~フラム宅~
進とマリーは、説得によりフラムを仲間にすることに成功した。
そして3人はこれからについて話し合いをすることとなった。
「ススム君、それでこれからの事なんだけどどうやってサンドルを倒すつもりなんだ?」
フラムが進に質問をする。
「ススムさん、さっきオレとフラムさんなら絶対に1年以内にサンドルに倒せるって言ってましたよね。」
「本当かい?マリー君!」
「ええ、確かに聞きましたよ!」
何故かマリーが胸を張って答える。
進は少し溜め息をついて、マリーとフラムさんに回答をする。
「そうですね、まずはオレは2人のことを仲間だと思っています。」
「だからこれから、2人はオレについてのことを話そうと思います。」
「そうだ魔坑道で、気になっていたんだが、サンドルはススム君のことを”神の手先”と言っていたよね。」
「それってどういう意味なんだい?」
フラムさんがそこに突っ込みを入れてくる。
「私も気になることがあります!」
「リカントって人が言っていた”未央様”って人を知っているみたいですけど誰ですか?」
フラムさんに便乗してマリーがジトーとした目で、こちらに質問をしてきた。
「まぁ二人とも落ち着いてくれ!順々に話すから!」
そうして、オレは二人にこれまでの事。
オレがここではない別の世界から来た事。
未央を追ってきたこと、アドミニストレーターとのこと、そして未央を見つけアドミニストレーターを倒し元の世界に戻りたいということ全てを二人には話した。
マリーとフラムさんは、ただ静かにオレの話を聞き入っていた。そして、オレが語り終えた。
「ススムさんは元の世界に戻るんですか!?」
マリーは何故かガッカリしているようだった。
この世界で生きていくため、強くするって言ったのにその前にオレが元の世界に戻ることを危惧しているのか。
そう思った進は、マリーにフォローを入れる。
「安心してくれマリー!」
「お前がこの世界で誰にも負けないくらい強くなるまでは、元の世界には戻らないよ!」
「そういうことじゃないです―――」
マリーは泣きそうな顔をしながら、小声でつぶやいた。
「話は戻るが、ススム君はどうやって一年以内にサンドルに勝つつもりなんだ?」
「まずは、地力の差が圧倒的に向こうの方が上です」
「なので、レベルを効率よく上げていきましょう!」
「効率にレベルを上げると言っても、俺は冒険者になって7,8年だがこれでも大分魔物を狩ってきたんだぞ」
「今更、大きなレベルアップを狙えるかと言われたら難しいんじゃないか?」
フラムさんが首を傾げて聞いた。
「フフフ…普通ならそうですよね」
「でもオレには、”超ラーニング”のスキルがあります」
「これがあれば、3人とも短期間で大きなレベルアップが期待できます」
「そうかさっき話したアドミニストレーターから貰ったっていうスキルか」
「確かにそれなら、短期間で強くなれるな」
「だけど、こちらがどれほど強くなっても奴には死ぬ間際の自動復活の魔法があるじゃないか!」
「それはどうするつもりなんだい?」
「まぁそれについては、オレに”秘策”がありますよ」
こうして、オレはその秘策についてマリーとフラムさんに語った。
「そ、そんな方法が…」
「ススム君!君は本当に天才か!?」
「ええだからオレは”天才”ですって何度も言ってるじゃないですか」
「確かにそれならあのサンドルに勝てるかもしれない!!」
「それとエリアの事なんだが、もしかしてススム君の白魔法でサンドルの魔法を解除できたりしないか?」
サンドルの灰魔法は人や物の生命エネルギーを吸収し、自分の物とするのが特徴。
オレの白魔法は逆に魔力(マナ)を生命エネルギーに変換するのが特徴だ。
そんな白魔法は灰魔法にとって天敵ってわけだった。
フラムさんが言っているのは、大量の白魔法をエリアさんに流し込むことで灰魔法を無効にするもしくは、白魔法の癒しの力でサンドルの掛けた呪いを解除できるんじゃないかと言う話だった。
それはまるで灰色の絵の具に大量の白色の絵の具を混ぜることで無理やり白色にするが如く。
「一応やってはみます。」
オレは寝たきりになっているエリアさんの前に立ち、エリアさんのお腹に手を当てた。
「白魔法:呪い解除(アンチカース)」
しかし、オレの魔法も虚しくエリアさんが目を覚ますことはなかった。
「申し訳ないです。どうやらサンドルの掛けた魔法の方が上ってことみたいですね。」
「いや、こちらこそ無理を言っていたみたいだ。」
フラムさんはどうやらオレの白魔法に期待をしていたのだろう。
少しがっかりしているようだった。
「でも、方向としては悪くないと思います。」
「単純にオレの白魔法がまだまだ弱いというだけで、レベルアップしたらまた試してみます。」
「そ、そうか。そうしてくれるとあり難い。」
「サンドルを倒すにしろ、白魔法でエリアさんを目覚めさせるにしろ何はともあれ、我々のレベルアップが必要です。」
「なんで、冒険者ギルドでクエストを探しましょう!」
「そうだな!行こうか!」
フラムさんは自分を奮い立たせ、エリアさんを助けるため立ち上がった。
「私も付いて行きます!」
マリーもやる気満々のようだ。
こうして、オレたちはまずレベルアップをするためクエストを求めてギルドに向かった。
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