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ある日の放課後、翔はいつものようにクラスの友達と教室で談笑していた。
だが、その中に入ってきた一人の女子の言葉が、彼の胸にざわめきを生む。
「ねえ、翔って西野のこと好きなんでしょ?」
友達たちの笑い声が続く中、翔は一瞬言葉を失う。冗談だと思いたいのに、胸が締め付けられる。
一方、紬も学校でその噂を耳にする。
「翔が…私のこと?」
心臓が高鳴り、顔が熱くなる。外では平静を装うが、胸の奥では不安と動揺が混ざり合った。
その日の放課後、神社のベンチに二人が向かう時間が近づく。
翔は心の中で考える。
「21:29に会えば、全部伝えられる…でも、あの噂のせいで紬の気持ちが変わってしまったら」
紬も同じように考えていた。
「翔のこと、信じたい…でも、あの噂を聞いたら不安になっちゃう」
そして、21:29。神社のベンチには、夕日の光が二人を包む。互いに座り、視線を合わせる。
翔は小さく息をつき、言葉を選ぶ。
「紬…昨日、噂のこと聞いたか?」
紬は少し頷く。「うん…少しだけ、不安になっちゃった」
翔は手を差し出す。「でも、俺が思ってることは変わらない。21:29は俺たちだけの時間だし、本当の気持ちはここで伝える」
紬は手を握り返し、微笑む。「私も…信じる。ここでは、本当の翔でいてくれるって」
二人の間に静かな時間が流れる。夜風が頬を撫で、葉のざわめきが耳をくすぐる。
翔は心の中で歌詞を思い出す。
“I just wanna be with you, no more lies, only truth”
_ただ君と一緒に居たい。もう嘘はなし、真実だけ。_
外の世界でどんな噂があろうと、ここでは嘘はない。真実の気持ちだけがある。
紬も同じ気持ちで手を握り返す。「翔…ここでは、誰も邪魔できない」
翔は小さく笑う。「うん。21:29は、俺たちだけの時間だ」
その瞬間、二人の心の絆が確かに深まる。外の世界での不安や噂も、21:29の時間があれば乗り越えられる。
「約束だ、紬。どんなことがあっても、ここで会えば本当の自分でいられる」
紬も力強く頷く。「うん、翔。絶対に」
夜空に星が一つ、また一つ瞬く。
二人の21:29――秘密の時間は、初めての外部の試練を経て、さらに深く、揺るぎないものになった。