パンポーン。病院のチャイムが鳴る。
僕はあと、
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サンサンと太陽が照りつける朝、腕から下げたエコバックから処方された薬を入れたビニール袋がカサリと音がなる。
中でガーゼ、薬、塗り薬、もしもの時のインスリンなどが仲良く揺れていた。
病院の行き帰りはもちろん徒歩。といっても、体力が無い貧弱な僕には休みなしでは帰れない。
『病院に行き、診察と経過観察の報告、会計をすまし、処方されたガーゼ達をエコバックにいれ、途中のショッピングモールで休憩、必要に応じて食用・生活用品を買って帰る』というのが月のルーティーンだ。
「もう春だなぁ…」
ボソリと呟く。
今日はあまり体調が優れないので足取りがいつもより重い。ようやく坂の頂上まで登り終わり一息つく。
「キツっ……」
曲がり角を曲がってすぐの綺麗なアパート。鍵穴に鍵を差し込み反時計回りに回す。
カチャリと軽快な音を立て、鍵が開いた。
空いている方の手でドアノブを押し、ドアを空ける。
「ただいま」
誰もいない部屋に虚しく響く僕の声。
新築なアパートなだけあって洒落た造りをしている。
1LDKの部屋、玄関のすぐ横に小さなキッチンスペース。コンロはガスじゃなくてIHにしてもらい、風呂とトイレは一緒。だけど自分的には過ごしやすくていいと思う。
窓を開けると、高台にあるので町の景色を一望できる絶景スポットだ。
前、住んでいた町よりも自然があるし、空気も澄んでいる。
重かったと呟きながら荷物をガサリと床に置く。
物置と言う名の収納スペースから救急箱一式と鞄から持ち歩き用のポーチを取り出し、エコバックに入っているガーゼ達を床に並べる。そいつらを補充したり、収納したりして床を綺麗にしてからお昼休憩。
学校は体調次第。毎日行けるときもあれば、1・2週間行けないときもある(病院に通院するときや入院してるときはもちろん行けない)。高校に通う前、仲の良いおっちゃんに頼んだから毎日軽トラで送って行ってもらっている。おっちゃんとの連絡先は交換しているため、急な入院でも問題無し。
「ごちそうさま」
食べ終わった食器を洗って、また一息。
「ガーゼ変えよ…」
今日は、朝にガーゼを替えられなかったので太ももと腕のガーゼを替える。
春になり、環境の変化で肌が荒れたり、血が出てくるときがあるためその処置をしなければいけない。ガーゼは剥がして貼るだけだからあまり時間は掛からないが傷の匂いがすごいときがあるため、だいぶ気が滅入るときが多々。
傷が見えちゃったりするから薄い長袖は必ず着るようにしている。
(貧血気味だし、顔色メッチャ悪いけどいいか…)そんなことを思いながらごみ捨てに行く。
アパートの階段を下り、指定のごみ捨て場にごみを捨てる。
「あら、神楽ちゃんじゃないのぉ」
後ろから声が聞こえた。振り向くと大屋さん…鈴木さんがにこやかな笑顔を浮かべて掃き掃除をしていた。
「鈴木さん、いつも笑顔が素敵ですね! あと、僕は男ですよ?」
「どっちだって良いじゃない? 神楽ちゃんは可愛いしかっこいいわよ!!」
「ありがとうございます」((ニコッ
ちょっと座りましょうよと椅子を出してくれる。やっぱりここら辺の人達は優しくて好きだ。
「最近どぉ? 学校は?」
「なかなか行けないですねぇ…」
「あらま、大丈夫??」
「はい! 今は貧血だけなんで!」
「それと、今日は病院で報告と薬もらって来ただけなので」
「そう? いろいろお大事にねェ? 頑張って!!」
「ありがとうございます!」
ちょっとのお話だが、だいぶ楽になる。
かなり自己紹介が遅れたね。僕は『天月 神楽』(あまつき かぐら)。近くの高校に通う17歳。さっきから言っている通り生まれつき病弱な身体をしている。
傷が絶えないから傷の匂いが大嫌いなお父さんにとっちゃ、僕はただのトラブルメーカーだろう。出来るだけ身体に優しいところに住もうとお母さんの援助をもらいながら、逃げるように一人暮らし。
ただ、その分ストレスは減ったためこの生活は気に入っている。
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いつも通りの朝。病院で検査を終え、会計を済ますためそのまま待合室へ。
(この前の月も行ってたっけな…)そんなことを考えながら名前が呼ばれるのを待つ。少し違っていることは、午後には学校に行こうかなとジャージ姿で来ていることだ。
「あれ? 同じ学校じゃん??」
不意に言葉を掛けられた…。
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