というか、
紫色というより赤色と青色がぐるぐると
混ざり続けてるような…
「ねぇ寒珋、」
「何?」
「これ何色に見える?」
一か八かそう問いた。
「何って…」
「青だろ?」
青?
もしかして赤の地が送ったスパイみたいな
監視ドローン的な?
だとしたら、話聞かれてるってことだよね。
「それより女帝のことだが─────」
「ストーップ!!」
話始めようとする寒珋の口を慌てて自分の手で塞ぐ。
が、
「離せ」
と冷たい声で言われ、睨まれる。
「やっぱり人間なんて信用ならん」
そう言って怒ったようにどこかへ足を進める。
「待って!!」
私が引き留めようと声を出すと
「あのな!要件があるならさっさと言えって言ってるだろ!」
とほぼ同時に寒珋も大声を上げる。
「この魚..青じゃない…」
そう言いながら魚を指を差す。
「…は?」
呆れたような表情、声をしながらも
私の方へ戻ってきた。
「なんだと?」
眉間にしわを寄せながら確かめるかのように
聞いてきた。
「だから青じゃないんだってば!」
「なんか赤と青がぐちゃぐちゃに混ざってるっていうか…」
「紫色みたいに見えるし…」
そう私が言うと
「分かった」
と言いながら寒珋は金魚を握り潰した。
グシャリという音と共に絵の具のような何かが辺りに飛び散る。
「よくやった」
そう言いながら見たことないような
満面の笑みを浮かべながら、
私の髪をぐしゃぐしゃと撫でた。
「小娘、気に入った」
「屋敷に入れてやる」
そう言いながら私の腕をグイグイと
引っ張って歩く。
ここら辺、地面がツルツルしてて滑る。
転んでしまったらどうしよう…
そんな不安を抱えていたが、
気づけば屋敷前に着いていた。
「歩くの下手だな」
「産まれたての子鹿みたいだぞ?」
そう言いながら嘲笑う。
「逆に歩けてる寒珋がおかしいんでしょ!!」
「そういえば小娘、絵は描けないのか?」
「絵?」
「絵なんて不得意中の不得意だっつーの!!」
「そうか…」
なんでそんな悲しそうにするのさ…
罪悪感に押し潰されそうになるからやめて欲しい。
「…楽器なら弾けるけど」
呟くようにそう言う。
楽器。
なぜだか小さい頃から弾き方も分からないのに弾けたことがある。
それ以来、自分自身が怖くて楽器を避けていた。
「じゃあこれ弾いてみろ」
そう言って渡されたのは
*ハープ*のような楽器だった。
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