒服「その姿に唖然としている内に物体が発するオーラは纏わりつく様に娘と妻に近寄って行きました」
黒服「その時妻が起きてしまい私に「お帰りなさい貴方」と言って微笑んでくれました…この時は目の前に居る異質な存在を忘れられました…」
黒服「ですが異質な存在が再び私の目に写り混みました…異質な存在は起きた妻からは引いたものの眠っている娘には未だ魔の手が延び続けていました」
黒服「私は咄嗟に手を伸ばし娘に覆い被さりました」
私は娘を守れた、護れたんだ…
黒服「結果としては娘を護れましたが、触れられた直後にはこんな見た目に成っていました…」
黒服「これが私の人としての最後の記憶です」
先生「終わった?」
黒服「えぇ、これで終わりです」
黒服「ですが先生は何故黙っていたんですか?」
私の推察があっているのなら海外のマナーの筈だ
先生「そりゃあ、人の話は黙って聞くもんだよ!当たり前でしょぉ?」
先生「そっか…黒服も元は幸せな家庭を築いていたんだね」
黒服「えぇ、ですが可愛い娘と妻に会えないのは辛いですね」
先生「ところで娘の名前って何?」
コメント
6件
最後の最後でまさかの展開でビックリしました。
黒服ユウカ説を引用したのか、なかなかにいいじゃないか。 神様だな
最後の早瀬ユウカでびっくりした……なるほどこうして繋がるんですね……