テラーノベル
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「俺たち、なんで斬り合わないといけないんだろうな」
そう涙をこぼすのは、刀を俺に向けて構えた俺の幼馴染。小さい頃は一緒に鍛錬を積み、学業を学びにいく先も同じで、いちばん初めに仕えた人も同じだった。
この先もずっと同じ道を歩んでいくものだと思っていたのに、どうして今、こんなことになっているのだろう。
なんて冗談。理由は簡単、今お仕えしている殿方が違うからだ。
どんなに同じ内容のことを同じ場所で学んでいたとしても、そこから何を思い考えるかは個人によって違う。……これも、その延長線上にあるものだった。
俺がついて行ったのは源頼朝様率いる源氏の軍。山道で悪党に襲われて1人じゃ太刀打ちできていなかったところに偶然現れた頼朝様が、直々に手をお貸しくださった。
以来その強き背中と慈悲深いお姿について行こうと、俺は忠誠を誓いお側に仕えさせてもらっている。
そんな中、俺の幼馴染は気がつけば頼朝様と敵対する相手、平清盛様にお支えすることが決まっていた。
お互い忠誠を誓おうと思えるお方が見つかって良かったと喜び合ったものの、俺たちの間では……いつか、敵として対峙することになるのかもしれないと考えるようになった。
そして今に至る。
俺たちの後ろにはそれぞれの護衛たち。あまり仲良くしていると、裏切り者ではないかと怪しまれてしまう。
それでも溢れてくる涙。この感情を完全に抑え込まうとするには、俺たちはまだ幼い。
「……いつかこうなるって、分かってたのにね」
溢れる涙をぬぐうこともせず、俺たちはただ見つめ合って刀を交わす。
「渡辺殿、どうしたのですか」
なかなか一歩を踏み出せない俺たちの空気に割って入るように、翔太の護衛が口を開く。
「……うるせぇ。幼なじみなんだよ」
「っ!」
翔太の一言で、ここにいる全員が俺たちの気持ちを理解したようだ。護衛たちは抜いていた刀を鞘に戻した。
「……ならば、このままここを去っても」
「それが出来ねぇことくらい分かってんだろ、お前らも!」
翔太は俺から目を逸らすことなく護衛に咆える。
ただの幼なじみと生涯を誓った忠誠、どちらを優先すべきかなんて分かってる。
ここで逃げたとしても、遠くない未来で必ず俺たちは対峙する。同じ軍勢の知らないやつに、自分の知らないうちに友が倒されるくらいなら、ここで自分が手を下す方がよっぽどいい……
「……来世では、一緒に過ごそう」
俺がそう呟くと、翔太はより一層涙を零す。
「……ああ」
涙で掠れた声を聞いて、俺たちは同時に刀を振った。
目の前に飛び散る赤い飛沫は、一体どちらのものだったのだろうか。
雪月❄️
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乃愛⚾☃️
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コメント
1件
うわ…重い、美しい…。幼い頃から一緒に育った仲間が、違う主君に仕えることで刃を交える展開、読んでて胸がぎゅっとなったよ。特に「来世では一緒に過ごそう」の台詞、涙なしでは読めなかった。お互いの立場を理解しつつも、それでも涙が止まらない描写が生々しくて、一瞬でこの世界に引き込まれた。切なすぎる…!