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ー夜 ー
病棟のナースステーションには数人の看護師らが集まり、ミーティングを行なっていた。
「それでは 今夜もよろしくお願いします」
看護師長がそう言ってナースステーションを出ると、他の看護師達は一気に緊張感が解ける。
「…あれやれ これやれってさ、ただでさえ少ない人数でやってんのに。
自分もやってよって…ねえ」
年配の看護師小沢 裕子が愚痴を零しながら、もう1人の年配看護師、瀧田 真澄に目配せをする。
「まったくね。こっちをストレスのはけ口にされたんじゃ、たまったもんじゃないわね」
看護師の陣ノ緑が黙々とカルテを整理している。
そこへ陸斗が入って来て、
「みなさん、お疲れさまです」
と、爽やかな笑顔で看護師達を労った。
「あ、先生もお疲れさまです」
小沢も瀧田も、わかりやすく媚びた声色に変わる。
陸斗がちらりと緑を見る。
緑は難しい顔で カルテに何か書き込んでいる。
「あ、そうだ」
陸斗はロッカーから紙袋を取り出し、机の上に置いた。
「よかったら食べてください。僕からの差し入れ」
「わぁ、ありがとうございます!早速開けてもいいですか?」
と 小沢。
「忙しくならない内に、どうぞ」
陸斗はそう言って頷いた。
「先生、女性におモテになるの わかるわぁ」
瀧田がそう言いながら包装紙を外していく。
「あらま、おいしそう! じゃあいただきます」
小沢が菓子を1つ取る。
「陣ノさんも よかったらどう?」
陸斗が緑に声をかけると、
「ありがとうございます。私は今、いいです」
緑はカルテを書きながら答えた。
ナースコールが鳴った。
「私、行ってきますね」
そう言うと 緑が出て行った。
赤井 里衣
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#ミステリー
コメント
1件
赤井さん、第7話読みました!夜の病棟の空気感がひんやり伝わってきました。小沢さんと瀧田さんの愚痴の裏にある疲れや、陸斗先生のさりげない差し入れの気遣いが対照的で、その中で緑さんだけが淡々と仕事に向き合っているのが印象的でした。「今はいいです」の一言に、何か彼女の内側が垣間見えた気がします。続きが気になります🌷