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私は足は止めず、必死に出口まで走る。
やっと、待合広場のような場所まで来た。そこにはとても綺麗に磨かれたガラスのテーブルと、朱色のソファーがあった。
もう一度後ろを振り向き、ソファーの上にあった鞄を盾にし、襲いかかってくる男の包丁を受け流した。
男が横を通り過ぎる時、一瞬仮面の奥が見える。奇妙に笑う姿。高く高く口角を上げ、今にも口が裂けそうだった。
その男をしっかりと目に捕える。もう一度、赤く染まった、鋭い包丁で私を襲ってくる。さっきと同じように止めようとした。
その時、男は欠かさず私の懐に入った。
腹部に冷たい感触と痛みが伝わる。
後ろに下がろうとした。だが男は私を強く押さえつけ、包丁をさらに奥に突き刺し、「へ」のような形で私の腹部を切っていく。