偽りの僕

昔はピアノの演奏を聴くのが好きだった

彼女が弾いていたピアノを聴くのが

他の誰かが弾くピアノよりも

プロのピアニストが弾くピアノよりも

彼女が弾くピアノが好きだった

僕の支えになってくれた彼女が好きだった

彼女のピアノの音色はいつも優しく暖かい

でも今は彼女のピアノは聴けない

もうピアノの演奏を聴くことができない

ピアノを聴くと

彼女のことを思ってしまうから

辛い

大事なものは失ってから気づく

僕はあの日を最後に

ピアノを聴くことはなくなった

心を満たしていた何かが

全て無くなった

彼女と共に