テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
126
何でもちゃんの研究室
何でもちゃんはまた自販機の裏で研究を進めていた。
「これでAの液Bの液を合わせれば何か反応が起きるはず!」
そうしてAの液とBの液を混ぜ合わせた瞬間、爆音が研究室に響き谺した。
「!?っゲホッゲホッ… 何かおかしかったかなぁ?
…あっ!Bの液、オレンジジュースと入れ替わってた!?」
こんなかんじで、何でもちゃんの研究は結構滅茶苦茶だ。
「うわ~ん!髪の毛が鳥の巣みたいになっちゃったよ~っ…
こういう時は『サラサラ戻し液』を買わなきゃ… って高-っ!?」
人間以外用のネットショッピングのページで、何でもちゃんは指が止まった。
残っている財産を合わせても、あと1000円足りないのだ。
「よし!こうなったら、自動販売機で稼ぐしかないっ!
おりゃーっ!!!」
そうして何でもちゃんはボタンを押すと、外の自動販売機が光りだした。
…今日も誰かの運命が動き出すのだった。
運命の糸電話サイダー
俺の名前はハルト。中学2年生の地味な男子だ。
最近、ユイという同級生に片思いをしている。
どうやらユイはいじめを受けているようなのだが… 助けることなんてできない。
助けることが出来たらかっこいいだろうなぁ~…
そう手っ取り早く距離を近づける方法とか、いい告白方法とかを考えても、
やっぱりいい案なんて出ない。
魔法とかがあったらいいのになぁ~…
そう思った瞬間、こんな看板が目に入ってきた。
運命自動販売機
あなたも素敵で奇妙な一本を…
手に取ってみませんか?
たったこれだけの文字に心打たれた気がした。
絶対に何か買おう!
そう思った瞬間、こんな文字がまた目に飛び込んできた。
運命の糸電話サイダー
炭酸はあまり好きじゃないのに、心を鷲掴みにされた。
買おう!このサイダーをどんな値段でも買ってやる!
心臓が激しく鼓動し始めた。
…値段は1000円。
自動販売機の飲み物にしては高くないか?
と疑問を持ったが、ここで引くわけにはいかない。
思い切って財布の中から小銭をかき集め、ちょうど1000円入れた。
…だが、ボタンを押して10秒待っても出てこないので、
不思議になり、しゃがんで取り出し口を覗いてみた。
すると、驚いたことに人間の目があった。
「うわああああああああああああっ!!!」
これは自動販売機だ。中に人が居るわけなんてないし、
取り出し口で目が合うなんて、絶対おかしい!!!
すると、包帯でぐるぐるに巻かれた小さな手が飲み物を掴んでいるのが
取り出し口から見えた。
「ま、まさかほんとに人間がやっているのか…!?」
すると、少女のような声が中から聞こえてきた。
「私は人間じゃないけどさぁ… そんなに驚くほどではないと思うな。」
まさか、中には妖怪がいて、その妖怪が中で自動販売機を経営しているとか…!?
少女の声の妖怪が人間を釣って食べてくるとか…!?!?
一応身構えたが、本当に襲ってくることも何もなかった。
どうやら良心的なようだ。
…だが、取り出し口で目が合った時の衝撃は忘れられない。
心臓が飲み物を手に入れた興奮と妖怪(?)に出会った恐怖でおかしくなったと思った。
だが、最後には飲み物を手に入れた興奮が残った。
やっとこのサイダーを飲める!そう思った瞬間、また自販機から声が聞こえてきた。
「その飲み物、好きな人と見えない糸でつながっちゃうんだよ❣
…でも、糸はすぐたるむから自分で引っ張らないといけないんだ。
じゃ、頑張ってくださ~い!」
…糸はすぐたるむ? どういう事だ???
というか、最初の方は厳しい母のような声だったのに、
最後は可愛い少女のような声になるのが違和感がすごくて、逆に印象に残ってしまった。
というか、速く飲まなきゃ!
ゴクリ
ぷつぷつ口の中でとはじける泡が心地よくて、くすぐったくて…
甘酸っぱくてとても美味しかった。
「もう一個買っちゃおっかな…」
だが、そこには売り切れの文字が。
最悪だっ!!! と思ったが、 ラス1を買えてよかった とも同時に思えた。
…なんだか心が温かくて勇気がわき出てくる。
もしかして、僕とユイは結ばれるのか…!?
…あれからしばらく経ったが、一向に結ばれる感じがしない。
まあ、冷静に考えればそりゃそうさ。魔法なんてあるわけない。
あの商品は詐欺だと諦めかけたが…
運悪くユイのいじめ現場に出くわしてしまった。
ユイが言葉で、手で、足で、叩かれている…蹴られている…
いつもなら勇気が出なくて黙って通り過ぎていたはずなのだが…
心の底から勇気が湧き出てくる…?ここで無視しているわけにはいかない…!
震える足で叫んだ。
「やめろ!」
い…言えた!
「はあ?お前誰」
「陰キャ君はお呼びじゃないんですけどーw」
「もういいわ。あっち行こ?」
そうしていじめっ子軍団はどこかへ行ってしまった。
「あ、ありがとう…!」
ユイが僕の手を握った。
心臓が口から飛び出るかと思った。
そうして、僕とユイは正真正銘結ばれ始めたのだった。
その頃何でもちゃんは「サラサラ戻し液」を無事買い、髪を元に戻していた。
「お、あの男の子、頑張ったみたいだね。魔法なんてただのきっかけに過ぎないからね。
ま、何でも言葉に出す事が大事ってやつなのさ!」
満足そうに鼻歌を歌いながら、自販機を抱えてどこかへ消えていったのだった…
運命自動販売機
領 収 書
20××年×月×日 ×時×分
水田 ハルト
運命の糸電話サイダー ×1
合計1000円
無事ユイと結ばれる。
お買い上げ、有難う御座いました!
コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!