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離婚します 第二部

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離婚します 第二部

36 - 第36話 綾菜の場合(10)

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2024年11月05日

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「ねぇ、ここまできてあの寺崎って子に会ってわかったことってさぁ…」


あっさり話を終えて帰っていく絵梨奈の後ろ姿を見ている千夏。


「…うん…」

「うちの夫が一方的にあの子に入れ込んでたことと、できなくなってたこと…だけだね」

「端的に言えばそうだけど。それにしてもあの考え方はすごいね、普通の恋愛とかってできるのかなぁ?」

「ホント!でも、私も若かったらあんなことしてみたかったかも?」

「千夏さんも?私もチラッと考えちゃったよ」


二人して、ホットコーヒーを追加した。


「私が奥さんからお母さんになった時からか…」

「あー、そんなこと言ってたね。でもそれは仕方ないよね?子どもができたら奥さん業よりお母さんに偏っちゃうよ」

「ん…」


両手でカップを抱えて、何かを考え込んでいる。


「どうしたの?」

「いや、ね、仕事のストレスはわからないんだけど。思い出したことがあってね」

「お母さんになった話?」

「うん。私ね、わりと難産で胡桃を産んだのよ。やっと産まれるってときにあそこを切る前に踏ん張っちゃって、ジグザグに裂けたらしいの。そこはちゃんと縫ってもらったんだけどね。お産の後初めて夫に誘われた時、痛くて、押し戻しちゃった。その上、乳首からピューって母乳が吹き出してね。ムードも何もなくて……」


「そんなこと、うちもあった気がする」


翔太を産んだ後のことを思い出してみる。


「それからは、してないわ。うち、レスだったんだ!」

「ちょっ!千夏さん、声が大きいってば」

「あ、ごめんごめん、なんかすごいことに気づいちゃって。胡桃の子育てばかりに気を取られて、圭佑のことほったらかしてた、私。そりゃ、できなくなるし私から誘っても無理だわ…」


頭を抱えて俯いてる千夏。


「帰ろう!綾菜ちゃん、私、ちゃんと圭佑と向き合ってみる。必要なら病院にもついていく。でも、もしも私のことを嫌いになってたとしたら…」

「したら?」

「もう一回、好きになってもらうように努力してみるよ」


伝票を持って立ち上がった千夏に続く。


「綾菜ちゃん、付き合ってくれてありがとう。私、圭佑のこと、すごく好きだったんだって思い出した。だから、浮気してるかも?ってわかったとき、ご飯も食べられないくらいつらかった。その原因は私にもあったのに」


なんだか晴れ晴れとした顔をしている。


「もうこれ、いらないや」


そう言うと興信所の封筒をクシャクシャにして破いて、ゴミ箱へ捨てた。


「今夜あたり、あの子と連絡が取れなくなって落ち込むだろうから、美味しいものでも作ってあげなきゃ」


思いもかけずハッピーエンドの千夏夫婦。

うちはどうなんだろうなぁと思い返す。

やっぱり、マリに直接会ってみるしかないかな?

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