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『執着』
※gtrd、現代パロ、若干過激な要素あり
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深夜0時はとうに回っていた。 今日も昨日と同様、上司にこき使われて、後輩のミスをフォローして、残業して…ブラック企業の典型だなと、嫌味っぽく呟く。同僚は全員辞め、家族や友達とは疎遠、ましてや恋人と言える人もいない。 孤独と共に家路を辿るのはいつものことだった。いつも通りの帰り道に、眩しいくらいに輝く夜の街が現れる。普段、特別気にしないのに、何故だろう、今日は心惹かれる。昼間は息を潜め、夜に、強く輝く街。その輝きに当てられて、吸い寄せられるように足を運んだ。
街には、 客寄せをする店員、酒に酔った客、奇抜な格好をした若者や、中年のオッサンが両手に華をかかえている様子。危ない街の雰囲気は、何故か俺を高揚させた。特に目的もなく、ぶらぶらと歩いていると、ある店に目が留まる。ゲイ向けの風俗店のようだった。街の雰囲気に似合わない、シックで落ち着いた店。その異質さに目を奪われて、気づけば足を踏み入れていた。
店内は落ち着いた雰囲気で、個室になっていた。おそらく、この店はそういうこととしての機能も併せているのだろうと思った。
「いらっしゃいませ。本日は初めてのご来店ですか?」
店員が話しかけてきた。
gt「ええ、まあ…」
そう答えると、店員は微笑み、店の説明と要望を聞いてきた。俺は正直誰でもいいと思い、その旨を伝えた。しばらくして、 連れられるがままに、一際豪華な奥の部屋へと向かう。指名がないのを良いことに高い部屋に入れたな、と思い、内心で舌打ちをする。
部屋の中には、高級そうなソファに大きなベッド。ガラスのテーブルの上に、酒が入ったバケツ。磨かれたグラスに反射していたのは、整えられた青い髪の男。男は俺に気づき、振り返る。中性的な可愛らしい顔立ちに、サファイアの瞳。その瞳からは、何の感情も伺えなかった。
「彼は、当店No.1の者です。一部のお客様からは、“青い至宝”とも呼ばれています。それではごゆっくり…」
店員が扉を閉め、部屋を出る。“青い至宝”…ね。確かに、あの美貌だ。至宝、と呼ばれる理由も頷ける。
⁇「こんばんは!、私の名前はrdです。本日は初めてのご来店ですよね?、ありがとうございます」
血色の良い唇から、優しい声が漏れる。その一度の動作にも思わず見惚れてしまう。
gt「あ、どうも。えーっと…gtです。」
とりあえず、何を話したら良いかわからなかったから、適当に名前でも言ってみた。彼は、穏やかな笑顔を見せたが、やはり、その瞳は微塵も笑っていなかった。
rd「gtさんですか!良い名前ですね。本日はどうされますか?すぐに始めますか?」
いくら声に抑揚をつけたとて、サファイアは深い闇に沈んでいる。別に、行為も何も、何か目的があってきたわけではない。どうせ、今日限りの関係だ。仕事の愚痴でも聞いてもらおう。
gt「ああ、いや…今日は、話を聞いて貰いたくて」
そう言うと、彼は暗い瞳のまま、驚いたような表情をした。まあ、彼くらいの美貌なら、そういうことが目的の客はすぐに飛びつくだろう。だが、俺は気分じゃないし、そんな余裕もない。高級そうなソファに腰掛けて、一息つく。すると、rdは酒を注いで、目の前に置いてくれた。
rd「話…ですか?」
gt「ありがとな、大して面白い話でもないけど付き合ってくれるか?」
rd「もちろんです、気が済むまで話してください」
彼の瞳が少し、明るくなった気がする。俺は仕事の愚痴や人間関係、その他にも、私生活や趣味など、気が済むまで話した。rdは真剣に話を聞いてくれた。たまに相槌を打ったり、笑ったり、こんなくだらない話にも真摯に向き合ってくれた。それが仕事だからか、どうなのかはわからないが、俺は心に抱えていたものを吐き出して、少し楽になった気がする。終了の時間が近づいてきた。
rd「あのさ…また来てくれる?」
話しているうちに敬語は外れた。期待を孕んだ視線。そんな目で見つめられたら、行かざるを得ない。「もちろん、また話に来るぜ」と応えた。彼は笑った、心の底から。輝く笑顔で。この顔が見れるなら、また来ても良いかもな、と思い、部屋を後にした。その日の帰り道は、ふわふわとした、幸福感に満たされて、足取りは軽かった。
俺は週に一、二回程度、その店に通い、rdを指名する。
rd「gt!いらっしゃい、仕事お疲れ様」
それが毎回のルーティーンだった。rdとはすっかり仲良くなり、お互いの更に深い部分まで曝け出すようになった。rdとはまだ、そういうことはしていない。酒を飲んで、ただ話す。会う回数を重ねていくと、rdは自身のことを話してくれるようになった。仕事のこと、特技や趣味…いろんな面を教えてくれた。 rdのことを知っていくうちに、すっかりrdの魅力にハマってしまった。“リア恋”という奴だ。でも、rdには仕事がある。俺の気持ちひとつでrdのに迷惑がかかってはいけない、この気持ちは隠し通そう。
日が経つごとに、俺はrdを好きになっていった。今では、たとえ仕事でも、rdが他の男とそういうことをするのを簡単に許せない。rdを一番愛しているのは俺だ。rdが好きで好きでたまらない。俺はもう、rdなしでは生きられない。 ある日、いつも通り店に行き、部屋に通される。部屋の中には同じ場所にrdが座っている。ルーティーンは行われなかった。俯いたまま、動かない。
gt「…rd?」
rdは、はっとしたように、振り向いた。
rd「あ、gt!ごめん気づかなかった」
目が赤みがかっている。心なしか元気がないようだ。前々から思っていたが、rdは本当に辛いことを隠す傾向にある。腹痛を隠して仕事をしている時に気づいた。迷惑かけないためとか、関係ねぇ、好きな人が傷ついているのを見る方が辛い。
gt「…無理するんじゃねぇよ、休め」
rd「えっ…」
gt「その顔、何かあっただろ?そんな日くらい休めよ…」
すると、rdの目から涙が溢れる。
rd「あれ、っ、なんで…グスッ」
rd「こんなつもりじゃなかったのに…何で、っ、止まらないの?…」
俺はそっとrdを抱きしめる。rdは俺のシャツにしがみつき、声を押し殺すように泣いた。
しばらくして、rdが、顔を上げた。目は腫れていたが、少しスッキリしたような表情をしていた。
gt「rd…辛いかもしれないけど、何があったのか話してくれないか?」
rdは、躊躇いいつつも、俺の顔を真っ直ぐみて話し始めた。
rd「俺…さ、何年か前に、親に売られたんだよ。後から知ったんだけど、俺の親は…多額の借金を抱えてたらしくて…その返済のために売られたんだ。何も言われずに、こんな…っ、地獄のような場所に連れてこられたんだよ…仕事の内容も、職場の人間も、客も…どいつもこいつも、最低だった。何年かしたら、そんなのどうでも良くなったけど…なのに、今日…客にさ…『お前らみたいな変態は、黙って犯されてろ!』って言われて、乱暴されて…好きでやってるわけじゃないのにっ!それで、昔のこと思い出しちゃって…それで…やっぱり…っ、グスッ」
俺はrdを抱きしめる。rdは苦しそうな顔をしながら、言った。
rd「…やっぱり、俺みたいな野郎なんか誰も気にしない。俺は、“要らない人間”なんだっ…て」
gt「そんなことない!!」
rdは驚いて俺を見る。俺自身も意外と大きな声が出てしまって驚いた。それでも俺は続けた。
gt「俺はあの日、rdに出会って救われた!仕事も人間関係もクソみたいな職場で、限界を迎えて…ヤケになってた時に、rdと話して、俺は救われたんだ!俺にはrdがいないとダメなんだ…だから…要らない人間なんて言うなよ…」
気づけば俺も泣いていた。
rd「本当に?…おれが、gtの助けに…?」
gt「ああそうだ、今の俺がいるのは、お前のお陰だ」
rd「っ、…おれ、要らない子じゃない?」
gt「もちろん、世界で、一番大事で…大好きな人だ」
rd「…っ、う”わあああぁぁぁ 」
rdは大声で泣いた。俺も同時に、静かに涙を流した。今まで泣かなかった分、堰を切ったように溢れ出した涙は、止まることを知らなかった。
数十分後、ようやく泣き止んだ俺たちは、改めてお互いの気持ちを確認し合う。
gt「rd、俺はお前が好きだ。お前が嫌だと言っても離したくない…それくらい、お前のことを愛してる。…恋人になってくれますか?」
rd「もちろん…俺も、ずっとgtのこと大好き。俺も、離れないし、絶対に絶対に離さない」
俺たちは、晴れて恋人になった。再度抱き合い、お互いの存在を確かめ合う。すると、rdは、「 今まで隠してたけど…」と言って、囁く。
rd「俺、gtとずっと…そういうこと、したかった///」
gt「…え?」
恥ずかしそうに頬を赤らめて、目を泳がせていた。
rd「今まで、一回もしてくれなかったから…興味ないと思って」
俺は、そんなことないと言うようにキスをする。rdは、目を見開いて驚いたが、次第に俺のキスに応じてくる。長く、濃厚なキス。お互いの理性を焼き切るように、深く深くつながる。やがて口が離れ、銀の糸が切れる。rdの目はすでに蕩けており、幸せそうだった。
gt「んはっ、可愛い。俺もずっと、こうしたいと思ってた。…付き合った記念に、一回してみる?」
rd「…うん、する///」
その夜、俺たちは一回では終わらず、何度も何度も、深く繋がった。初めての行為は、一生忘れられないものになるだろう。
その後、rdは仕事を辞めて、俺と一緒に暮らすようになった。家に帰ってきた時にrdがいる幸せ、それだけで仕事なんか苦じゃない。俺はもう孤独じゃない。大切な、世界を敵に回しても、守りたい大好きな人が居る。
gt「rd、大好き、愛してる。一生、一緒に居てくれるよね ?」
rd「もちろん、離れないし、離さない!愛してる」
俺たちの愛は留まることを知らない。この執着の沼からは、抜け出せないだろう