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ピザ屋のドア。
カラン
黒いスーツの男たちが入ってくる。
店の空気が一瞬で変わる。
エリオットはいつもの顔。
にこにこ。
でも。
ほんの少しだけ静か。
先頭の男が言う。
「エリオット様」
チャンスの目が細くなる。
「様、かよ」
エリオット。
「久しぶり」
男。
「お迎えに参りました」
店内のスタッフたちがざわつく。
エリオットは軽く振り返る。
「ちょっと出るね」
いつも通りの声。
でも。
チャンスは動く。
エリオットの腕を掴む。
がしっ
エリオットが少し驚く。
「チャンス?」
チャンスは低い声。
「行くな」
エリオット。
少しだけ目を細める。
それから。
いつものように――
ネクタイ。
ぐい
チャンスが少し前に引かれる。
エリオットは小さく笑う。
「大丈夫」
チャンス。
「どこが」
エリオット。
「大丈夫だから」
チャンスは離さない。
腕を掴んだまま。
エリオットはその手を見る。
それから少しだけ困った顔。
「チャンス」
「……」
「離して」
静かな声。
チャンスは数秒動かない。
それから。
ゆっくり手を離す。
エリオットは一歩下がる。
そして。
店の中を見る。
焼きかけのピザ。
スタッフ。
いつもの場所。
少しだけ。
ほんの少しだけ。
目が揺れる。
それから言う。
「これお願い」
近くのスタッフにピザを渡す。
「焼き上がり、任せるね」
スタッフ。
「え、あ、はい!」
エリオットはにこっと笑う。
でも。
チャンスは気づく。
その笑顔。
いつもより少しだけ。
無理してる。
エリオットが振り返る。
チャンスを見る。
少しだけ。
ほんの一瞬。
寂しそうな目。
でもすぐ。
にこっと笑う。
「またね」
チャンス。
「……」
言葉が出ない。
エリオットは外へ出る。
黒い車。
ドアが開く。
乗り込む前に。
一瞬だけ振り返る。
チャンスと目が合う。
そして。
ネクタイを指で軽く引く仕草。
何も言わず。
車に乗る。
バタン
ドアが閉まる。
エンジン音。
ブロロロ…
車が走り去る。
静かになる店内。
チャンスはその場に立ったまま。
ポケットに手を入れる。
コイン。
握る。
小さく言う。
「……大丈夫なわけあるか」
ゆゆゆゆ
#Paycheck