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「25日 19時から、コンビニで買い物」
メモにあった、一行。
それは、まぎれもない、今日のあたしの行動だった。
最初は、その1枚きりだったメモは、日を追うごとに増えていった。
「26日 23時48分に、いつものコンビニで買い物」
「26日 0時10分に、マンションに帰宅」
「26日 3時27分に、消灯」
メモは、3枚。
どれも、1日のあたしの行動を、寸分たがわずに克明に書き記していた。
そうして、最後に、もう1枚。
「もう少し早く寝た方がいいよ。お肌に悪いでしょ? リオちゃん」
気もち悪い。
あまりの気もち悪さに、じんましんが出そうになって、あたしは腕を血が出そうなほど掻きむしった。
どうして、こんな仕打ちをされなきゃいけないの?
こんな恐すぎる思いまでして、それでもやっていくアイドルって、いったい何?
やがて10枚にも及ぶようになったメモ書きとともに、ポストに残されたメッセージ──
『リオちゃん
今日も、お疲れさま。
今日も、忙しかったね。
だけど、大丈夫。僕は、全部見ていてあげたから。
いつも、君のそばには、僕がいてあげるから。
だから、安心していいよ。
僕が、君を、守っていてあげるからね』
あたしは、書かれた文字がひとつも見えなくなるまで、メモをビリビリに引きちぎった……。