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すちの腕の中で眠っていたみことは、ふと目を覚ました。
……すっちーの寝顔、かっこいい。
でも、こんな顔……他の人には見せたくない。
みことの中に、昨日までにはなかった感情がゆっくり芽を出す。
すちの胸にそっと顔を埋めながら、囁くように呟いた。
「ねえ、すっちー……もし他の人がすちくんのこと好きって言ったら、どうする?」
寝ぼけた声で「ん……?」と返したすちは、みことの瞳の真剣さに気づき、目を開いた。
「急にどうしたの?」
「……やだなって思った。誰かにすちくん取られるの……すごく、いや」
みことの声は震えていたけれど、確かな意志がこもっていた。
その言葉に、すちは一瞬で目を覚まし、嬉しそうに笑った。
「へえ……みこちゃんがそんな顔するなんて。かわいい。」
「かわいくない……俺、本気やから。……ねえ、約束して。すっちーは、俺だけのものでいて」
すちは満足げに笑って、みことの手を取る。
「もちろん。俺の全部、みこちゃんのものだよ。だから安心して?誰にも渡さないからね。」
「うん……俺も、すっちー以外見ない。……俺のこと、壊れるくらい愛してね」
そのとき、みことの瞳は甘さと狂気の混じった、独占欲の色に染まっていた。
それは、すちがずっと見たかった「自分だけを求めるみこと」の姿だった。
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すちがゼミ終わりに、他のメンバーと談笑しながら戻ってきた。
「──すちって、最近雰囲気変わったよね。誰か好きな人でもできた?」
そんな軽い冗談が飛んだ瞬間、廊下の影からじっと様子を伺っていたみことの心がざわついた。
(……なんでそんな顔で笑うん……)
すちが誰かと楽しそうにしている姿を見るたび、胸の奥がむず痒くて、息が詰まりそうになる。
言葉にできないこの気持ち――それが“嫉妬”だと、みことはまだ気づいていなかった。
その夜。
みことは、いつも通りすちの部屋にやって来た。でもその瞳には、いつもより強い光が宿っていた。
「……今日、すっごく楽しそうだったね。ゼミの人と話してたとき」
「ん? ああ、あれ?なんだ、見てたの?」
「……うん。見てた。……胸の奥、苦しくなった。なんでかな」
みことはすちの胸元をぎゅっと掴むと、上目遣いにじっと見つめた。
「ねえ、誰かと笑ってるすっちーを見ると、イヤな気持ちになる。……俺、どうしたんやろ?」
すちは少し驚いた顔をしたあと、すぐに優しく笑って、みことの頬にキスを落とした。
「それは、嫉妬ってやつだね。みこちゃん、俺のこと好きすぎて、おかしくなってきたんだね?」
「……うん。だって、すっちーは俺だけのものでしょ?」
そう囁いた瞬間、みことは自分からすちにキスを重ねた。いつになく積極的で、指先はすちのシャツのボタンを外していく。
「……証明して。俺だけだって、ちゃんと」
「……あーあ、火つけちゃったね、みこちゃん」
嫉妬から始まったみことの衝動は、そのまますちを求める行動へと変わっていった。
いつもは受け身なはずのみことが、自分から仕掛けてくる――
それがたまらなく愛しくて、すちは彼を力強く抱きしめた。
今夜は、すちがみことに応える番だった。
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