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「虎丸、いつまで遊んでるんだ? さっさとひねりつぶせ!」
「遊んでるわけじゃない。動けないんだ。まるで岩みてえにビクともしないんだ」
遠目で見ると、父親が幼女と戯れに相撲しているように見える。だが、次の瞬間、陛下が虎丸の腰をつかんだまま、虎丸の巨体をぐいっと持ち上げた。虎丸は頭を下に逆さ吊りの格好。
「は、離せ!」
「離していいのか? じゃあそうする」
陛下が巨体を畳に叩き落とすと、頭から落ちて首が床を突き破った。虎丸は首から先が床に突き刺さったまま、それきり動かなかった。
「熊殺しの虎丸を倒したから、余は虎殺しの音露と名乗るとするか。でもデカいだけのでくの坊に勝ったところで何の自慢にもならないから、今のは却下だな」
「調子に乗るのはおれを倒してからにしろ!」
虎丸の兄が色めき立って突進してこようとしたのを、雄大が押しとどめた。
「次は武器を持った者に戦わせよう」
雄大が指名したのは頬に大きな傷を持つ日本刀を持った男。
陛下は全然物足りないという表情。
「さっきのデブは弱すぎてウォーミングアップにもならなかった。全員でまとめてかかってきてもいいぞ」
「ふざけるな! 小娘一人相手に組織総出で戦ったと知れたら極星会の名誉が血に落ちるわ!」
さっきまで余裕綽々で話していたのに、雄大の話しぶりがずいぶん乱暴になった。相当動揺しているようだ。まさか形勢逆転?
と一瞬思ったが、相手は真剣。受け損なえば即死もありえる。
それに対して、陛下が用意した武器は折りたたみ式のフルーツナイフ一本だけ。頼みは陛下があらかじめ自分にかけたという防御魔法の効果だけだ。陛下の防御魔法は凶器による攻撃をどれくらい防いでくれるのだろう?
ちなみにわたくしの防御魔法は銃弾の威力を半減させる程度。真剣相手なら何の効果もないはずだ。