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絶対辰哉
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#岩本照
絶対辰哉
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花火大会の翌日。
朝。
リビングにはいつも通りの時間が流れていた。
💜「……」
💛「……」
静かだった。
昨日までなら何気なく話していたはずなのに、今日はお互いどこかぎこちない。
照はパンをかじりながら、何度か辰哉の方を見る。
辰哉もコーヒーを飲みながら、何度か照を見ては目を逸らした。
💜「……昨日」
💛「……昨日」
声が重なる。
💜「あ、ごめん」
💛「いや」
また沈黙。
二人とも少し笑ってしまう。
💜「先どうぞ」
💛「いや、辰哉から」
💜「……」
辰哉は耳を少し赤くしながら口を開いた。
💜「昨日、ありがと」
💛「何が?」
💜「手」
照は一瞬だけ固まる。
💛「……ああ」
💜「離さなかったの、助かった」
照は小さく頷いた。
💛「俺も」
💜「え?」
💛「辰哉がいなくなったら困るから」
その言葉に、辰哉は何も返せなかった。
また胸が苦しくなる。
────────
その日の夜。
照が先に帰宅した。
夕飯を作り終えた頃。
ガチャ。
💜「ただいまー」
💛「おかえり」
辰哉は玄関からリビングへ向かう途中、急に足を止めた。
💜「あ」
💛「どうした?」
💜「財布」
💛「忘れた?」
💜「会社」
💛「取りに行くのか?」
💜「明日でもいいんだけど……社員証も入ってる」
💛「じゃあ今日だな」
辰哉は大きくため息をつく。
💜「めんどくさ……」
💛「一人で行ける?」
💜「行けるけど」
照は鍵を手に取った。
💛「俺も行く」
💜「え?」
💛「夜だし」
💜「いや、一人で大丈夫だよ」
💛「俺が一緒に行きたい」
さらっと言って玄関へ向かう。
辰哉はその背中を見つめる。
(ずるい……)
そんな言い方をされたら、断れない。
────────
会社へ着き、無事に財布を回収。
帰り道。
夜風が気持ちいい。
二人並んで歩く。
💜「付き合わせちゃってごめん」
💛「散歩できたし」
💜「照ってさ」
💛「ん?」
💜「優しすぎる」
照は少し笑う。
💛「辰哉には言われたくない」
💜「俺?」
💛「風邪ひいた時、お礼のネクタイピン、夜食のおにぎり」
💛「ちゃんと覚えてる」
辰哉は照れくさそうに笑った。
💜「そんな前のことまで?」
💛「忘れない」
短い一言。
でも、その言葉は辰哉の胸にまっすぐ届いた。
────────
家に帰ると、時計はもう十一時を回っていた。
玄関で靴を脱いでいる時。
辰哉の足元が少しふらつく。
💜「っと」
照が反射的に腕を掴む。
💛「大丈夫?」
💜「うん、ごめん」
掴んだ腕は、そのまま数秒離れなかった。
目が合う。
ほんの少しの沈黙。
あと数センチ近づけば、触れられる距離。
でも。
💛「……飯、冷めるな」
照が先に手を離した。
💜「……うん」
二人とも笑った。
少しだけ照れたような笑顔だった。
“好き”
その一言は、喉まで出かかっている。
なのに。
あと少しが、どうしても届かなかった。
コメント
2件
いや、出しちゃおう、好きを! 喉から出しちゃおう!!!!
第25話読み終えた! もうさ、朝のぎこちない空気から「ずるい…」って辰哉が思うシーンまで全部が甘酸っぱくて胸がきゅうってなったわ。 「忘れない」って照が言うところ、重みがあって良かった。好きって喉まで出かかってるのに言えないもどかしさ、続き早く読みてえ🔥