生まれて初めて、夢中になってセックスをした。
朱里が啼くたびに興奮と満足感が増し、さらに気持ちよくさせたいという欲が芽生える。
彼女の膣内は腰が溶けそうに熱く、たっぷり濡れていて締め付けが凄い。
こんな体を満足させられないなんて、田村は本当に大馬鹿だ。
――これは俺の女だ。
物凄い支配欲と征服感が俺の中を駆け巡り、生まれて初めて『満たされている』と感じた。
最初こそ、大人の余裕でじっくりたっぷり焦らし、夢中にさせてやろうと思っていた。
だがバスルームで前戯するまでは良かったが、いざ挿入したあとはあっけなく理性が飛んだ。
俺はガキみたいに必死に腰を振り、『気持ちよくなってほしい』という想いで手を動かし、キスをして、無我夢中で朱里を愛した。
呼吸を荒げ、体液で体を濡らし、快楽の傀儡となって互いを求め合うさまは、まるで二匹の獣だ。
頭の中を真っ白にさせた俺は、何回も射精して、朱里を犯しぬいた。
『…………あぁ…………』
四時近くになって最後の射精を終えた俺は、朱里の体を抱き締めて声を漏らす。
あまりに激しいセックスをしたものだから、全身汗みずくだ。
彼女はすでに気絶していて、ぐったりと体を弛緩させている。
『…………気持ち良かった……』
呟いた俺は、汗で額に張り付いた朱里の前髪を除け、そこにキスをした。
そのあと眠っている彼女の顔を飽きることなく見つめ、唇にもキスをする。
『…………やっと抱けた』
呟き、ポロッと涙を零す。
――嬉しい。
――人を愛せたのが、こんなにも嬉しい。
『ありがとう、朱里』
彼女の頭を撫でて微笑みかけた時、もう自分は彼女に妹を重ねていないと確信した。
これからは朱里を一人の女として見て、愛し、守っていく。
(そのためには怜香を完全に黙らせないと。――これで完全に覚悟が決まった)
暗闇の中、俺は静かに決意し、ゆっくり息を吐く。
『……絶対にお前と幸せになる』
泣きそうな顔で朱里に笑いかけ、俺はもう一度気持ちを込めて彼女にキスをした。
そのあとも朱里と一緒に過ごしていたら、彼女が目を覚ませばまた抱き潰してしまいそうだった。
だから自分に〝終わり〟を示すために、朱里の体を清拭したあと、パジャマを着せて布団を掛けた。
そしてどさくさに紛れ、彼女の誕生日プレゼントとしてペンダントを置いていく事にする。
俺がずっと前から準備していたと知らない朱里は、『こんなのもらえません』と返そうとするだろう。
でもいつか、ちゃんと過去の事も含めてお前を真剣に愛している事を伝えるから、どうか受け取ってほしい。
本当はお前の誕生日が十二月一日だと中村さんに教えてもらって以降、毎年プレゼントしたくて堪らなかったんだ。
俺はスヤスヤと寝ている彼女の顔を見て、自分がやり過ぎた事を反省し溜め息をつく。
『……悪い。ずるい抱き方だったよな。お前の気持ちを大切にして、ちゃんと告白して正々堂々といくつもりだったのに……』
衝動に負けてしまった自分が情けなくなり、俺は深い溜め息をつく。
『一旦頭を冷やす。挽回するから、ちょっと待ってくれ』
このまま朱里の家に留まり、朝チュンする訳にいかない。
帰りしな、書き置きでもしようかと思ったが、すぐに『襲うように抱いておきながら、する事じゃねぇだろ』と自分に突っ込んだ。
それにセックス後の書き置きって、恋人同士がするもんじゃないか?
今の俺が何を書く?
【気持ちよかった。また会社でもよろしく】なんて書いたら、最低野郎だ。
【田村の事でもう落ち込むな。俺にしておけ】? 抱き潰してからメモ帳で語る事かよ。
散々悩んだあと、俺はジュエリーについて【やる】とだけ書いて家を出た。
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自宅についてコーヒーを飲んでいる時、朱里からメールが入った。
【おはようございます。昨晩は大変失礼いたしました。つきまして、緑色の箱を見つけたのですが、こちらはどうすれば宜しいでしょうか。ご多忙ななか申し訳ありませんが、なるべく早めにご返信いただけたらと思います】
ビジネスメールのようなそれを見て、俺は思わず『くっ』と笑いを噛み殺す。
そのあと『そりゃそうだよな』と呟き、少し考えてからメールを返す。
コメント
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一見ドSでふてぶてしく見えて....少なくとも朱里ちゃんは そう思っているよね…(💦💦 実は臆病だし、自信もなくて,....そして朱里ちゃんひとすじ💝彼女への愛でいっぱいの尊さん💓💓💓 あ~ん💕そのギャップがたまらない....😍💕💕
今まで封印してきた想いが吹き出したね❤️🔥ここからどう朱里ちゃんをガッチリ自分のものにしていくか、もう尊さんのもの。朱里ちゃんのもの。だけどね🤭