テラーノベル
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注意事項
〇本作品はフィクションであり、実在する人物・団体とは何ら関係有りません。
〇オリキャラ出ます。
〇政治的、戦争賛美の意図はございません。
〇心を込めて、祖国へお祝いを。
以上の事をご理解の上、本作品をお楽しみください。
「はぁ」
大きな会場ホールに繋がる廊下で、日本は大きなため息をついた。
今日は二月十一日建国記念の日である。
そう、つまり、日本の誕生日だ。
建国記念の日は、決まって国主催で大きなパーティーが行われる。
日本を主役とし、天皇や総理大臣、外交官、さらには他国のカントリーヒューマンや権力者、ドールまで招待されるのだ。
ドール、と言っても、本物の人形ではなく、カントリーヒューマンズ(化身)に仕えている存在だ。
基本的には、こういうパーティーではカントリーヒューマンズと共に参加するのだが、代理として来る者も、不参加の者もいる。
だが、今回ばかりは全員参加だろう。なんたって、日本の誕生日でもあり、そのドールである愛華(ドール達のリーダー)の誕生日でもあるのだから。
それでも、このパーティーの主役は日本である。愛華ではない。
「祖国様、ため息をつかれては福が逃げてしまいますよ」
愛華が日本の正面に立ち、少し乱れた袴の襟を正しながら、そっと微笑む。
「……愛、私一人が主役として出るのが心苦しいんです」
苦い顔をしながら日本は、愛華を愛称で呼び、弱音を吐く。
「毎年そのような事をおっしゃいますから、私も同じ事を申します」
はぁ、と愛華は呆れたようにため息をつく。
「私の一番の誕生日プレゼントは、貴方様が堂々と胸を張り、パーティーにご出席しているお姿を拝見する事です」
去年と一言一句変わらない言葉。だけど、そこにこもった重みと温かさは倍である。
「分かりました、私の負けです。今年も愛をパーティー会場に連れて入るのは叶わなさそうですね」
少し肩をすくめて、日本は小さな苦笑いを零す。
「負けを認めたのなら、シャキッとしてください」
愛華は日本の胸元に、最後の飾りとして小さな花を添える。
自分が主役として表に出れないと言うのに、心底満足そうな、幸せそうな表情を浮かべているのを見る限り、日本が表舞台で輝く事が愛華にとっての最高のプレゼントで間違いないのだろう。
「祖国様、誕生日おめでとうございます。そして、いってらっしゃいませ」
とうとうパーティー会場の前に着くと、愛華が恭しく辞儀をした。
そして、大きな扉を開ける。
「はい、いってきます」
そう言って、足を前に出した日本の顔は、日本国のものであった。
入り口の扉で、警備をする愛華は、皆に祝われる日本の姿をそっと見つめていた。
ーー完結ーー
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