テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
44
20
139
#寿嶺二
日が落ち、夜の帳が来る…。 かの少女は天国へと攫ってきた直後、疲労の色が濃く緊張していたのもあり倒れてしまった。 誰が彼女を保護するのか決めようと話し合いが行われそうだったがまずは彼女を休ませる事が重要だと瑛一に告げ、了承を得る前に綺羅は彼女を抱き上げて自分の領域に運んだ。
夜露のベルベットがかけてあるベッドに彼女を寝かせ少しでも安らげる様にラベンダーのサシェをチェストに置く。
この世の全てを手に入れても退屈は紛れない。愛しい誰かを手に入れてやっと完成する……。 初めて彼女に逢った時に感じた暖かい想い…
「もっと長い時間を彼女と過ごせば答えが見つかるだろうか…?ならば…誰の眼にも映らぬ様に俺が奪う」
そう小さく呟いて綺羅は寝ている彼女に近付いて髪を人房掬い、口付けた。 彼女から香る甘い香りに自身の中で眠る獣が目覚め喉を鳴らす。 ベッドで安心しきった顔で寝ている彼女はまだ何も知らない。何もしてこないだろうと思っている相手が自分を欲して欲望のまま奪って閉じ込めたい衝動に駆られているなどとは。 そんな感情の昂りを鎮めようと外に目を向ける。
すると紺色の風と共に瑛二が現れた。 「綺羅、エンジェルの様子はどう?いきなり倒れたから皆心配してるよ」
不安そうな面持ちで尋ねてきたが綺羅の変化には気付いていない。
綺羅は何事もなかったかの様に「今はまだ…眠っている」とだけ答えた。
それに対して瑛二は少し安心した様子で笑顔を見せ「皆に知らせてくる」と言って慌ただしく去っていった。
瑛二が去ったのを確認してから綺羅は静かに部屋へ戻った。彼女は気持ち良さそうに寝息をたてて寝ていた。綺羅は火照る命に従って彼女に近付き、首筋を露わにして愛の刻印を刻む。
「彼女が目覚め、キスマークに気付いたとしてこれを戯れだと思ってももう逃がしてやれない。俺がお前と一緒に生きたいと願ったから」
しばらくすると彼女はゆっくり眼を開け覚醒した。 「ん…ここは…?」と少し起き上がり周りをキョロキョロ見渡した。
綺羅は平静を装って彼女に近付いた。彼女はすっかり元気になった様で肌も赤く染まっていた。 綺羅は彼女に同じ香りを纏わせたくて自分の好きな香りを込めたブレスレットを彼女の手首に付けた。
彼女は綺羅からプレゼントされたブレスレットを見て「こんな高価なブレスレットは貰えません」と断る。
それに対してどうしても付けて欲しかった綺羅は「気にしなくて…良い。良い香りがする物を付けていると少しは落ち着くだろう」と言った。
彼女は綺羅の心遣いを嬉しく思い、ブレスレットを見て微笑んだ。
彼女はチェストに置いてあった水を飲もうとして目眩がした為、グラスから水が零れそうになった。それに気付いた綺羅は水を口に含み彼女に口付けた。
彼女は驚いた様子だったが大人しく受け入れた。 唇が離れた後、白い光で満たされた空間で綺羅は自身の中で目覚めた獣に招かれ対峙していた。獣は言わば欲望の塊である。
「あの人を手に入れたいのだろう…?何を迷っている。共に生きたいと願うのならばお前と同じ運命を与えれば良い。何を躊躇っているのだ…情けない。お前が躊躇うならば俺がしてやる。そこで大人しく見ていろ」と饒舌に言って主人格に目眩させ理性を手放せた。
一方彼女は急に頭を押えて辛そうにしている綺羅が心配だった。少し強引な行動もあったが彼女は綺羅の声を聴くと不思議と安心した。安心感を与えてくれる綺羅に惹かれつつあった。 勢い良く立った綺羅が心配だったがおもむろにお酒を注いで飲んだと思ったらまた口付けで飲まされていた。その事に驚いて綺羅の様子が変わった事に気付かなかった。彼女がお酒を完全に飲み干した事を確認した獣は満足そうに笑い意識の底に再び戻った。
綺羅は自分よりも先に獣にそうされたのが気に食わずグラスに神酒を注ぎ口に含ませ彼女に近付いた。
「俺と同じ宿命を背負って一緒に生きてくれ」と小さく呟き、彼女に口付けた。さっきよりも深い口付けに溜息さえも飲み干して夢中で求めあっていた。 唇を離した瞬間、彼女の体は白い光に包まれていった。
少したった後、光は小さくなり消えた。 自分に起こった事に戸惑っていると綺羅がさっき飲んだ神酒について説明した。
「さっき飲んだのは神酒と言って天使が飲む分には何も効果は無いが人間が飲むと体は天使に生まれ変わる。その証拠に白い翼を得て、歳を取る事も無くなる」
言い終えて彼女を見るといきなりの事実にショックを受けていた。 そんな彼女に綺羅は凛とした声ではっきり告げた。
「お前を天使にした責任は俺の生涯を掛けて背負う。だから俺と共に生きてくれ」
彼女は綺羅の強引な行動に驚き、これからの事に戸惑いはあったものの綺羅と一緒ならば大丈夫だと心のどこかで確信を持った。
「これから先はどうなるか分からないけど今は綺羅さんの傍に居たいです」
彼女の答えを聞いて綺羅は満足そうに微笑んだ。
「お前に永遠に消えぬ愛の刻印を刻んで俺色に染め上げよう。他の誰かではなく……俺を選ぶなら傷付けずに守り抜くと誓う。契約を望むなら誓約を……」
ー汝 我に愛を捧げよー
コメント
3件
うわぁ…第1話からもうドキドキが止まらないんだけど…!?!?😭💕綺羅の独占欲と執着、ヤバすぎじゃない!?「俺が奪う」って宣言からのキスマークに神酒って、もう完全に運命の赤い糸どころか鎖で繋がれてるよ…!しかも彼女が戸惑いながらも「傍に居たい」って絆されてく流れ、最高すぎる…。この先どうなるんだろう、続きが気になって仕方ない!!🔥🔥