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私の人生
第一章~違和感 開幕~
私の名前は神崎麗香。
私は物心ついた頃から東京のとある市内に住んでいた。
幼い頃、両親が離婚し、東京に帰ってきた。
今では母、妹、そして私達を住まわせてくれている義祖母、義祖父、義兄、そして私の六人で暮らしている。
母が看護師だから、とても裕福とも言えないが、生活に困ってもいない。
でも、生活には困っていないが、母は昔から週一、週二程度で夜勤に行っていて、幼いながらも寂しいと感じていた。
母が仕事で忙しいので、私と妹が小学校に上がるまでは母の勤務先に近い託児所に良く預けられていた。
私は託児所が嫌いだった。
好き嫌いがあったら怒られる。お昼寝の時間に眠くなくて、近くの子と少し喋ったらその子から隔離される。その頃とても幼かった私は、怒られる事に酷く恐怖を覚えていた。
「なぜ私がこんな思いをしなきゃいけないの?」
何度も思った。逃げ出したかった。悲しいと泣けば怒られるかもしれない。だから泣けなかった。いや、幼すぎて、悲しいという感情すらも分からなかったから……。
母の仕事が終わり、迎えに来るといつも安心した。母はいつもお決まりの質問をする。
『楽しかった?』
私もお決まりの回答をする。
「うん!」
たとえ楽しくなくても、辛い思いをしても、楽しくなかったなんて、言えるわけない。
母も忙しいんだ、疲れてるんだ、私達の為に働いてくれてる、だから私が辛い思いをする事なんて当たり前だ、仕方ないんだよ……。
自分の感情を押し殺し、元気な子のフリをする。もしかしたらその頃から、自分の意見を言えない子になっていたかもしれない。
幼稚園に入っても、私の考え方は変わらなかった。周りのことを考えて、怒られないように、虐められないように。
私に良く一緒に遊ぼうと誘ってくる子に、自分の意見がない子がいた。
その子は何で遊ぶにしても私にこう聞く、
『ねぇ!私は何したらいい?』
私はいつも丁寧に返していた。
「じゃあ○○ちゃんは、この役でいい?」
基本その子は何の役でもいいよと返す。
ある日、私はいつも通り、その子に何をしたら良いか聞かれた。
いつもの私なら間違いなくこう返す。
「じゃあ、この役とか?」
だけど、私は何故かこう返してしまった。
「ん~ちょっと自分で考えてみない?」
今でも何故こう返したかはわからない。でも、何故かこの言葉が頭に浮かんできた。
案の定、その子は泣き出した。私は怖くなった。その子が泣いている事に怖くなった訳じゃなく、私が何か間違えてしまった事に怖くなった。
「怒られる……。」
その言葉が私の頭の中を埋め尽くした。託児所にいた頃と同じような恐怖、とても気分が悪かった。
あまり覚えていないが、怒られはしなかったと思う。ただ、事情を聞かれただけ。近くにいた子達が私の弁解をしてくれて、怒られもしなかったし、特に何も言われなかった。
けど、その出来事は、私に深く刺さった。
「もう失敗しないようにしないと……。」
その出来事から、私は……
次回、違和感 続