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「……よし、これで完璧」
深夜一時
リビングのデスクで、私はようやく分厚い専門書を閉じた。
今、私が挑戦しているのは、合格率数パーセントと言われる難関の国家資格。
それに加えて、社内では今
美佐子さんから引き継いだ大規模な海外提携プロジェクトのリーダーを任されている。
正直、今の私には過分な仕事かもしれない。
けれど、もう「守られているだけの彼女」ではいたくなかった。
高橋家という大きな看板を背負う徹さんのパートナーとして
いつか家督を継ぐ彼を隣で支えるために。
私は、私自身の力でこの場所に立っているのだと、誰に対しても胸を張って言えるようになりたかった。
「……結衣。まだやってるの?」
寝室から、寝癖のついた徹さんが顔を出した。
パジャマ姿で目をこする姿は、昼間の冷徹な専務とは思えないほど無防備だ。
「あ、ごめんなさい、起こしちゃいましたか?あと少しで終わるので……」
「ダメ。もう一時は回ってる。頑張ってるのは知ってるけど、倒れたら元も子もないよ」
徹さんは私の背後に回ると、椅子に座ったままの私をひょいと抱き上げた。
「わっ、徹さん!?」
そのままソファへと運ばれ、私は彼の膝の上にすとんと降ろされる。
徹さんは私の腰に腕を回し、首筋に深く顔を埋めた。
「資格試験の勉強も、プロジェクトの準備も……結衣が俺のために、自分のために必死になってる姿は、格好いいと思う。…でもね、俺は心配だし寂しいんだよ」
低い声が耳元で震える。
徹さんは私の手に自分の手を重ね、指先を一本ずつ絡めるようにして恋人繋ぎをした。
「会社では完璧な部下として振る舞って、家では受験生みたいに机に向かって…俺が甘える隙が全然ないでしょ」
「……っ、ごめんなさい。でも、私…徹さんの立派な奥さんになりたいから…っ、今のうちにと思って」
私が俯くと、徹さんは私の顎を優しく持ち上げ、蕩けるような甘い眼差しを向けた。
「もう、良い奥さんすぎるって……むしろ、今の結衣の評価は社内でもう爆上がりだよ?『高橋専務のパートナーは、ただの美人じゃない。中身も本物だ』って。鼻が高いんだからさ」
徹さんはそう言って、私の額に優しくキスをした。
「だから、家では頑張らなくていい。外で戦うためのエネルギーは、俺が全部補給してあげるから…ほら、こっち向いて」
抱きしめる力が強くなり、深いキスが降ってくる。
疲れていたはずの身体が、彼の熱でじりじりと溶かされていくのが分かった。
徹さんの指が私の髪を優しく梳き、耳たぶを甘噛みする。
「明日は休みでしょ?結衣が動けなくなるまで、たっぷり甘やかしてあげるから……覚悟してて」
仕事で見せるあの厳しい「徹さん」も好きだけど
私だけに見せるこの執着にも似た深い愛が、今の私を一番強くしてくれる。
私は徹さんの首に腕を回し
甘い吐息とともに、彼が与えてくれる極上の癒やしに身を委ねた。
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