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雨花「なんかおでんの大根……食べたい……」橙「それ前も言ってましたよ」
雨花「今日は中秋の名月かぁ〜」
???「お月様がまん丸じゃない。綺麗ね」
???「前もフリマの時観たよな〜」
雨花、橙は分かりやすく「桃時」に月に関するワードを振った。「瑠璃人」も釣れたが。
兎白「なぁ桃時」
桃時「ん?何?」
兎白「一緒にお月見しないか?」
瑠璃人「おっ!いいっすね!それ!オレm……もむっ!?」
雨花は瑠璃人の口を塞ぐ。
雨花「わたしたちは先帰るね!」
橙「はい!用事があるので!」
瑠璃人「むごもごおごぐふぉ!?」
桃時「そう?じゃあ二人でやりましょ」
兎白「あぁそうしよう」
雨花「じゃあわたしたちはこれで〜」
橙「さようなら〜」
瑠璃人「むごぉーーーー!!!!」
雨花と橙は、瑠璃人を押さえ込みながら早々に生徒会室から退出した。
桃時「あいつら何なのかしら?特に瑠璃人……」
兎白「…………行こう。中庭からはよく月が観えるんだ。だから中庭に行こう」
桃時「あぁそうなのね。じゃあ行きましょ」
兎白と桃時は中庭に向かった。
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橙「じー」
瑠璃人「で?何なんだよ。この状況。何で屋上にオレたちはいるんだ?」
雨花「ここからなら二人の姿がよくみえる!」
橙「今からプロポーズするんですよ?桃時さんに兎白さんが」
瑠璃人「が、」
「「ガチで!?!?!?!?」」
雨花「ちょっと声デカイよ」
橙「そうですよ。台無しにするつもりですか?」
瑠璃人「あっ悪ぃ……」
雨花「あっ、二人が出てきた」
瑠璃人「オレも双眼鏡でみよ」
桃時「本当に今日はお月様がまん丸ね」
兎白「あぁそうだな」
桃時「みて。月下美人が咲いてる」
兎白「綺麗だな」
兎白はどうやってプロポーズに持っていくか考えていた。しかし、持ち運びが分からない。
桃時「月と言えばアタシ知ってる話があるわ」
兎白「知ってる話?」
桃時「えぇ。昔あるところに兎と狐と猿がいました。ある日、三匹は道端に倒れている老人をみつけます。掠れた声で助けを求める老人のために、三匹は食べ物をみつけに行きます。猿は柿の実を。狐は魚を老人に食べさせました。しかし、兎は何もみつけられず、自分の身を炎の中に入れて、その肉を食べさせます。その姿をみた老人は実は神様で兎に永遠の命と兎が好きだった月に住まわせてあげるのでした。……っていうお話」
兎白「何だか健気な話だな」
桃時「そうね。きっとこの物語が伝えたいことは特別な能力や才がなくても、今できることを精一杯やろうっていう話なんじゃないかしら?……でも」
兎白「でも?」
桃時「アタシはそうやって自分を犠牲にする人っていつか……いなくなっちゃうんじゃないかなって。いつか遠い場所に行ってしまうんじゃないかなって想うのよね。まるで自分を犠牲にした人は報われてるかのような言い方だけど、永遠にあんな遠い月の上で過ごさなくちゃいけなくなるなんて嫌よ。アタシなら……」
「「兎さんとずっと一緒にいれるのに」」
兎白「…………!」
桃時「アタシなら炎に身を投げる前に「もう充分だよ」って言ってあげたい。美談にするために試すようなことして見捨てたりしない」
兎白「…………」
桃時「絶対に独りなんかに……」
ぎゅっ
桃時「?、どうしたの?兎白?」
「「めちゃくちゃ顔熱いわよ?」」
兎白「……そういう……」
桃時「ん?」
兎白「そういう恥ずかしいこと……言うなよ……」
桃時「は?何で恥ずかしいっていう話に?」
兎白「俺もだよ」
桃時「兎白?」
兎白は桃時の目を真っ直ぐみて、立膝をつき桃時の手を取る。
兎白「俺も……一緒にいたい。お前と。お前といる時が一番楽しいから。俺も桃時と一緒に人生を歩んでいきたい。お前のことを絶対守る。だから……」
「「結婚して下さい」」
桃時「は、はぁ!?////」
兎白「もちろん、今すぐとは言わない。お前もやりたいことがあるだろうし、桃時の好きにしてくれて構わない。返事は今すぐじゃなくて良い。またいつでも良いから考えて欲しい。」
桃時「ちょ、ちょっと待って!」
兎白「もしかして嫌か?」
桃時「嫌なわけないじゃない!!ありがとう。そう想ってくれて。……」
「「はい喜んで」」
雨花「あっ!お、OKしたよね?今!」
橙「しましたね!!」
瑠璃人「すげぇ!すげぇ!プロポーズ初めてみた!」
雨花たちが大声ではしゃいでいると……
キラッ
雨花「ん?……今」
キラキラキラキラ!!!!!!!
雨花・橙・瑠璃人「!」
中庭の大木が虹色に光り始めたのだ。
桃時「き、綺麗……」
兎白「この木ってもしかして……「天月桃の木」?」
桃時「え!?あの公民館の広場にある跡地の大木?」
兎白「祝福してくれてる……ような気がする……」
桃時「ふふっそうかもしれないわね」
「それはそれとして……」
桃時「ちょっとそこ!!!!聴こえてんのよ!!!!」
雨花「げっ!?今の流れ的に兎白くんと一緒にこの大木をみるもんでしょ?!」
橙「まずいですね!?」
瑠璃人「とんずらこくぜ!」
桃時「待ちなさい!!!!」
その後、み回りの先生にみつかるまで、桃時と雨花、橙、瑠璃人の鬼ごっこは続いた。桃時は少し笑いながら涙を浮かべて。
兎白「すぅー……はぁー……」
兎白はしゃがみ込む。
兎白「すごく緊張した……」
兎白の顔はとても赤くなり、涙を噛み殺していたがぽとぽとと出ていた。
兎白による桃時へのプロポーズは無事終わったのであった。
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