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最終章〜君のためなら…〜
俺の家から唯華の家までの距離は徒歩10分。
尚更、最上階まで行かねば。
やはりあの言葉が引っかかる。
(しにたいっておもってる。今までいつもありがとう。)
嫌だ。まさか。な?
マンションに着いた。エレベーター。クソ。故障中。階段で行くしかない。
俺に出来ることはあるのか。ないのか。あると信じたい!進め。くじけず、足を痛めても、どんだけ心が折れようとも。俺は、あの人のことが
着いた。ドア。空いている。部屋を探しても、居ない。ベランダ。
唯華!!!
待て。何してる。辞めろ。
唯華「え。謙也、、、?」
謙也「唯華。手を離すな!持ってろ!」
唯華「ごめん。なさい。でも、私が生きてても……」
謙也「いいんだ。唯華。生きてることが辛くても。死にたくても、生きてて。俺は、俺は、」
唯華「……ねぇ。謙也。」
謙也「なんだ。あぁ!強く握れ!絶対落ちるなよ。」
唯華「生きたい。助けて。まだ、死にたくないよ。」
謙也「分かってる。そこに足かけて、」
唯華「わかった」
謙也「よーし。そのま……」
唯華「謙也ぁ」
俺は、滑り落ちた。ただ、唯華は助かった。
よかった。
落ちてる時って、無抵抗だな。何も出来ない。まぁ、楽しかったよ。
地面に落ちた瞬間。暖かった。
あぁ、これが死。というものか。
その瞬間俺は眠った。
最後に聞こえたのは。
人々の悲鳴。
唯華。強く生きてくれ。
目覚めると、病院にいた。ただ、体は動けない。息もできない。神様が最後のひとときを与えてくれたのだろう。
泣いて手を握る唯華
謙也「唯華。唯華。生きてくれて、ありがとう。そんな唯華。のことが 」
唯華「ごめんなさい。本当に。ごめんなさい。あなたの事を守られなくて、迷惑かけて、本当に。ごめんなさい。守ってもらったのに、何も出来ない。」
謙也「いいんだ。俺は、唯華が生きてくれれば。」
謙也「ねぇ唯華。ひとつだけ最後の願いを聞いてくれ」
唯華「最後なんて言わないでよ。」
謙也「唯華。強く、生きてくれ。この先何が、あるかなんて、俺にも分からない、ただ、死なないで。生きる分まで生きてくれ。俺の、分まで。」
唯華「そんな、一緒に、生きてよ。」
謙也「俺は、もう、だめなんだ。どこにも行かない。約束する。指切りを。」
唯華「そんな。ねぇ。」
謙也「どうして。泣いてるの。この、号泣をよく知っている。知ってるんだ君は、ここに居るんだ。」
唯華「ねぇ。」
謙也「今まで、ありがとう。」
唯華「謙也…?謙也…!謙也ぁ!」
コードブルー。コードブルー。3号室。
繰り返す。
コードブルー。コードブルー。3号室。
鳴り響く。唯華は何をしたら分からない。
先生「心停止、胸骨圧迫を。」
先生「どいてください。」
唯華「謙也を助けてください。お願いします。本当に。お願いします」
先生「最善を尽くします。」
俺は、真っ白なところで、戦っている。まだ、死ねない。唯華を残して、死ぬ訳には行かない。
先生「手術を開始する。」
長期にわたる手術。
唯華「先生。どうなんですか。」
先生「ひとまず手術は成功しましたが、脳に損傷がほかに見られた場合、意識を取り戻すことは限りなくゼロに近いでしょう。回復を願うしかないと思います。」
唯華「謙也。どこにも行かないって、約束したじゃん。」
唯華「明けない夜は無かった。そうでしょ。目覚めて。おねがい。いつでも待ってるから」
泣き声が響き渡る。俺は、葛藤する。
俺は、君を。忘れない。