???「実は、近くの小学校で野良猫をいじめている子供が多数いるという噂があるらしい。我々の学校は町内会に積極的に参加していないため、参加していないのに町の土地を使うなと言われている。そのため町内会に頼まれてくれと君たちに野良猫をいじめる小学生を止めて欲しいという依頼を受けた。お願いできるか?」???「猫をいじめる?それは大事になる前に止めないと」
???「えぇ。取り返しがつくうちに止めないといけないわね」
???「何で猫をいじめるんだ?」
???「それも聴かないとな」
???「…………」
ここは、『トウヒガ学園』
「雨花」、「橙」、「桃時」、「兎白」、「瑠璃人」は「雫」に小学生による猫の虐待を止めるよう通達された。
橙「町内会の人たちにていよく押し付けられたんですね……しかも結構厄介な……」
瑠璃人「町内会の付き合いって結構めんどくさいんだな〜」
兎白「俺の親も町内会には疲れを感じているな……生々しい人間関係を俺にみせないようにしてくれてるのも何となく分かる」
雨花「あんなに優しいご両親だし、妬まれることもあったり、嫌がらせに遭うこともあるんじゃないかな?」
桃時「煩わしいわね……」
雫「とにかくこの依頼を遂行して欲しい。頼むね」
橙・桃時・兎白・瑠璃人「はい!」
雨花「………早く止めなきゃ」
こうして、雨花たちは依頼を遂行するため、調査に行くのだった。
◾︎◽︎◾︎◽︎◾︎◽︎◾︎◽︎◾︎◽︎◾︎◽︎◾︎◽︎◾︎◽︎◾︎◽︎◾︎◽︎◾︎◽︎◾︎◽︎◾︎◽︎◾︎◽︎◾︎◽︎◾︎◽︎◾︎
早速雨花たちは現場である小学校に着いた。
橙「まずは聴き込みからですね」
兎白「それぞれ一度解散して、ここに集まるのはどうだ?」
瑠璃人「賛成っす」
桃時「アタシも」
雨花「わたしも良いよ」
雨花たちは聴き込みに行った。
数十分後
兎白「どうだった?」
橙「全然ダメでした」
桃時「アタシも。何と言うかみんな揃って同じように知らないって言ってるわ。まるで口裏を合わせるかのように」
瑠璃人「町内会で持ち出されるほどの大事になってるのに、親から聞いたりしてるはずなんだけどな……」
雨花「わたしは犯人分かったよ〜」
桃時「あんたもダメだっ……え?」
橙「今なんと?」
雨花「だから犯人分かったよ〜って」
橙・桃時・兎白・瑠璃人「えぇぇぇぇ!?!?」
橙、桃時、兎白、瑠璃人はとても驚いた。
桃時「何で分かったのよ?」
雨花「まず、分かったとかなくちゃいけないのが、子供はよく大人を観てる。都合が悪くなった時、大人はこうするなって考えて、それを実行する。子供は大人のしていることをよく観てるからさっき桃時ちゃんが「口裏を合わせてる」っていうのはマジでビンゴ。子供たちは口裏を合わせて、事実を隠してる。でも、それでも子供だよね。証拠までは消せなかった。その証拠がこれ」
雨花は持っていたパソコンを開くと、カチャカチャと操作し、映像を再生した。
桃時「これって……」
橙「さっき私が聴き込みした子たちです!」
瑠璃人「子猫を蹴ってるな……」
兎白「こっちの動画では手足を縛り付けている子もいる……」
雨花「これは防犯カメラ映像。これを警察に渡せば、あの子たちは自分たちがどれだけ酷いことをしたのか。分からなくてもまずいとは思うはず。そう、分からなくても。分からせることはできなくても、知ろうとさせることはできる。だから、やらないと」
橙「こんなことして良いわけありません。警察に言うとしても、何故こんなことをして、何故やり続けるのか、私たちが知らなくては」
桃時「雨花の言う通り、分かるなんてことは人間できないけど、知ろうとすることは出来る。まずはあの子たちに知ろうとして貰いましょ」
兎白「早く行動に移そう」
瑠璃人「そっすね。あの子たちがこれ以上罪を重ねる前に」
雨花「…………」
これ以上わたしみたいになって欲しくないしね
◾︎◽︎◾︎◽︎◾︎◽︎◾︎◽︎◾︎◽︎◾︎◽︎◾︎◽︎◾︎◽︎◾︎◽︎◾︎◽︎◾︎◽︎◾︎◽︎◾︎◽︎◾︎◽︎◾︎◽︎◾︎◽︎◾︎
「おい!また猫みつけたか?」
「ウケる。めっちゃ恐がってるじゃん」
「ゲへへへ!!ムカつくなぁ。そんなに目で見んなよっ!!!!」
「気持ちわりぃぃんだよ!!」
子猫を蹴る男子たち。
「命って儚ねぇ〜」
「もう死にそうだぜ?」
「弱ぇな」
「全然楽しくねぇよ」
そして男子がカバンからコンパスを持ってきた。そして、針部分を子猫に刺そうとしたその瞬間、
「がっ!目に砂が入った……!!」
「何だよ!お前!!」
「お前ら誰だ!」
「何なんだよ!!」
「君たち」
「「お痛がすぎるんじゃない?」」
彼らたちに前にいるのは……
雨花「大丈夫?子猫さん」
橙「早く病院に連れて行きましょう」
桃時「橙と瑠璃人は先に動物病院に行ってきて、アタシと雨花と兎白とで、このクソガキの相手するから」
橙「分かりました」
瑠璃人「おう」
橙、瑠璃人は先に子猫を連れて、動物病院に連れて行った。
「お前ら何なんだ!!!!俺らの楽しみを奪いやがって!!」
桃時「どうして動物を痛ぶるのが楽しいのよ?」
「そんなの楽しいからだ!命が消えていく瞬間を味わうのがたまらなく嬉しいんだよ!!」
兎白「命は、生まれると同時に幸せが生まれることもあれば、不幸を生むこともある。生まれたら幸せを感じる人もいれば、苦痛を感じることもある。命はどっちつかずな存在なんだ。だからこそ、命に価値基準なんて生まれることがないからこそ守っていかなくちゃいけないんだ。」
「はっ!正義のヒーローにでもなったつもりか?あんなちっぽけな命どうしようが俺らの勝手だろ!!」
男子たちが一斉に桃時に襲いかかる。
「まずは弱そうなお前からだ!!」
桃時「お生憎様!こっちは前までとは少し違うのよ!」
桃時は、男子の力の流れを利用して転ばせた。
「ぐはっ!何なんだよ!もういいだろ!あのクソ猫も返したんだし、もう用はねぇだろうが!」
しばらく黙っていた雨花が口を開いた。
雨花「わたしは兎白くんみたいに、命に対して守るべきものなんて気持ちは抱けないし、抱こうとも想わないけど、「命」には「生きる」というおまけが付いてる。そして、生きるという行為に意味は無い。生きることに「命」が生まれることが含まれているなら、それはただの名分。「命」は「生きる」ということをそれらしくさせるための物だよ。「生きる」という行為は、人生というものが始まる。そこからは意味は無い。ただ人を傷つけて、傷つけられて、笑って、泣いて、怒って、憎んで、絶望して、それの繰り返し。それが「生きる」ってこと。その行為に意味を見い出すのならその行為ほど、愚辱な行為はないよ。だって、感情や心なんてものに意味を見い出すなんて、自己満足でしかないんだから。「生きる」に対する利用品に意味も価値もない」
「つまりわたしは」
「「命に守る義務もないって言いたいの」」
雨花は「何も映っていない目」で男子たちに淡々と意見を述べる。
桃時「あんた何言ってんのよ!」
「はっ!意味も価値もないなら俺たちがどうしようも勝手だろ!!分かってんじゃねぇか」
雨花「まぁそうだね。でも……」
「え?」
雨花は男子に近づき、壁ドンをした。
雨花「命を奪うってことをするってことは……」
「「奪われる覚悟もしてるってことだよね?」」
「ひぃ!」
雨花の周りには温度のない風が通り抜けていくような感覚があった。
雨花「確かに「命」にも「生きる」にも意味も価値もない。だから「命」も「生きる」ということにも奪う権利はみんなある。でも、奪い返す権利もみんなあるんだよ。価値基準が付けられないものだからこそ「法定外品」として扱われる。だから奪う奪われるのも自由。」
「だから」
「「あなたたちの命も奪って良いことになる」」
雨花はにっこりと笑いながら小学生たちに話しかける。しかし、しっかりと着実に確実に抉るように圧をかける。小学生たちは震えている。
雨花「小さいうちから教えられる。命を粗末にしてはいけないと。でもその命が小さかったらどうだろうか。小さい頃課題で育てるアサガオのように。踏み潰されたアリのように。命の小ささに飽きを感じて命を大切にするという言いつけを簡単に破る。命に小さいも大きいもないなんて言うけどそれを言った人の人生を覗いてみなよ。その人生が何よりも命に大小があると証明しているはずだよ。」
「あなたたちの人生は」
「「命の大小を決める極めて傲慢な人生なんだよ」」
「な、何だよ!うるせぇ!!」
「お前何なんだよ!!」
「気味悪ぃ奴だ」
「うっ、気持ち悪い……」
男子たちは怯え震えていた。一人は嘔吐している。
兎白「雨花……」
◾︎◽︎◾︎◽︎◾︎◽︎◾︎◽︎◾︎◽︎◾︎◽︎◾︎◽︎◾︎◽︎◾︎◽︎◾︎◽︎◾︎◽︎◾︎◽︎◾︎◽︎◾︎◽︎◾︎◽︎◾︎◽︎◾︎
子猫をいじめていた小学生たちは、桃時が呼んだ学校の先生に連れていかれた。
桃時「あんた、馬鹿じゃないの!!」
雨花「ごめん!ここまで言えば、自分たちがいかに傷つけていたか、知ろうとする努力くらいはするかな〜って」
桃時「あんた最初「命」に価値は無いだの、守る義務無いだの危なっかしいこと言ってたけど、あれ本心?」
雨花「紛れもない本心だよ〜「命」なんてものは「生きる」に利用される都合の良い名分だよ。」
桃時「……そう。その考えをいずれ変えてやるわよ」
兎白「そうだ。俺たちがお前の「命」に対する気持ちを変えてやる」
雨花「あはっ!まぁ頑張れ〜」
雨花は手をヒラヒラとさせて動物病院へ向かう。
兎白「待ってくれ!雨花!」
桃時「…………」
《命に守る義務もないって言いたいの》《命なんてものは「生きる」に利用される都合の良い名分だよ》
あんたは
自分の命に対してもそう想ってるんでしょうね
アタシは
絶対その考えを変えてみせる
桃時も雨花と兎白を追いかけたのだった。
コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!