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どうも、絶賛ピンチのシャーリィ=アーキハクトです。最悪な事態となりました。まんまと罠に引っ掛かり、しかもシスター達とは合流できず、更に集合場所のバーの周りから気配を感じます。

「……足音がたくさん。十人くらいは居る」

アスカが犬耳を忙しなく動かしながら教えてくれます。包囲されたみたいですね、これは。

「シスター達が殺られたとは思えねぇけどなぁ」

ルイが槍を手にしながらぼやきます。私も同意見ですよ。つまり、シスター達も何らかの策に引っ掛かり合流できなかった。そう考えるべきですね。

「シスター達の心配は無用でしょう。今はこの場を切り抜けることを優先します」

使い慣れたナイフを取り出します。今回は目立たないために剣を持って来ませんでした。今さら悔やんでも仕方はありませんが。

それと45口径拳銃一丁ありますが、これは万が一の保険とします。魔法剣もありますからね。

「どうやって切り抜けるんだ?流石に周りから一気に来られたらキツいぜ?シャーリィ」

「相手がどう動くかです。乗り込んでくるならばやり様はあるのですが」

「……シャーリィ、火薬の匂いがする。マクベスと同じ」

「でしょうねぇ!伏せてください!」

私が叫んだ瞬間周囲からたくさんの銃声が響き店内に銃弾が雨のように飛び込んできました!

「危ねぇ!」

「きゃっ!?」

「……ん」

ルイが私とアスカを抱き抱えてバーカウンターの後ろに飛び込みました。その場に伏せるより有効だと判断したのでしょうね。

窓ガラスは容赦なく割れ、テーブルなどが銃弾に穴だらけにされて、戸棚に並べられていた瓶やコップが割れて私達に降り注ぎました。

「っ!」

私は咄嗟に携帯していたルミのケープマントを広げて自分達を覆います。幸いガラス片はケープマントに阻まれて私達が傷つくことはありませんでした。またルミに救われましたね。

しばらくすると銃声が鳴り止み、静けさが周囲を包み込みます。

「……火薬の匂いが強い。他の匂い分からない」

「だろうな。生きてるか?」

「無事ですよ。銃声からして、『エルダス・ファミリー』も機関銃を持っていたみたいですね」 

しかも『ライデン社』の最新モデル。随分と無理をするものですね。うちだって高過ぎるから自作してるのに。

「今のは機関銃か」

「蜂の巣に成るところでしたね。ここのマスターは随分と用心深かったみたいですよ」

バーカウンターの裏側には分厚い鉄板が張られていました。多分、万が一に備えての事でしょうね。

「それに救われたがな」

「……足音が近付いてくる。三人」

アスカの言葉に私達は口を噤みます。戦果確認でしょうね。

ガチャンッッっと大きな音を立てて扉が開かれて……倒れましたね。穴だらけでしたからね。

「こりゃひでぇな。流石『ライデン社』の機関銃だ」

「こんなに威力があるなら数を揃えりゃ敵無しなのによ」

「無茶言うなよ、滅茶苦茶高いんだぜ。これだって兄貴が奪い取った貴重品なんだからよ」

二人のリボルバーを装備した男が店内に侵入してきました。奪い取った……?

銃を装備しているとは厄介な。

「この有り様だ、わざわざ探さなくて良いんじゃねぇか?ミンチだろ」

「ちゃんと肢体を確認してバラバラにしとけだとさ」

「一人は上物だったんだぜ?勿体ねぇなぁ」

二人は話しながら店内を物色しています。カウンターへ近付くのも時間の問題。やり過ごせないなら、ここは打って出るしか。

「早まるなよ、シャーリィ。動くなよ」

ルイは小声で囁くと鉄板の一部をそっと外して私たちの上に被せるように立て掛けました。パット見ただけでは、鉄板が倒れているだけに見えますね。ちょっと重いですが。

そうしていると、一人がカウンターの裏側を覗き込んできました。

「おい、死体がないぞ?」

「カウンターの裏は見たか?」

「ああ、色んな物が散らかってるだけだな」

「ちっ、デタラメな情報を掴まされたんじゃねぇだろうな」

「いや、確かにここに来たのを見たらしい。もしかして、感付かれたか?」

「ならもぬけの殻なのも説明がつくな。どうする?」

「取り敢えず燃やしとくか」

何やら不穏な会話が聞こえます。燃やす!?

「ほらいくぞ」

「おう、兄貴達には居なかったって連絡しねぇとな」

焦げ臭い匂いがし始めて、何かが燃える音が!?

「……足音は外に行った」

「よし起きるぞ!」

私達は出来るだけ物音を立ち上がると、そこには燃える布から周囲の木製のテーブルなどに次々と火が回る光景がありました。

「マジかよ」

「表から出るのは下策、他に脱出する経路はっ!」

私は周囲を見渡しますが、出入り口はひとつだけ。裏口なども見当たりません。

「入り口一つだけかよ!?」

これは不味い。そう思っていると、アスカの足元の床が軋みます。軋む?

「アスカ、ちょっと離れてください」

私はアスカを離れさせて、床に敷かれた絨毯を取り外します。そこには明らかに色が違う、地下への隠し扉がありました。

「地下室か!」

「お酒などを保管する場所みたいですね、ここに隠れましょう!」

「大丈夫なのか!?」

「ここに居てもこんがり焼かれるだけです。ローストシャーリィに成るつもりはありませんよ」

ルイに地下室への隠し扉を開けてもらい、私達は地下貯蔵庫へ降りていきました。

カウンター裏にあった鉄板を中途半端ではありますが隠し扉の上に被せながらです。

「……臭い」

地下貯蔵庫は放置されていたためか、お酒と腐った食品類が織り成す刺激的な匂いで満ちていました。

「最悪だな、こりゃ」

「死ぬよりマシですよ」

幸い小さな通気孔がありました。これで空気がなくなるなんて事はない筈。危険ではありますが、丸焼けにされるよりはマシです。

「……燃えてるね」

アスカがしっかりと閉められた隠し扉を見ながら呟きます。

「祈るしかねぇな」

「祈るしかありませんよ」

それからしばらくして、建物が倒壊する音が断続的に聞こえてきました。

残骸などが隠し扉を突き破らないか心配でしたが、幸い上に被せた鉄板が良い仕事をしてくれたみたいです。

「まだ燃えてるのか?」

「燃えるものがなくなれば自然に鎮火しますよ」

何せ周りにはなにもありませんからね。

それから更にしばらく待つと、当たりが静かになりました。

「消えたのか?」

ルイは試しに隠し扉を押しますが、びくともしません。

「なにか乗ってるぞ!これじゃ出られねぇ!」

「退いてください、ルイ」

こんな時こそ学んだことを活かさないといけません。私は柄だけの魔法剣を取り出して、隠し扉へ向けます。大事なのはイメージする力。

願いを込めて!

「吹き飛ばせ!フレイムストーム!」

ゴウッッッッっと強烈な炎の暴風が吹き荒れて隠し扉と上に乗っていた残骸などをまとめて吹き飛ばしました。おぉっ。

「吹き飛ばしたぁあっ!?」

「……凄い」

「これなら出られますね」

我ながら上出来な結果です。マスターに見せていただいたものには遠く及びませんが。

外に出てみると焼け落ちたバーの残骸が広がるだけでした。野次馬すら居ませんね。

「何とか助かったな。どうする?先に農園に戻るか?」

「シスター達を探したいのですが、手懸かりもありませんからね。農園へ戻り策を練ります」

「まっ、それが良いな。戻れればの話だけどな」

「その時は合流を目指しますよ」

最優先目標は脱出、次に皆さんとの合流。難題ではありますが、後がありませんからね。なんとか切り抜けないと。

シャーリィ=アーキハクト初夏の日、『暁』は危機を迎えていた。

暗黒街のお嬢様~全てを失った伯爵令嬢は復讐を果たすため裏社会で最強の組織を作り上げる~

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