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「次は十二神将の中でも、凶悪と言われる存在が動き出す。地獄を司る者…」朱音が冷静に話し始めた。
「地獄?」透が眉をひそめた。「ただでさえ化け物だ。地獄を司る奴なんて想像もできん。」
「奴は一度でも地獄を見た者にしか姿を現さないと言われている。それだけ凶悪な呪詛を操るのよ」と朱音が続けた。
白川は黙って話を聞いていたが、ふと口を開いた。
「地獄か…くだらねえ。地獄なんて言葉に振り回されるのは無意味だ。」
彼はそう言い放つと、立ち上がり、部屋を出て行った。
一人になった白川は、無音との戦いを振り返りながらも、過去の記憶が蘇るのを感じていた。彼はかつて、自らの力を制御できずに、仲間や敵を無差別に倒し続けた時期があった。
「俺は地獄を知っている。」白川は心の中で呟いた。
白川は全てが敵に見えた。地獄を創り出し、閉じ込められていた。部隊との出会いが彼を救い、前に進む力を与えたのだった。
翌日、部隊は「煉獄」と対峙するため、決戦へ向かった。煉獄は地獄の門を開き、永遠の苦しみに陥れる恐ろしい呪詛を持っているという。
「お前たちは、地獄が何たるかを知らぬのだろう」と、煉獄が静かに呟く。
その姿は炎に包まれており、瞳には永遠の苦痛を映していた。煉獄は手を振り上げ、次の瞬間、地面が裂け、大地から無数の手が現れ、特別部隊を襲い始めた。
「こいつが…地獄だというのか!」透が驚愕する中、百鬼が立ち向かうが、その力は圧倒的だった。
しかし、煉獄の呪詛が放たれる中、白川は一歩も引かずに立ち続けていた。
「地獄だと? お前が見せる地獄なんて、ただの戯言にすぎねえ。」白川は冷ややかな瞳で煉獄を見据えた。
その瞬間、白川の周囲に呪力が渦巻き始めた。彼は無限拡散の術式をさらに極限まで強化し、「無限拡散・絶」を発動させた。
煉獄の力は白川の術式に飲み込まれ、その黒い炎はかき消された。そして、白川は一瞬のうちに煉獄の心臓を貫いた。
「これが、お前の地獄か? 呆気ないな。」白川は冷たく言い放ち、煉獄の身体が崩れ落ちていった。
煉獄を倒した白川だったが、彼の心には依然として何か重苦しいものが残っていた。
「地獄とは…自分の心に存在するのかもしれないな…」白川は独り言のように呟いた。
敵が見せる地獄など、既に乗り越えたものでしかなかった。しかし、内なる葛藤や過去、それが本当の地獄だと彼は感じていた。