テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
びび
1,528
#山中柔太朗
Freesia
6,081
透過
2,689
リクエストありがとうございます…!
今回も若干文章量多めかもです、気をつけます、すみません…!!!
「太智、この患者さんのバイタルチェック終わったら休憩入りな」
ナースステーションのPC前。
デスクでカルテを入力していた仁人が、通りかかった太智に声をかける。
「あ、吉田さん!了解〜!」
明るく返事をする太智。
しかし、その手元はわずかに震え、書類を挟むバインダーの角を固く握りしめていた。
視界がチカチカする。
ここ数日の忙しさで睡眠不足が続いていたせいか、頭の奥が痺れるような不穏な感覚。
てんかんの発作が起きる前の、嫌な予兆だった。
だが、周りには急患の対応に追われる勇斗や、処置室へ走る柔太朗と舜太の姿がある。
今、自分が倒れるわけにはいかない。
太智は前髪を払い、無理に笑顔を作って歩き出そうとした。
「……待って」
ガシッと腕を掴まれる。
振り向くと、仁人がカルテから目を離し、冷徹なまでに鋭い眼光で太智を見つめていた。
外科医らしい、異常なまでの観察眼。
「太智、お前今、視界どうなってる?」
「えっ……いや、平気平気! ちょっと眩しいだけで——」
「嘘つけ。瞳孔が開いてる。今すぐ座れ」
「大丈夫だってば、仁人ちゃ——」
言いかけた瞬間、太智の言葉がピタリと途切れた。
「……あ、」
手からバインダーが落ち、バサバサと書類が散らばる。太智の瞳からすーっと焦点が消え、そのまま後ろへ崩れ落ちた。
「太智っ!?」
仁人は椅子を蹴倒す勢いで立ち上がると、倒れる太智の体を空中で受け止め、そのまま衝撃を殺すように自分の膝の上へと抱き取った。
「ッ……あ、うぁ……ッ!」
太智の全身が突如として硬直する。
喉から漏れ出る引きつった呼吸。
次の瞬間、全身を激しいガクガクとした痙攣が襲った。
「勇斗!太智が発作起こした!たぶんてんかん、床の荷物全部退けて!!舜太、ストレッチャーと吸引持ってこい! 柔太朗は時計回せ、時間を測れ!」
仁人の怒号のような指示がナースステーションに響き渡る。
「了解!! 舜太、行くぞ!」
「は、はいッ!」
勇斗と柔太朗、舜太が一瞬で動く。
仁人は落ち着き払った動作で太智の体を優しく回復体位にし、気道を確保。
絶対に口の中に物は入れず、首元のスクラブのボタンを素早く外す。
「太智、聞こえるか、?大丈夫だ、すぐ収まるから、」
口元から溢れる唾液を拭いながら、仁人は呼吸の音を聞き逃さないよう耳を近づける。
外科医として数々の修羅場をくぐり抜けてきた手つきは完璧だったが、太智を抱きしめる腕だけは、かすかに震えていた。
「仁人先生! 1分30秒経過! 呼吸保ててます!」
「よし……! 吸引用意!」
約2分後。
激しい痙攣がすーっと収まり、太智は深いいびきのような荒い息を吐きながらぐったりと脱力した。発作後の深い昏睡状態だ。
「……よし、発作収まった。空いてる個室に運ぶ。勇斗、頭支えて」
4人で慎重に太智をストレッチャーへ移し、静かな当直室のベッドへ横たえる。
仁人はすぐさま点滴ラインを確保し、酸素投与を開始した。
「……ふぅ。点滴終わったら落ち着くはず」
作業を終えた仁人がベッド脇の椅子にドサッと深く腰を下ろす。
「仁人ちゃん、太ちゃん大丈夫……?」
「うん。怪我もないし、時間内にも収まってる。……あいつ、絶対朝から前兆あったはずなのに隠しやがって……」
「よかったぁ……」
佐野が優しく太智の頭を撫で、柔太朗と舜太がと胸を撫でおろす。
「仁人ちゃん、怒らないであげてね。太ちゃん、最近ずっと患者さんのために残業してたから……」
「わかってる。……怒るわけない、けど心配で心臓止まるかと思ったわ」
ぽつりと漏らした仁人の本音に、メンバー3人は顔を見合わせて温かく微笑んだ。
それから1時間後。
「……ん……っ、んぅ……」
「……太智? 分かるか?」
うっすらと目を開けた太智の視界に、ベッドの横で自分の手を固く握りしめている仁人の顔が映った。
「じん……ちゃん……?」
「よかった……意識戻った。気分はどう?頭痛い?」
「頭……ちょっと痛い……。僕、また……」
発作を起こして迷惑をかけたと思い出し、太智の瞳にじわっと涙が浮かぶ。
「ごめん……ナースなのに、自分の管理もできなくて……仕事残ってるのに……」
「バカ」
仁人はデコピンをするフリをして、そのまま優しく太智のおでこに手を添えた。
「仕事のことなんて考えるな。太智が一番怖かっただろ。……手、震えてたの気づいてたのに、もっと早く止められなくてごめん」
「じんちゃんは悪くないよ……っ」
「まぁ、でも今日はもう絶対動かす気ないし、」
当直室のドアが少し開き、覗き込んでいた佐野、柔太朗、舜太がお気に入りのゼリーやドリンクを持って入ってきた。
「太ちゃーん! おかえりー!」
「みんなぁ、ただいまぁー!」
「太智、主治医が超・過保護モードに入ってるから、今日は甘えときな」
「そうだよ!じんちゃん、太ちゃんが倒れた瞬間すごかったんだよ!」
「お前ら余計な口はさむなよ、」
テキパキと甲斐甲斐しく世話を焼き始める仁人を見て、太智は安心したようにふにゃっと柔らかく笑った。
コメント
3件
リクエスト書いてくださってありがとうございます😊✨️ てんかん、とっても恐ろしい発作ですよね、身体が硬直して倒れる描写が今日一でとっても大好きです💕 そしてだいちゃんの体調不良をすぐ見抜く仁ちゃんとっても尊いです✨️ そして冷静な顔で心配な気持ちを抑え込んで外科医のプロの顔で治療している御姿とっても素敵で感動しています✨️ 突然ですが、Freesiaさんの好きなカプはなんでしょうか? 本当に急ですよね💦 でも突然気になってしまって前のコメントで腐って居ると言って居たのですっごく誰推しかも教えてください✨️ あ、私は勿論そのざき推しのだいちゃん最推しです✨️ 後リクエスト書いてよろしいでしょうか? しゅんちゃんが突然アナフィラキシーショックで倒れるお話しが読みたいです✨️ 設定の指定をしてもよろしいでしょうか? まず、しゅんちゃん以外が忙しくしていて全てに目が配れてない状況です✨️ そしてしゅんちゃんもやっぱり忙しくしています、何故忙しくしているのかと言うと、地方で交通事故や地震があって患者が多く出て総合病院にも雪崩込んで来ていて忙しんです、それでしゅんちゃんがエレベーターが使えなくて非常階段を使って登っている途中でアナフィラキシーショックが起きて階段から転げ落ちてしまうと言うお話しどうでしょうか✨️ 参考にしてくれると助かります😌 次の投稿もとっても楽しみにしています😊 体調には気をつけてください😊
いやあ、今回も心臓に悪かった…!仁人ちゃんの咄嗟の判断と指示、そして発作が収まった後に「心配で心臓止まるかと思った」って本音を漏らすところ、めちゃくちゃグッときました。プロとして完璧な動きを見せつつ、手は震えてたっていう描写がもう…。タイトルの「塩とレモン」って、仁人ちゃんの厳しさと優しさの両面を表してる気がして、すごく好きです。みんなで駆けつける温かさも良かった。