ci「…よ。」
sy「あれ、来たんや」
ci「だるいし」
sy「…俺らそろそろ怒られるなぁ」
そう言って膝を抱えて顔を埋めた
ci「…まあそんときはそん時やで」
手入れされていない小さな花壇の草が背の丈位まで伸びている
sy「これからもっとやばいことしていっその事停学になって学校休んじゃうか」
一瞬本気になったような顔をしてこちらをにやりと見る
ci「…やだよ、怒られるの好きじゃない」
そんなショッピを横目でちらっと見てまた腕に顔を埋めた
sy「ふふ知ってる」
ci「…そういうとこ」
sy「なにいやだった?」
ci「全然、寧ろ好き」
無意識で放った言葉に少し驚いたような顔をしてまたにやりと笑って目を逸らした
sy「……俺が結構前に仲良くしてたあいつ彼女できたらしいよ」
ci「へぇ、いいね彼女なんて」
sy「…キスとかハグとかしたけど気持ちよくなかった、って言うからどんなもんなんだろうって。」
ci「ショッピはモテるんだから彼女作ってそういう事しなよ」
sy「……要らないよ、気遣うのって疲れるの分かるだろ」
ci「いつも無愛想なくせに」
sy「チーノはしたくないの恋人とする特別なこと」
ありの行列が小さなあなに食べカスをせっせと運んでいるのが見えた
ci「…俺だって男だもんそりゃあしたいよ」
小枝でありの行列を乱してショッピの顔を横目で見た
いつ見ても何を考えてるのか読めない
sy「…恋人繋ぎとか、キスとか、ハグとか
……あとはエッチとかべつに恋人っていう関係じゃなくてもどれも出来るよな」
ci「線引しないとだめなんじゃないの、暗黙の了解と言うか、常識以上のことみたいな認識なんでしょ」
sy「…そうなのかな……」
少し考えたような顔をして納得するとまた視線を地面に落とした
ci「ショッピもしたいの、そういうこと」
sy「…俺はしたい」
ci「……ふーん」
後ろから冷たい風が吹いた時にちょうど体育の教師の声が聞こえた
「おいチーノショッピ、早く出てこい」
どうやら隠れ場所はおおよそバレていたようで体育館裏をうろうろしていた
sy「あ、やべ。チーノそこのフェンスから降りて校門に回るぞ」
そういうと直ぐにフェンスにまたがって急な坂を降りた
ci「え、ちょっと…早いってば、待ってよ…!!」
俺も慌ててついて行こうとするが背中からすぐに体育のあいつの声が聞こえて捕まってしまった
「…これから職員室だ、ショッピはどこに居る」
呆気なく身柄を拘束されて職員室に連行されてしまう
ci「知らないです」
ぷいと顔を逸らしたところでちょうど木陰に隠れているショッピと目が合って思わず笑ってしまいそうになったが堪えてまた反省したような顔を見せた
「次やったら親御さんに連絡が行くからな、とにかく職員室に来なさい」
ci「…はい」
また木陰の方をちらっとみると隠し持っていたスマホで俺の事を録画してからかっていた
…
16時が過ぎるとすっかり夕日は赤くなって日が照る時間も限られていた
靴箱で靴を履いてから正門の横でチーノを待った
後ろから肩をとんとんと叩かれると、朝から見たチーノの姿がまた見えた
ci「はよ帰ろ」
sy「…うん」
多分、チーノには話しかける勇気がないだけで明るさやコミュニケーション力は圧倒的にチーノの方が勝っている
sy「どうやった?今日の怒られたやつ」
ci「バリだるかったで、次からはもっと上手く隠れなあかんなぁ…」
sy「あぁそうだちゃんと動画撮っといたであとから見返すの楽しみやわ」
ci「辞めてや、もうあいつに目付けられたな」
sy「目付けられてからが本番だろ」
ci「控えめな性格のくせにこういうとこだけ……」
はぁ、と溜息をつくと呆れたように言った
sy「怒られたの、そんなに効いた?」
ci「俺がメンタル弱いこと知ってるだろ」
sy「…寄り道しよっか」
落ち込むチーノを見兼ねて気分転換にでもと誘ってみたがあまり乗り気じゃないらしい
ci「……疲れたし、」
sy「そ、…じゃあいいや」
ci「…」
まだ元気にならないチーノをほっとけなかったが、これ以上どうすることも出来なかった
うーん、と沈黙の中考えているといつの間にチーノの家の前に来ていて別れることになってしまった
ci「じゃあまた明日ね」
sy「…うん」
口だけ笑うと、玄関を閉めて姿が見えなくなってしまう
結局どうすることも出来ずとぼとぼと家へ帰った
…
家に帰ってから直ぐに制服のままベッドに倒れ込んだのは17時頃だっただろうか
それから寝落ちしてしまっていてスマホを見たらもう23時になっていた
やらかした、と少し罪悪感に襲われながらぼーっとスマホを見た
するとちょうどチーノからmineで今会える?と1件届いた
落ち込んだチーノを過度に心配しすぎた俺は会えるよと送った
するとじゃあ、公園で待ってるとすぐに返信が来た
急いでブレザーを羽織って静かに家を出た
流石に夜になると冬の寒さが本気を出して鳥肌が立つほど寒い
徒歩1分以内にある隣の公園に着くとチーノが街灯の下のベンチで俯きながら手を暖めようとしている姿が見えた
そんなチーノに近づいて隣に腰をかける
sy「…どうしたん、急に」
ci「なんか会いたくなっただけ」
sy「お前もっと厚着してこんと風邪引くぞ」
シャツ1枚だけで厚着をしていないチーノの手はとても冷たかった
そんなチーノにポケットに忍ばせていたカイロとブレザーを着させると、ありがとうと掠れた声で言った
ci「おれだけに優しいのとか、こうやって構ってくれるのうれしい……」
相変わらず顔の角度は地面を向いたままで、影ができた横顔はよく見えないが少しだけ口角が上がっているのが見える
sy「…お前虐められてる訳ちゃうよな?」
ci「ううん、時々訳もなく落ち込む事があるだけだよ。ショッピが居るだけでいつも楽しいから毎日落ち込まないで済むんだよ」
sy「……手貸して」
ci「…うん」
チーノがこっちに手をくれると手を繋いでブレザーのポケットに突っ込んだ
sy「暖かいやろ、まだお前の手も冷たいから」
ci「……あったかい、カイロよりずっとあったかいよ、ずっと手繋いで」
へな、と笑うと安心したように身を預けた
sy「……今日はえらい甘えんぼやね」
ci「…不安定な時に寄り添ってくれるとうれしいから、もっと求めちゃうだけ」
sy「いいよ、お前の親友だからもっと甘えてええんやでいつでも頼ってや」
ci「うん、ショッピしか居ないもん」
いつの間にポケットの中の手は指を絡ませて繋がっていた
sy「この手の繋ぎ方が一番あったかいな」
ci「あったかくてとくべつなかんじするから好き」
sy「恋人繋ぎやから特別なんじゃない?」
ci「でも俺たち友達だよ」
sy「今だけ特別なんだよ」
ci「……今だけ友達じゃないの?」
sy「…うん」
俺が頷くとぱあっと顔を明るくしてハグを要求した
sy「…ええけど、今だけやからこういうの…」
勘違いされないように、忠告だけすると両手を広げてチーノをぎゅっと抱きしめた
ci「…おちつく、少しどきどきするけど…すごくあったかい」
sy「……うん、俺も暖かい」
?
夜になると判断力が鈍るとか、日が沈むと不安になるとか、そういう夜だけの気持ちで、テンション感で今こうしているだけであってこれまでの関係もこれからの関係も変わらず友達のままだ
そうだ、チーノを暖めているだけ、それだけ
チーノの服や髪から香る柔軟剤やシャンプーの匂いが心臓の鼓動を早くさせた
肩を並べて歩くだけの距離感じゃ分からなかった匂いが今鼻のすぐ近くにいる感覚がなんとも妙で変な感覚でおかしな気分になりそうだ
傍から見たらただのバカップルに見られてるのかな。
sy「…夜だからきっとおかしいんだよ、俺たちの関係変わらないのに」
まだ抱き合ったままで、何となく口から出た言葉
ci「……今だけ、恋人ってことでもいいんじゃない」
sy「どういうこと」
ci「全部夜のせいでいいよ、夜だから考える力が落ちるんだよ。だからこうして抱き合ってるのも全部夜のせいで、今だけ恋人になるのもそういう関係でも俺はいいよ」
sy「……うん俺も、いいよ。」
そういうと指を絡ませた手がぎゅっと固く結ばれた
心臓がきゅうっとなってドキドキする感覚が人と抱き合う感覚がくせになりそうで抜け出せなくなりそうで怖かった
ci「…明日、昼間ずっと眠くなっちゃうね」
sy「せやなぁ…日が昇る前に帰らんとな」
ci「……うん」
公園の時計を見るともう3時半を指していた
sy「もう、暖まった?」
ci「…うん、ぽかぽかしてる」
ふわっと笑う顔が前から好きだった
sy「しゃーなし俺が飲み物奢ったるわ、何飲む?」
ci「ほんま?じゃあコンポタ!!」
sy「じゃあ俺も同じのにしようかな」
あったか〜いと書かれた小さな缶のコンポタージュは2つ買うと、ボタンの上に売り切れと表示が出た
sy「チーノ投げるで」
ベンチでカイロをシャカシャカしながら楽しそうに待つチーノに熱いコンポタの缶を投げた
ci「ありがと」
sy「明日寝坊すんなよ」
ci「しないってば。」
ci「夜に会いたくなったら呼んでいい?」
sy「ええで」
ci「…うれしい、ありがとう…」
sy「お前メンヘラ並にメンタルがぐらぐらなんやからいつでも頼ってええんやで、お前の友達は俺しかおらんのやろ?遠慮すんなよ」
ci「…頼るめっちゃ頼る」
sy「よし、もう遅いし帰ろか。な、もう寂しくないやろ」
ベンチを立つとすっかりチーノも元気になったようだった
ci「うん、ありがとうなほんまに!またね」
控えめに手を振ってチーノと逆方向に向かうと、既に空が明るくなり始めていた
sy「…はよ寝な。」
展開早くしすぎました
チーノが思ったよりメンヘラしてる‼️
でもこの関係グッとくるんで個人的には👍
今夜中にまた作品あげれそうだったらあげます‼️‼️
いんまさんも久しぶりに書いてるとこです‼️
仲がいいからこその気だるさ感がいいんです
コメント
4件
めっちゃ好きなストーリー!! 応援してます💪
ciがかわいい!!!syp裙のハイスペ彼氏感がすんごい
ストーリーがめっちゃいい,,,続き待ってます!!!