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✦ 第7章 ディアソムニア編
「世界が、止まった夜に」
リーチ兄弟の療養もほぼ完了し、オンボロ寮には静かな日常が戻っていた――その矢先。
突如、学園全体の魔力供給網に異変が発生。
校舎中の時計が止まり、夜が永遠に続くような異常空間が形成されていく。
学園長クロウリーが慌てて全校放送を入れる。
クロウリー《……みなさん、落ち着いて聞いてください。
学園全体が、魔力の歪みによる結界に包まれつつあります――
おそらくこれは……“ディアソムニア”の寮生による、何らかの異常な魔法です!》
フェイドは、静かに立ち上がる。
フェイド(心の声):「……マレウス・ドラコニア……
あなたは、まだこの先へと、歩み出そうとしているのですね」
Scene.5「止まった時、息づく灯」
魔力の流れが歪み、世界の“時計”が止まり始めた夜。
君――フェイドは、真っ先にオンボロ寮へと駆け戻った。
風が止まり、空気が重く沈む。
しかし、君の中の足取りは、どこまでも速く、どこまでも確かだった。
やがて――
「ネメシス! 戻ったんだ!」
扉を開けた先には、ユウがいた。
その隣では、グリムが小さな体を丸め、警戒するように耳を動かしている。
ユウ:「……今、学園中の時計が止まって、外も真っ暗で……
まるで、時間そのものが動かなくなったみたいで……!」
グリム:「お、オレ様、見たんだぞ……! 空にでっけえ緑の光が流れてて、そしたら急に目の前が……!」
フェイド(柔らかく微笑みながら):「お二人とも……ご無事で何よりです。
どうか、しばらくの間、寮から出ないでください。これは、おそらく……ディアソムニア寮の“主”によるものです」
ユウ:「マレウス先輩……なの?」
フェイド(小さく頷く):「ええ。とても穏やかな方ですが、今のこの魔力の流れは……尋常ではありません」
グリム:「じゃあ、ネメシスは行くのか? あの化けもんみたいなマレウスのとこに?」
フェイド:「ええ。できるだけ穏やかに、話をしてみたいと思います。
けれど……もし戻らなかったときは――」
ユウ:「……やだ、そんなの。ちゃんと戻ってきてよ。
ネメシスがいてくれないと、オンボロ寮が落ち着かないんだから」
フェイド(小さく笑って):「承知しました。それでは、少しだけ……行って参ります」
Scene.6「霧の森、時の檻」
オンボロ寮を後にし、フェイドは、
静かに、確かに、ディアソムニア寮のある黒の森へと足を踏み入れた。
木々の枝が風もないのに震えていた。
魔力の霧が靄となって辺りを漂い、目に見えない“時”をねじ曲げている。
歩くたびに、視界が揺らぐ。
耳元には誰かの声が聞こえたようで――けれどすぐに霧に呑まれて消える。
目を細め、気配を読む。
フェイド(内心):「これは……“時間を削り取る”魔法……
マレウスが本気でこの世界を閉じようとしているのなら――」
バシュッ――!
霧の奥から、突如、何かが飛び出した。
それは、巨大な茨だった。まるで意志を持つように、足元を絡め取ろうとする。
フェイド:「……っ、手荒な歓迎ですね」
飛び退き、慎重に茨を避ける。
しかし、茨は何本も、何層にも重なって道を塞いでくる。
Scene.7「沈黙の森を往く」
闇のように濃い霧の中。
フェイドは、魔力を使うことなく、茨の罠をくぐり抜けていく。
踏み出すたびに、足元の感触が違う。
時には茨に化けた幻影が惑わせ、時には時間が巻き戻ったように同じ場所へ戻される。
それでも――歩みは止まらない。
フェイド:「……霧の流れが僅かに違います。
この先に、“魔力の芯”がある……」
魔法を封じたまま、それでも気配と空気の動きだけで前進するその姿は、
まるで長年訓練された密偵のようだった。
やがて、霧の濃度がふっと薄れる。
目の前に現れたのは――歪んだディアソムニアの門。
いつもは緑と黒の荘厳な姿だったその門が、
今は“時間の停止”により、常に“開きかけ”のまま、止まっている。
門の前には、一人の寮生の姿。
セベク・ジグボルト。
セベク:「誰だ! ……その姿、ネメシスか! 貴様、なぜここにいる!?」
セベクは警戒心剥き出しに杖を構え、
一歩たりとも中に入れまいと、門前に立ちはだかる。
Scene.8「忠義を越えて、進む者」
セベク:「貴様ッ、答えろ! ここは誰でも通していい場所では――ッ!」
その声が、最後まで言葉になる前に。
フェイドは、一歩踏み出し、
まるで風がすれ違ったかのような動きで、セベクの死角へと滑り込んでいた。
セベク:「なっ――!」
返事の代わりに見せたのは、
正確な体捌き、重心移動、そして――
音を立てずに意識を奪う手刀の一撃。
セベクの瞳が見開かれたまま、静かにその場に倒れ込む。
呼吸は安定しており、命に別状はない。
フェイド:「申し訳ありません、セベクさん……
ですが、急がなければならないのです」
優しい声が、彼の頭上で囁かれる。
そのまま、門を越える。
止まった時間の中で、唯一動く存在として――。
✦ ディアソムニア寮内部
結界を越えた先、包むのは圧倒的な静寂。
生徒たちはまるで“夢”の中に囚われたように眠り、
魔法の灯りはすべて“点滅したまま止まっている”。
時間そのものが、凍結された空間。
そして――その最奥。
彼と再び対峙することになる。
マレウス・ドラコニア。
玉座のような椅子に腰かけ、眼差しだけを君へ向けていた。
マレウス:「……来たのだな、“ネメシス”」
その声音には、怒りでも悲しみでもなく――ただ、確信があった。
フェイド(アウル):「……ええ。貴方が、全てを止めてしまったから」
マレウス:「違う。“世界が先に止まった”のだ。……僕は、それを正そうとしているだけだ」
Scene.9「世界を止めた理由」
マレウスの漆黒の瞳が、奥を静かに見つめていた。
彼の傍には、リリアの姿も、シルバーの気配もない。
セベクも倒れ、この空間に今、意識を持つ者はフェイドだけだった。
フェイド:「……マレウス・ドラコニア。
この空間を閉ざし、世界の時間を止めてまで、あなたは――何を守ろうとしているのですか?」
マレウス(目を細める):「……ほう。そう問うのだな、“ネメシス”」
低く、囁くように笑う。
マレウス:「お前は“学園の者”として来たのか? それとも、“個”として僕に問うているのか?」
フェイド:「どちらでも構いません。
けれど私は、あなたの力を知っている。
そして、その力を“この形”で振るってしまったあなたに、問いかける責任があると思っています」
マレウス:「……責任?」
瞳の奥に、ほんの僅かに揺らぎが走る。
マレウス:「ならば、問おう。
お前は“失われる未来”を、そのままにすることができるのか?
リリアがいずれ去り、家族が朽ち、時が置き去りにしていく……
それを“当然のこと”と、受け入れられるのか?」
フェイド:「……その痛みを、あなた一人が背負う必要はないでしょう」
マレウス:「だが、皆は理解しない。
この“孤独”を……この“永遠”の重さを」
その声は、悲しみと諦めが混ざっていた。
だが、その手は確かに力を帯びている。
世界を覆う“永遠の夜”――その主は、君に問う。
Scene.10「永遠を否定する者」
霧に包まれた玉座の間で、真っすぐにマレウスを見据えて言った。
フェイド:「……たとえどれほどの力であっても。
たとえどれほどの願いであっても。
“すべてを止める”ことが、正しいとは……私は思いません」
マレウスの瞳が、わずかに揺れる。
マレウス:「ならば、お前はそれでも“失う”ことを選ぶのか?」
フェイド:「失うのではありません。
“過ぎゆく時を共に歩む”のです。
あなたが背負っているそれは、苦しみではなく、“選ばなかった未来”の影です」
静かな言葉。
けれど、その一つひとつが、マレウスの中に確かに届いていた。
彼の睫毛が伏せられる。
マレウス:「……お前のような者が、“人の側”にいるとは思わなかった」
フェイド:「私は、“側”などでは分けません。
……“生きる者”として、あなたと同じ、この時を過ごしているだけです」
長い沈黙。
やがて、マレウスが再びゆっくりとフェイドを見た。
その瞳は、先ほどまでのような支配者の色ではない。
マレウス:「では、お前が言う“正しき時”を――僕に証明してみせろ」
次の瞬間、空間がひび割れる。
止まっていた時間がわずかに動き出し、
足元を“影の牙”が襲う――!
Scene.11「沈黙の咆哮と、届く言葉」
――ズンッ!
床を抉る影の牙。
黒い炎のような魔力が、空間そのものを焼くように伸びてくる。
だが、フェイドは、鋭く身を翻し、
わずかな魔力すら用いずにそれをかわす。
ひとつ、またひとつ。
マレウスの魔力は強大で、空間ごとねじ伏せるような圧力すら持っている。
だが、まるで“舞うように”、そのすべてをかわしていった。
フェイド(静かに):「……あなたの力は、誰かを傷つけるためのものではない。
“守るため”の力でしょう。ならば――なぜ、攻撃を続けるのですか?」
マレウス:「守るためにこそ、僕はこの世界を閉ざした。
――理解されぬなら、力で証明するしかない」
轟く雷。
その魔力のうねりが、空間に雷雲すら生み出そうとしている。
だが――避け続けた。
あくまで“反撃せず”、ただ静かに、言葉を投げ続ける。
ユウのために。
グリムのために。
リーチ兄弟、そしてアズールたち、すべての“日常”のために――
フェイド:「それは、誰の未来も閉じてしまうことです。
あなたが守ろうとしたものさえ、あなたの手で……」
一瞬、マレウスの表情が揺らぐ。
だが、その刹那。
影が収束し――雷の槍が頭上に浮かぶ。
マレウス:「……ならば、これを耐え抜いてみせよ。
“永遠”の王に言葉が届くと証明できるなら――お前を認めよう」
最後の雷が、試すように落ちる――!
Scene.12「光の盾と影の咆哮」
――空に浮かぶは、黒雷の槍(くろいかみなりのやり)。
マレウスの魔力を極限まで凝縮させた、“問いの刃”。
それに正面から向き合った。
フェイド:「――《リュミエール・ヴェイル》」
掌に灯るのは、
淡く、儚い銀の魔法陣。
完全な防御ではない。
あくまで、“最低限”の魔力行使。
雷鳴が落ちる。
音も光も、重みも――世界そのものを貫くかのような咆哮だった。
そして、その中で――踏みとどまった。
ドン――!
足元が砕け、魔法陣が軋む音がする。
仮面のように整えていた“微笑”が、わずかに歪み、
フードの影に隠していた表情が、少しだけ――明かされた。
「……ッ」
マレウスの瞳が、確かに揺れる。
そこに見えたのは、“恐れ”ではなく、“動揺”だった。
マレウス:「今の……魔力……お前は、まさか――」
フェイドは何も答えない。
ただ、黙ってその場に立ち尽くす。
仮面の内側、苦痛に歪む口元が、そっと整えられていく。
それでも、“ネメシス”という仮面は、まだ完全には剥がれていない。
フェイド:「……これが、私の選んだ答えです。
あなたを、否定することなく止める手段――」
マレウス:「……!」
雷が収まり、静寂が戻る。
その場に漂う空気は、確かに――“敵意”のそれではなくなっていた。
Scene.13「決意の境界線」
雷の残滓がまだ空間に揺れている中で、
一歩だけ、マレウスに近づいた。
フェイド:「……それでも、私はあなたを止めます」
言葉に剣はなかった。
脅しでも怒りでもなく、ただ――意志だけがそこに在った。
マレウスは、瞳を細める。
マレウス:「……ずいぶんと強い心を持っているのだな」
その声音には、もはや冷たさはなかった。
ただ、遠い過去を思い出すような、寂しげな重みがある。
マレウス:「僕のしていることは、間違いなのか?」
フェイド:「“永遠”に閉じた世界では、誰も笑えません。
あなたが守ろうとした“時間”さえ、そこで止まってしまう」
マレウス:「……そうか。お前は、彼らの中で“まだ笑っていられる”者なのだな」
フェイド:「はい。だから、彼らの時間を奪わせないために――
私は、あなたを止めに来ました」
長い沈黙が、ふたりを包んだ。
魔力の気流が止まり、世界がまた“次の選択”を待つ。
そして、マレウスが口を開いた。
マレウス:「……ならば、僕を超えてみせろ。
この魔力の森ごと、寂しさごと――“抱えて前に進める”というのなら」
その手が、ゆっくりと杖を持ち直す。
再び、“竜の王”が力を向ける瞬間が訪れた。
Scene.14「仮面のまま、全霊で挑む者」
マレウスが静かに杖を構えると、
黒緑の魔力が周囲の空間そのものを染めていく。
空間の境界線が歪み、まるで時間の層が幾重にも重なるような感覚が襲う。
フェイドは、それでも一歩も引かずに立っていた。
フェイド:「……あなたの力が、“孤独の証”であるのなら。
私はそれを、正面から受け止めます」
その手が、静かに宙を舞う。
白銀の光が、指先から広がって――
《ティル・レヴェルシア》
(※意味:終わりなき光の反転)
それは防御でも攻撃でもない。
空間の魔力を“織り直す”ことで、彼の魔法を受け止めながら、相殺する術だった。
マレウス:「古代魔法を知っているとは…」
魔力が衝突する。
空と大地のすべてを裂くほどの咆哮が轟くが、
フェイドは一歩も退かない。
その姿に、マレウスの表情がわずかに変わる。
マレウス:「……なぜそこまでして、僕を止めようとする?
名すら明かさず、“存在の一部”だけで戦うというのに……!」
フェイド:「名がなければ、想いは届きませんか?
なら、私が今ここに在ることだけ を、見ていてください」
ふたりの間を光と影が交差する。
それは魔法であり、意志の衝突であり――
孤独と希望の対話だった。
Scene.15「魂で語る者たち」
――空が、裂ける。
マレウスの周囲に収束するのは、
“竜の王”たる存在の魔力そのもの。
大気が重力を失い、
音が消え、時間すら――沈黙を許す。
そして、フェイドもまた、その場に立つ。
フェイド:(……もう、言葉では届かない。
ならば、全力で、あなたの信念を……“受け止めて超える”)
指先に、白銀と紫の魔力が集う。
もう仮面に頼らずとも、
もう説得に逃げずとも――
フェイド自身が“生きてきた証”そのものを、
この戦いに込める。
マレウス:「来い、“無名の者”よ。
君の真なる力を、僕に見せてみせよ」
――砲撃のような雷。
その全てを、正面から受け――
“舞いながら、反撃する”。
光と影、神と魔、
意思と孤独が衝突する。
戦いは、もはや神話の域にあった。
玉座の空間すら崩れかける中、
ふたりの足元にすら、もはや“現実の床”はない。
空中で交差する魔法陣。
指先から放たれる光線の刃。
マレウスの咆哮。
沈黙の意思。
――それでも、互いに**“殺し合い”にはならなかった**。
そこにあるのは、
ただ、お互いを理解しようとする魂の衝突。
フェイド:(……これで、届いて)
Scene.16「仮面の下、真実の名が目を覚ます」
――光と影がぶつかった瞬間。
雷が天を裂き、地が悲鳴をあげる。
マレウスの咆哮と、魔力が正面衝突を果たしたとき。
その余波が、フェイドのフードを吹き飛ばし、
静かに仮面が――ぱきりと、音を立ててひび割れた。
フェイド:(……ああ)
もう、知っていた。
“ネメシス”のままでは、ここで皆を守りきれないことを。
パリンッ!
仮面が、砕け落ちる。
空中に散った破片は、光を反射して煌めくように舞った。
その下に現れたのは――
氷のように静かで、
銀の光を纏った瞳を持つ、
“この世界の大魔法師”――フェイド・リーチ。
フェイド:「……リーチ家の、末の者にして。
すべてを護る意志を持つ者。
今ここに、仮面を脱ぎ……あなたと向き合います」
マレウス:「……やはり、君か」
世界が静まり返る。
フェイドの放つ魔力が、それまでの比ではないことは、誰の目にも明らかだった。
それはもう、人のものではなかった。
支配と恐怖ではなく、“慈愛”と“覚悟”に基づいた――
神域の力そのもの。
マレウス:「君が、“あの魔導の子”……」
フェイド:「ええ。ですが――その名に意味はありません。
私は、あなたを止めたい。それだけです」
言葉は、穏やかだった。
けれど、今や背にある魔力の奔流は、マレウスと並ぶほどの力を放っていた。
そして今、フェイド・リーチとして
この“竜の王”と――真の意味で対峙する。
Scene.17「否定ではなく、選択の先へ」
仮面を砕き、
銀の髪を風になびかせて――
“フェイド・リーチ”として、はじめてマレウスと向き合った。
それは力による対等ではなく、
“心”と“覚悟”が拮抗する者同士のまなざしだった。
マレウス:「世界を止めるということが、唯一の救いだと思ったのだ。
時間が過ぎれば、皆が老い、離れ、忘れられる。
僕だけが残されていく。……それが恐ろしかった」
その声音には、王の威厳ではなく――ただ、一人の“寂しい青年”の影があった。
そっと杖を下ろす。
しかし、魔力は収めない。
それは“敵意”ではなく、“責任”の意思だった。
フェイド:「……その想い、否定はしません。
けれど、世界を止めるという選択は、誰かの未来を奪ってしまう」
マレウス:「未来……」
フェイド:「あなたの孤独は、あなた自身の重みでしょう。
それでも、私たちは“今”を生きたいのです」
静かな対話――
けれど、その空間は雷より重く、
剣より鋭い“言葉”の交差だった。
マレウスは、沈黙の中でフェイドを見つめる。
その瞳の奥で、何かが確かに――変わろうとしていた。
マレウス:「ならば……見せてみせよ、フェイド・リーチ。
お前の信じる“生きる力”というものを。
僕の魔力を超えて、それを照らしてみせよ!」
再び杖が振り上げられる。
だがその一撃は、怒りでも孤独でもなく――“決着”を求める力。
Scene.18「崩壊する玉座」
マレウスの魔力が、最後の一撃として天に放たれる。
それに対し、杖を掲げた――
だが、その瞬間。
マレウスの瞳が、ほんのわずかに、潤んだ。
マレウス:「……僕は……また、孤独になるのか……?」
その呟きとともに、空間が震え始める。
バチバチッ――ッ!
黒緑の魔力が、暴走の兆候を見せる。
彼の周囲に奔る稲妻が、制御を失い始めた。
フェイド(静かに):「……!」
その光景を見て、“既視感”を覚えた。
これは――他の寮長たちと同じ、あの瞬間。
感情と魔力の暴走。オーバーブロットの兆候――!
マレウス:「なぜだ……なぜ僕は、理解されたはずなのに……
それでも、胸が――空虚のままなのだ……!」
ドン――!
そのとき、空間が砕けた。
雷鳴とともに、空中の玉座が崩壊し、
マレウスの体が黒き霧と共に包まれていく。
学園中に響き渡る、異常な魔力の波動――。
そして――
✦ Scene.19「目覚める、竜王の影」
《オーバーブロット》
雷と影を纏った、黒き竜の王が現れた。
その瞳に“理性”はない。
あるのは、ただ破壊と支配の欲望――
「この世界は……
僕の、僕だけの時間で満たす……!」
雷が世界を包む。
空が、学園が、悲鳴を上げる――!
✦ Scene.20「集いし者たち」
その異常事態を感じ取り、
一斉に駆けつける生徒たちと関係者たち。
・学園長ディア・クロウリー
・リーチ兄弟(ジェイド・フロイド)
・アズール
・リドル
・レオナ
・ヴィル
・イデア
・カリム、ジャミル
・ユウとグリム
・エースとデュース
全員が見上げる先には、
空に浮かぶ“オーバーブロット・マレウス”――
その場にいた“ネメシス”が、静かに一歩前へ出る。
が、しかしその姿を見た瞬間――
アズール(目を見開いて):「……まさか、その魔力……」
ジェイド:「――本気で出るのかい、フェイド?」
フロイド:「あーあ。バレちゃったね、ネメシスの正体~」
ユウ:「え……? ネメシス? え、フェイドって……誰……?」
そして、仮面を完全に外し――
静かに答えた。
フェイド:「すみません。……皆さんには、隠しておりました」
グリム:「なっ、ななななにィーッ!? ネメシスがフェイドぉぉぉ!?」
クロウリー(真剣な眼差し):「――やはり、貴方の力が必要なようです」
ヴィル:「……どういうことなの…」
レオナ:「チッ、またやっかいな奴が暴れやがったな……!」
――全員が混乱する中で。
マレウスの咆哮が、空を裂いた。
「来るがよい、“希望の徒”よ――!
この“終わりの時間”を否定するならば、力で示してみせよ!!」
✦ Scene.21「世界の命運をかけた戦い」
フェイド:「……はい。
この世界の“時間”を、生きる人々を、私は守ってみせます」
杖を構えた瞬間――
空が割れ、戦場が浮かび上がる。
魔法が交差し、雷が吼える。
ついに、運命の対決。
《フェイド・リーチ vs オーバーブロット・マレウス》
ここに――開戦。