※この物語はフィクションです。
実在の人物及び団体、事件などとは一切関係ありません。
〈File21:椅子の足りない家族〉
「やあ、アブミ骨」
「ハア?」
彼女の目が三角に吊り上がり、ハシビロコウのような佇まいで俺を見据えた。
おかしい。
本当なら彼女は『アブミ骨』に興味を抱き、そこから話が弾む予定だったのに。
「説明させてほしい。アブミ骨というのはだな……」
どうにか彼女の眼中に入りたかったのだが、静かに首を横に振られてしまう。
給湯室へ行ってしまう彼女を追いかけ、簡易コンロの前に立つ彼女の傍に張り付いた。
「アブミ骨というのは耳の骨の一部なんだが、人体で一番小さいんだ。宝石のついた指輪に似た可愛らしい形をしていて――」
「いい、特殊性癖の説明しなくて」
「と、特殊性癖……?」
煩わしそうに手で払われ、取り付く島もない。
彼女は人と距離**********
***********************
*********
**************************
*********
*********
***************************
**************************
コメント
1件