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この物語はフィクションです
『Strawberry Prince Forever』
〜10年分のありがとう〜
2016年。
まだ誰も知らない物語。
小さな部屋。
安いマイク。
途切れそうなネット回線。
「こんばんはー!」
画面の向こうにいるのは数人。
多くはなかった。
それでも。
「来てくれてありがとう。」
その言葉だけは本物だった。
ある日。
一人の少年が言った。
「もっとたくさんの人を笑顔にしたい。」
その言葉に。
「いいじゃん。」
「やろうよ。」
「面白そう。」
仲間たちが集まった。
歌が好きだった。
笑うことが好きだった。
誰かを幸せにすることが好きだった。
だから始まった。
すとぷり。
最初から上手くいったわけじゃない。
動画を出しても伸びない。
配信をしても人が来ない。
ライブをしても席が埋まらない。
それでも。
「次頑張ろう。」
「まだいける。」
「諦めたくない。」
誰も夢を手放さなかった。
少しずつ。
本当に少しずつ。
リスナーが増えた。
「元気もらいました。」
「今日も救われました。」
「ありがとう。」
その言葉が嬉しかった。
辛い日もあった。
学校で嫌なことがあった子。
家で泣いていた子。
将来に悩んでいた子。
たくさんの人が。
彼らの歌を聴いていた。
彼らの言葉を待っていた。
知らないうちに。
誰かの居場所になっていた。
ライブ会場も大きくなっていった。
初めて立った大きなステージ。
袖で震える手。
緊張で乾く喉。
でも。
ステージに出た瞬間。
「うわぁぁぁぁぁ!!」
歓声が聞こえた。
「来てくれてありがとう!!」
客席の笑顔。
泣いている人。
楽しそうにペンライトを振る人。
その景色が大好きだった。
だからもっと。
もっと上を目指した。
武道館。
アリーナ。
ドーム。
夢だと思っていた場所。
だけど。
夢を追う道は平坦じゃなかった。
上手くいかない日もあった。
不安で眠れない夜もあった。
悔しくて泣いた夜もあった。
何度も。
何度も。
それでも。
隣を見れば仲間がいた。
前を見ればリスナーがいた。
だから歩けた。
そして。
2026年6月4日。
東京ドーム。
10周年。
開演前。
まだ暗いステージ。
メンバーは円になっていた。
「ついにだね。」
莉犬が笑う。
「10周年かぁ。」
ころんが天井を見上げる。
「実感ないな。」
ジェルが笑う。
「でも緊張はする。」
るぅとが小さく頷く。
「今日という日を迎えられて本当に嬉しいです。」
さとみは客席の方向を見る。
「最高の日にしようぜ。」
最後にななもり。が言った。
「みんな。」
全員を見る。
「楽しもう。」
「10年分。」
「全部届けよう。」
全員が頷いた。
開演。
歓声。
光。
音楽。
歌。
笑顔。
涙。
そのすべてが輝いていた。
そして。
ライブは終盤へ。
最後の曲が終わる。
何万人もの拍手。
何万人もの歓声。
6人は客席を見つめていた。
「ありがとう。」
莉犬が言う。
「今日、本当に幸せです。」
るぅとが続く。
「ここまで来れたのは皆さんのおかげです。」
ころんが笑う。
「みんな最高だったー!」
さとみ。
「大好きやで。」
ジェル。
「また絶対会おうね。」
ななもり。
「本当にありがとう。」
拍手。
歓声。
6人は深く頭を下げた。
そして。
ステージ袖へ向かう。
その時だった。
「少々お待ちください。」
突然流れたアナウンス。
メンバー全員が振り返る。
「え?」
「なに?」
客席もざわつく。
静寂。
東京ドームが静かになる。
数万人いるはずなのに。
息を飲む音しか聞こえない。
その時。
客席のどこかから。
小さな歌声。
♪ Strawberry Prince Forever
莉犬が顔を上げる。
また別の場所から。
♪ Strawberry Prince Forever
さらに。
さらに。
歌声が重なっていく。
何百人。
何千人。
何万人。
東京ドーム全体が歌っていた。
まるで。
一つの声みたいに。
優しく。
温かく。
大きく。
歌声が響く。
莉犬は口元を押さえた。
目が潤む。
「うそ……。」
声が震える。
るぅとは涙を拭いた。
でも次から次へと溢れてくる。
「こんなの……」
「反則です……。」
ころんは笑おうとしていた。
だけど。
涙で前が見えない。
「やばい。」
「泣くって。」
さとみは客席を見渡す。
何万本ものペンライト。
何万人もの笑顔。
「すげぇな……。」
それしか言えなかった。
ジェルは顔を覆う。
「こんなん無理やろ……。」
笑っているのに。
泣いていた。
そして。
ななもり。
客席を見つめたまま。
動けなかった。
10年間。
楽しかった日。
苦しかった日。
悔しかった日。
全部。
全部思い出していた。
歌声は続く。
東京ドームいっぱいに。
ありがとうが響く。
それはきっと。
誰かの人生を変えた歌へのありがとう。
救ってくれた時間へのありがとう。
笑わせてくれた日々へのありがとう。
出会ってくれてありがとう。
そんな想いが全部詰まっていた。
やがて歌が終わる。
静寂。
誰も言葉を出せない。
そして。
莉犬がマイクを握った。
涙声だった。
「ありがとう。」
「本当に。」
「出会ってくれてありがとう。」
るぅと。
「皆さんがいたからここまで来れました。」
ころん。
「僕たち幸せ者だな。」
さとみ。
「今日の景色、一生忘れねぇ。」
ジェル。
「宝物がまた増えた。」
ななもり。
しばらく黙ったあと。
静かに言った。
「10年間。」
「本当にありがとうございました。」
「そして。」
「これからもよろしくお願いします。」
会場から大きな拍手。
6人は横に並ぶ。
客席を見る。
東京ドームを見る。
10年間を振り返る。
そして。
全員で叫んだ。
「ありがとうーーー!!!」
歓声が響く。
光が揺れる。
笑顔が溢れる。
物語は終わらない。
あの日。
小さな部屋から始まった夢は。
たくさんの人に愛される物語になった。
そしてこれからも。
未来へ続いていく。
Strawberry Prince Forever.
出会ってくれて、ありがとう。 🍓👑✨
コメント
1件
読んだ直後から胸がぎゅーっとしてる…😭💕 小さな配信から東京ドームまでの10年、全部がぎゅっと詰まってて、最後のファンのサプライズ合唱で完全に涙腺崩壊したよ…!! 「出会ってくれてありがとう」って言葉、こんなに重くて温かいんだね✨ 莉月さん、すとぷり愛とファンへのリスペクトがめっちゃ伝わる作品だった…!これからも続きをずっと待ってる🍓👑