きょう鷹嶺ルイは新発売となるVRゲームを購入した。きょうの深夜から百鬼あやめと、ログインする予定だ。このゲーム、アンブレラウォーズは、穏やかに生活する世界で暮らしたり、モンスターを倒したり、戦争に参加したりと、自由な人生を歩めるゲームだ。今回、鷹嶺ルイはこのゲームに名を刻むガチ勢になるため、あやめより先にゲームにログインしていた。最初にログインしたのは、開けた平地だった。周りには風が吹いており、とても長い角を持つ牛のような生物の群れがいた。ゲームとは思えないグラフィック性に驚く。
「んー!こんなにすごいゲームとは……というか、異世界みたいだね〜。」
その時、彼方から、人影が近づいてきた。
「あー、あんたもプレーヤーか?」
その少年は黒髪に黒のコート、剣を携え、まさに黒の剣士というイメージが似合う少年だ。
「そうだけど……びっくり。朝4時からログインしてるなんて私だけだと思ってた〜」
「俺の名はキリト。あんたは?」
「鷹嶺ルイ!よろしく、キリト」
「うん…、一緒に拠点作りとかやらねえか?」
「お、良いねぇ!キリトはこういうゲームよくやるの?」
「まあな」
そういいながら、キリトとルイは、作業を開始した。まずは、みんなの共同の拠点となる、シェアハウス作りだ。幸い、ゲームなのでレシピはすべて画面に書いてあるーというのは従来のゲームだ。このゲームには、職業スキルというものがあり、設計図を作るには大工スキル、製図家スキルが必要なことは事前に分かっている。現在、ルイが持っているのは、スキル職人気質。これを選んだので、大工スキルは持っている。つまり今必要となるのは製図家のスキルだ。
「キリトー、製図家スキルってどうやってゲットするのー?」
「うーん、とりあえず地図をゲットすればレベル1は達成できたはず。」
地図のレシピは、基礎的レシピの中に入るので、書いてある。ドーパー(羊の種類の一種)の羊毛、マハチク山に生息する、ヤマドクカイコの絹があれば、作れるらしい。
「ドーパーはすぐそこにいるけど…マハチク山登るのは大変そうだね」
「………クエスト受注するか…!」
ゲームクリエイターやプレーヤーの交流地となる街、ブラッドセイユ。西洋風の青い建物や、馬車が行き交う高級街。そこの街の中央、ランドランク広場の掲示板に、ルイとキリトは来ていた。
「あ、あったよー!カイコの絹が報酬だってー!」
「おー、これは…やっぱ危険地区かー行きたくねーなー」
危険地区。日々戦争や、摩訶不思議な生き物が生きている、今いる安全地域をでた瞬間安全が保証されなくなる地域。
「そう?じゃー私一人で」
「それはだめ。あんた一人にさせねーよ」
「え……?」
(か…勘違いだよね?…でも…キリト、かっこいいかも)
キリトとルイは街の装備屋で装備をととのえ、危険地区許可所に来ていた。この許可所の門を越え、ジャイアント平野に出る。これはメタな話になるが、設定では危険地区から戻ってこれた者は存在しないらしい。そのクエストでカイコだけ、というのは文句が出るかもしれないが、今はこれしか方法がないので仕方ない。
「よし、ルイ準備できたか?」
「うん、バッチリだよ!」
そうして、二人は木造の門をくぐり、ついに雄大な平野に出た。ところどころ障害物や家の瓦礫などが見える。しかし、モンスターの気配はないが、すこしの曇り空が不安を煽る。
「うーん、モンスターねぇ…というか、今回のクエスト内容ってなに?」
キリトが呆れたように言う。
「覚えとけよ…えーと、平野を抜けた先の山で、グファラキノコを採取すればいいらしいよ、」
「なんだー、楽勝じゃー」
ん。と言い切ることは出来なかった。影が出来たので、上に目を向ける。ずんぐりとした、巨大な眼球がこちらを睨んでいた。ジャイアント平野、名前の由来。巨人の巣窟ー
「うがぁぁあああ!!」
「ぎゃあああー!!」
「ルイ!逃げ…」
隣を見るとルイは腰を抜かしていた。
「お前ホラゲーとか苦手なタイプかよ!」
そのとき、巨人が平手打ちをしようとしてきたので、キリトがルイを抱えて走り出した。瓦礫へと走り込み、逃げ込む。さいわい、巨人はキリトたちを見失ったらしい。
「ごめんっキリト…!」
「いや…大丈夫か?、某漫画みたいだな…」
「うん…!」
その時、瓦礫がドシャンとくずれ、巨人に見つかる。
「まじかよっ…!」
もう逃げるすべがなく、死亡を覚悟した瞬間、黄色い鎧をまとった金髪の少女が巨人の腕を豪速の速度で切断した。あまりの痛みに巨人ははるか彼方へと逃亡していった。
「ア………アリス!!」
「大丈夫ですか?キリト」
彼女は、キリトの戦友、アリスだった。間一髪だったが、間に合ったようだ。
「そちらの方は?」
「ああ……さっき知り合った、鷹嶺ルイだ。」
「助けてくれてありがとうございます」
「アリスです。よろしく。」
その時、瓦礫の向こうからさらなる大型巨人が出てくる。
「まったく…!キノコどころじゃねーな」
「キリト!一緒に片付けますよ!」
「ああ!ルイ!お前はとにかく山の方に走れ!!」
「わかった!!」
続く
コメント
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ルイ姉、最強ゲーマーになれるかな?頑張れー! ルイ姉を守るキリトカッコいいな。