先輩とオレだけの秘密

そこからオレと寧々は協力し、情報を集め続けた。まずは神高内を当たっていく。そして次に他の学校へと話を進めていった。学校が終わったらすぐ手当り次第聞き続けた。

そして1ヶ月経つ頃だった。

🌟｢なぁ、最近学校で先輩と会ったか？｣

🤖｢全く。完全に避けられてる。｣

神高内は全てまわったつもりだ。だが、先輩とは一切出会わない。これは徹底的にやられてるな、。あと少し…、

🤖｢ｯｯ、司、あれはｯｯ｣

🌟｢どうした、寧々…って、！？｣

見間違えるはずがない。オレが1度たりとも心配しなかった夜は無い。あぁ、神代先輩だ。

🤖｢類ｯｯ、大丈夫なのｯｯ！？！？｣

🌟｢先輩ｯｯ、｣

この前あった時よりも痩せ細り、痣の数も増えている。目のクマもすごいし何より足がもたついている。腹立たしい。早く、助けてやりたい。

🌟｢な、何があったんですかｯｯ！そんなに痩せてしまってｯｯ。それに話ですらｯｯ、｣

あまりにも腹立たしく、言葉が荒くなってしまう。まずいと思い口を塞いだが、

🎈｢……さい、｣

🌟｢え？｣

🎈｢うるさいって言ってるんだｯｯｯｯ、｣

彼の耳には一切声が届いてなかった。

🎈｢もう…関わらないでくれｯｯｯｯ｣

🤖｢る…い、？？｣

あまりの叫びに後ろによろめく。一体全体、この1ヶ月間何があったというのか。ボロボロにされ心もズタズタにされ見ていられなかった。それはきっと寧々もそうだろう。

🎈｢はぁｯｯ、はぁｯｯ、お願い…だから｣

この苦しそうな顔。オレたちが話しかければ話しかけるだけこの顔はどんどん歪んでいく。今やっと、しっぽを掴めたんだ。これ以上、先輩を苦しめないためにも

🌟｢…分かりました｣

オレは鬼にでも何でもなってやる。もう、苦しむことが減るように。ここで関係を一旦切るべきだ。

🎈｢え、？｣

🌟｢関わって欲しくないんなら関わりません。｣

心が痛い。こんなこと本当は言いたくない。だが、これで傷つく回数が減るのならｯｯ、

🤖｢ちょっとｯｯ、司ｯｯ。アンタ何言ってｯｯ。｣

🌟｢こんなに嫌がってるんだったら無理に関わる必要はないだろ。｣

🤖｢ｯｯ、｣

🌟｢寧々、行くぞ｣

すまないな、寧々。先輩の泣いた顔なんて見たくない。見てしまえば今やった事が全て否定される気分だった。

🎈｢ま…っ｣

🌟｢…最低です、｣

🎈｢ｯｯｯｯｯｯｯｯ、｣

神代先輩はどんな顔してた？最低だ？オレの方が何十倍も何百倍も最低だろｯｯ、。こんなことでしか、支えることが出来ない。何が助けたいだ。何が頼って欲しいだ。馬鹿みたいじゃないか。

🤖｢司ｯｯ、、｣

🌟｢すまない…オレも…こんなことしたくなかったんだ、。だが、これで先輩が傷つく回数が減るのなら何だってする、｣

🤖｢……、｣

🌟｢言ってしまったことは取り消せない。心を鬼にしたのに、心が痛くて仕方ないんだ。なんなんだ……このいたみ…は、｣

自然と涙が流れていた。痛くて痛くて仕方ない。自分の無力さを痛感した。

---

🤖｢大丈夫…なの？｣

放課後。寧々の心当たりがある人物に話を聞くことにした。今のオレはメンタルボロボロで倒れそうだった。

🤖｢どうする？明日にする？｣

🌟｢いや、ダメだ、。先輩も戦ってるんだ。明日に先延ばしにすれば苦痛がどんどん先延ばしになってしまうｯｯ、｣

早く根を断ち切るんだ。

深呼吸し、寧々が予め呼んでいた人物がいる教室に入る。ここの教室は確か3年のクラスだったはず。

🤖｢ねぇ、餅田先輩。｣

｢ﾋﾞｸｯ、な、なにかな。草薙さん。｣

餅田？誰だそれ。

🤖｢類のクラスの餅田千鶴先輩。ね？｣

｢は、はひｯｯ、｣

あぁ、同じクラスの。てか、こんなショーで言う裏方役みたいなやつがなんの関係があるだ？

🌟｢寧々、心当たりというのは…？｣

🤖｢…餅田先輩、あの日廊下を歩いた時聞いてしまったんですが｣

｢な、何の話かなぁ、｣

誰が見ようとすごい焦りよう。いや、分かりやすな…。

🤖｢しらばっくれる気？｣

｢いやいや、ぼく…何も言ってないし…？｣

🌟｢おい、話せ｣

先輩だろうと1個だろうと関係ない。コイツが関わっていることは分かった。

｢ｯｯ、お前たち神代の仲間か？｣

🤖｢仲間っていうより身内っていうか｣

🌟｢んー、大切な人だな！｣

｢ふーん、ならここで手を引いた方がいいぞ。アイツの幸せを願うならな！｣

🌟｢は？何を言う ｣

｢ひ、怯まないからなｯｯ！そ、そんなGlareだしたところで…｣

神代先輩の幸せ？？

🤖｢言わなくても別にいいけど、全部スマホに残ってるから。｣

｢は、？｣

🌟｢ちなみに体も縄で括り付けられてるからな〜♪。白状するまで一生このままだ。｣

｢ｯｯ！？いいのかお前達ｯｯ！神代がどうなってもｯｯ！！｣

🌟｢何を言う。見た感じ、お前はあまり関与してないように見えるが？？｣

｢……っ、｣

🌟｢図星か｣

やっとここまできた。廊下での証言、そして先輩の過去の関わった人達。情報を集めるのは骨が折れた。

🤖｢はぁ、何も言わないんならこの動画、全校生徒の前で流すけど？？｣

｢なｯｯ、｣

🌟｢先輩だろうと関係ない。分かってるんだろうなぁあああ？｣

｢ひぃｯｯｯｯｯｯｯｯｯｯ｣

少し手荒なまねになるし、そもそも盗聴・脅迫は立派な犯罪だ。だが、情報集めにはこれが最適だった。残りの1ピースは…。

｢わ、分かった。分かったからｯｯ。｣

🤖｢最初からそうすればいいのに。あ、でも嘘ついても全校に流すから。｣

｢…お前らほんとに後輩か？？｣

🌟｢お前のこと先輩と思ったことなんかないぞ？｣

それよりも、まさか寧々が盗聴していたとは。心当たりとはそいうことか。

｢…俺が勉強すると言って空き教室に呼び出したんだ。金と引き換えに、。｣

🤖｢どのくらい？｣

｢………5万…。｣

🌟｢ご、5万！？呼び出すのにか！？｣

｢あの人はここの学校の人じゃない。どのくらい知ってるか分からねぇが…｣

言葉が止まり出す。呼び出すのにそんな大金、どこぞの金持ちだ？？？

｢…あまり関わらない方が良い。｣

🤖｢は？なにそれ、類をあんな酷い目に合わせといて…ふざけないで。｣

｢神代には申し訳ないと思ってる。だが、あの人は…いや、アイツは…マジで危ない。｣

🌟｢危ない？？｣

｢む、むしろ、見つかってよかったんじゃねぇの？か、神代、そいつとパートナーだったんだろ？？わざわざ、迎えに来るとか幸せじゃんか、、｣

こいつ、本当に言ってるのか？？聞いて、思わず呆れてしまった。何も知らない。コイツはただお金を渡され動いただけだ。

🤖｢そいつが極悪な殺人犯でも？｣

｢は？なんだそれ、脅しかなにかか？｣

🌟｢ほんとに何も知らないんだな、｣

｢いや、俺は闇バイトかなんかで見つけたわけで…。特定の人物を呼んで欲しいって言われたんだ。初めは疑ったさ。でも、こんな大金、高校生じゃ手が入らないだろ？？｣

🤖｢その人について詳しく知らないの？｣

｢神代の前の学校で同じと聞いた。古い中で愛してたパートナー？だとか。良くは分からないが。その時の目は…本当にやばかったんだ。｣

急に相手が震え出す。その震えは尋常ではない。

🌟｢大丈夫か？｣

｢何か壊れ物を扱うような、歪んだ瞳をしていた。あれだ、最近流行ってるメンヘラ？とかみたいなやつ。｣

🤖｢ｯｯ、これは…まずいわね、。｣

｢あ、あと財閥の子供とか言ってたぞ。そらこんな大金を高校生が渡すぐらいだ。大金持ちなんだろうな｣

🌟｢他は？｣

｢あ、名前。あんまり覚えてねぇけど。｣

🌟｢寺田…｣

｢そう！寺田…瑠衣奈だったな｣

あぁ、やっぱりか。相当まずいことになった。変な冷や汗をかく。

🤖｢アンタ…何やってんのか分かってるの！？、人を1人殺そうとしてるのよｯｯ！｣

🌟｢寧々、｣

🤖｢アンタがソイツに殺されればいいのにｯｯ！｣

🌟｢寧々ｯｯｯｯ！！｣

🤖｢ｯｯ、どうして、どうして類がｯｯｯｯ、 ｣

｢わ、悪いとは思ってる。だが、俺も殺されると思ったんだ。あの目はガチだった。｣

悪いとは思ってる？何故かそこが引っかかって腹が立ってくる。

｢だ、だから、仕方ないだろ？殺されそうになったんだ。あ、相手もほら、神代探して欲しかったしさ、｣

🌟｢……｣

｢な、必要な犠牲っていうか、｣

あぁ、何を言ってもコイツは聞かないだろうな。気持ちがむしゃくしゃしてオレは殴りかかっていた。

｢は、｣

🌟｢何が”必要な犠牲”だ。お前は友達よりも自身をとった。それも金でほいほいとな。 ｣

｢や、や、やめてくれ、｣

🌟｢やめてくれ？何を言う。お前も神代先輩と同じ痛みを味わうんだ。痩せこけて全身痣だらけ。一生続く痛みと共に生きてくんだ。｣

｢な、一生だなんて、。か、神代の痛みなんかすぐ終わるだろ、。な、殴られてるだけじゃないか。｣

🌟｢ﾁｯｯｯ｣

腹立たしい。腹立たしい。なぜこんなクズみたいなやつが何も起こらずに生きて、神代先輩みたいに純粋な人が生きづらくなるんだよ。おかしいだろ、この世界は。

🌟｢本当にお前は何も分かってないんだな。お前にとって殴られる痛みは一瞬かもしれない。だがな、人によってはトラウマになるレベルでもあるんだぞ？ましてや、相手は殺人犯。せんぱ〜い？言ってる事分かります？｣

｢ひｯｯｯｯｯｯｯｯ、｣

狂ってるのはコイツかそれともオレか。いーや、狂ってるのはこの世界だろうな。オレは無我夢中で拳を振り下ろした。