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kaede🍁
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#💛💜
みら

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1
これは、最近演技が話題になっている阿部、渡辺、目黒、宮舘が主演で共演した切ないファンタジーな物語。
魔法学校の昼下がり。
大きな窓から柔らかな光が差し込む教室で、阿部は机に広げたノートへ丁寧に文字を書き込んでいた。
前では教師が魔法陣の構造について説明している。
黒板いっぱいに描かれた複雑な術式。
阿部はその一つひとつを確認しながら、必要なところへ印をつけていく。
隣。
渡辺は頬杖をついていた。
一応ノートは開いている。
ただし、ほとんど進んでいない。
「……長くない?」
小さな声。
阿部は前を見たまま答える。
「まだ半分くらいじゃない?」
「それ聞きたくなかった」
「ちゃんと聞きなよ」
「聞いてる」
「書いてないじゃん」
「頭に入ってる」
阿部がちらっと隣を見る。
「ほんとに?」
渡辺は少しだけ目を逸らした。
「多分」
阿部が笑う。
「多分なんだ」
教師がこちらを見る。
二人ともすぐに前を向いた。
しばらくして、座学が終わる。
次は実技。
教室から実技場へ移動すると、さっきまで面倒そうにしていた渡辺の動きが少しだけ変わった。
教師の指示で、全員が簡単な魔法を順番に使っていく。
小さな光球。
風。
水。
防御。
阿部はどれも安定していた。
強すぎず。
弱すぎず。
言われた通りの大きさ。
言われた通りの位置。
教師も特に注意することなく、次へ進む。
渡辺も、座学ほどやる気がなさそうには見えない。
手を上げる。
水の球が浮かぶ。
少し揺れたあと。
きれいに形を保つ。
阿部が小声で。
「上手じゃん」
渡辺が。
「実技はね」
「座学もやればいいのに」
「嫌」
「即答」
「文字多い」
阿部はまた笑った。
授業が終わる頃には、渡辺もそれなりに満足そうだった。
休憩時間。
二人は中庭へ続く廊下の窓際に並んでいた。
渡辺は飲み物を一口飲む。
少し考えてから。
「あべちゃん」
「何?」
「今日、めめ来るの?」
阿部の表情が少しだけ明るくなった。
「来れるって」
「よかったじゃん」
「うん」
目黒は人間界でモデルの仕事をしている。
仕事が続けば、魔法界へ来られない日も多い。
だから。
来られる日。
それだけで、阿部にとっては少し特別だった。
渡辺が。
「また夜中に庭?」
阿部が笑う。
「いいでしょ」
「毎回何話してんの?」
「普通の話」
「普通の話するために夜中まで待ってんの?」
阿部は少し考える。
それから。
「会いたいから」
何でもないことのように言う。
渡辺が一瞬だけ黙った。
それから。
「……ふーん」
「何?」
「別に」
渡辺はもう一度飲み物を飲む。
阿部が少しだけ首を傾げた。
「翔太は?」
「何が」
「誰かに会いたいとかないの?」
渡辺の動きが止まる。
ほんの一瞬、宮舘の顔が浮かんだ。
幼い頃からずっと一緒。
近すぎて、今さら何を言えばいいのか分からない相手。
「ない」
渡辺はすぐに答えた。
阿部が。
「ほんと?」
「ほんと」
「今ちょっと間あったけど」
「気のせい」
阿部は少し笑った。
それ以上は聞かない。
渡辺もほっとしたように窓の外を見る。
中庭。
花壇。
噴水。
そして、夜になれば。
きっと、あのベンチに阿部と目黒が並ぶ。
渡辺は何となく少しだけ羨ましいと思った。
その日の夜。
魔法学校は、昼間とはまるで違う顔をしていた。
廊下の明かりは落とされ、中庭も静か。
聞こえるのは風に揺れる木の葉の音と噴水の水音くらい。
阿部は慣れた様子で寮を抜け、中庭へ向かった。
時間はかなり遅い。
それでも眠くはなかった。
むしろ、少しだけ気持ちが浮いている。
ベンチへ着く。
まだ誰もいない。
阿部は座って少し待った。
数分後。
やがて。
庭の奥。
夜の空気が少し揺れる。
魔法界と人間界を繋ぐ門。
そこから、目黒が出てきた。
阿部の顔が自然に緩む。
「めめ」
目黒もすぐに見つけた。
「あべちゃん」
少し早足で近づく。
そして、隣へ座る。
「待った?」
「ちょっとだけ」
「ごめん」
「いいよ」
目黒は少し息を吐く。
仕事終わりなのが顔を見れば分かる。
でも、疲れていても来てくれた。
阿部が。
「今日忙しかった?」
目黒が。
「撮影」
「うん」
「ずっと同じポーズしてた」
阿部が笑う。
「ずっと?」
「ほんとにずっと」
「大変じゃん」
「大変だった」
少し間。
目黒が横を見る。
「でも、あべちゃんに会えると思ってたから頑張った」
阿部が少しだけ目を逸らす。
「そういうことさらっと言うよね」
「だめ?」
「だめじゃないけど」
「じゃあいいじゃん」
目黒が笑う。
阿部もつられて笑う。
今度は阿部が学校であったことを話す。
授業。
渡辺が座学を嫌がっていたこと。
教師に見つかりそうになったこと。
実技では急にちゃんとやること。
目黒は一つずつ聞いていた。
「翔太くんらしい」
「でしょ」
「舘さんは?」
「今日は別の授業だったみたい」
「そっか」
本当にどうでもいい話。
人に聞かせるほどでもない。
でも、二人にとってはそれでよかった。
目黒が人間界であったことを話す。
阿部が魔法学校であったことを話す。
会えなかった時間を少しずつ埋めるみたいに話す。
話して、笑って。
少し黙る。
また話す。
その沈黙さえ、気まずくない。
むしろ心地よかった。
しばらくして目黒が空を見る。
「もうこんな時間」
阿部も見上げる。
月がかなり高い。
「帰る?」
「うん」
少しだけ寂しい。
その気持ちは多分、二人とも同じだった。
目黒が。
「次いつ来れるか分かんない」
阿部が。
「うん」
「撮影続くから」
「分かってる」
目黒は少しだけ阿部へ近づく。
「寂しい?」
阿部が。
「ちょっと」
素直に答える。
目黒が少し笑った。
「俺も」
阿部が目黒を見る。
距離はもうほとんどない。
自然にどちらからともなく。
唇が触れた。
短いキス。
一度離れて。
また。
今度は少しだけ長く。
特別なことではない。
目黒が来られた夜。
こうして中庭で話して。
帰る前にキスをする。
いつの間にか、二人の日課みたいになっていた。
目黒が額を軽く寄せる。
「また来る」
「うん」
「遅くても待ってる?」
「待ってる」
「寝ないで?」
「多分」
目黒が笑う。
「寝てそう」
「じゃあ起こして」
「分かった」
二人で立ち上がる。
庭の端。
人間界へ戻る門まで、阿部が一緒に歩く。
目黒が振り返る。
「おやすみ」
「おやすみ」
「ちゃんと寝て」
「めめも」
「うん」
目黒が門の向こうへ消える。
光が静かに閉じる。
阿部は少しだけその場所を見つめていた。
寂しい。
でも、それ以上に会えたことが嬉しい。
阿部は小さく笑って。
一人。
寮へ戻っていった。
コメント
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第2話、すごく好きな回でした…🌙 阿部くんと目黒くんの、会えない時間を埋めるように他愛ない話を積み重ねていく感じが優しくて。 「会いたいから」って何でもないように言う阿部くんと、それをちゃんと受け止める目黒くんの距離感がもう尊すぎます。 渡辺くんの一瞬止まった間も気になる…宮舘くんの名前が出てきたのも含めて、続きが気になります🖤