家では今日も会話がなく家事をして1人ご飯を食べていた。
「楓、宿題は終わったのか」
「終わったよ」
低い声で話しかけてきたのは普段は仕事で家を開けている父だった。父は家族の中で私とコミュニケーションを取ってくれる唯一の人だ、父は私を人と見てくれている。父は仕事が忙しく家に普段居ない。
長期休みの夏休みと新年は家にいるので家での会話はこの2回の休みだけだ。
「明日久しぶりに2人で釣りに行くか」「うん」
父も母と妹が嫌いだ、嫌いでは無いのかもしれないが仲がいいとは言えない。
父は昔から私を連れて釣りへ行っていた。
釣りは3年ぶりだ。
「いつもすまんな家を任せてしまって」
父は私のことを気にしてくれていたようだ。
「全然大丈夫だよ」
咄嗟に着いた嘘だった。忙しい父を心配させたくなかった。
釣果はサバが2匹とリリースをしたゴンズイ1匹だった。家に帰ると家には誰もいないので2人でサバを捌き昼ごはんを作り食べた。
「美味しいね」
父が発した一言に何故か涙が溢れてきた。
こんな1日がとても幸せだった。
「大丈夫か?大変だったな、沢山泣け」
父は優しい言葉をかけてくれた。
「落ち着いたか?」「うん」
父はとても心配した表情をしていたが、何かを察したようでこれ以上何も聞いてこなかった。
たくさんのことがあったが今年の夏休みは終わり
またいつもの日常に戻る…
コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!