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「はい、どうぞ」

「ありがとうございます」


 目の前に出せれたティーカップを手に取った私は、一言お礼を告げると中に注がれた紅茶を一口飲み込んだ。

 手元のカップをソーサーに戻すと、そっと視線を上げてみる。すると、優しく微笑みながら私を見つめる静香さんと視線がぶつかった。


「……真紀ちゃん、可愛いわね」

「えっ……!」


 突然そんな事を言われて、驚きにピクリと小さく肩が跳ねる。

 こんなに綺麗な静香さんにそんな事を言われれば、お世辞とわかっていても見る見る内に私の顔は赤く染まっていった。


「……かっ、可愛くなんてありません。静香さんの方がよっぽど綺麗で……羨ましいです」


 赤くなった顔を少し俯かせると、そんな私を見つめる静香さんはフフッと小さく声を漏らした。


「ありがとう。でも、真紀ちゃんの方が可愛いと思うな。……茹でダコみたい」


 赤く染まった私の頬をツンッと軽くつつくと、優しく微笑む静香さん。その仕草に、私の胸はドキリと鼓動を跳ねさせた。

 相手は、女性だと言うのに。


(こんなことで、これから本当に一緒に暮らしいけるのかな……)


 とてもじゃないけど、私の心臓が持ちそうにない。

 早鐘のようにドキドキと高鳴る胸を押さえると、私はそれを抑えるかのようにして小さく息を吐いた。



【完】シェアハウス

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