一歌「…どういうことですか?」
できる限り顔に笑顔を貼り付ける。もちろん、内心は焦りすぎてやばい
愛莉「ほら、そうやって笑顔を貼り付ける」
なぜバレたのか
愛莉「どうして分かったのか知りたいって顔ね」
一歌「う…」
見透かされてる…さすがアイドル…?
愛莉「それで、教えてくれるかしら」
一歌「それは…っ」
教えたい。救ってほしい。助けてほしい…!でも…言葉が喉につかえてる感じがする…
愛莉「教えられない?」
図星だ
一歌「教えたいのに…教えられ、ないんです…何でか、分からないけど…言えなくって…っ」
愛莉「大丈夫よ」
私の震える肩に桃井先輩の優しい手が触れる。あたたかい。今なら、きっと…言える
一歌「…小さいときのことなんですけど」
愛莉「…!」
桃井先輩が教えてくれないと思っていたのか、ものすごく驚いた顔をした
愛莉「えぇ!聞かせて!」
覚悟を決めて、桃井先輩は言った
小さい時は、まだ良かった方だと思う。咲希達も元気で…こんな毎日が続けばいいな。そう思ってた。だけど…咲希が遠い病院に行くと知らされた時だった
一歌(幼)「えっ?咲希、遠い病院に行っちゃうの?」
穂波(幼)「咲希ちゃん…」
私と穂波はすごく…悲しかった。志歩だってそうだと思う。だけど、志歩が言った言葉は…
志歩(幼)「…一歌のせいでしょ」
「私のせい」だった
一歌(幼)「私の、せい…?」
私はひどいショックを受けた
穂波(幼)「志歩ちゃん⁉何言ってるの?誰のせいでもないよ…」
穂波が志歩をなだめる。ただ、志歩は続けて言った
志歩(幼)「一歌が…一歌ちゃんと見てたら!咲希の異変に気づけてたら咲希は…遠い病院なんかに行かなくても良かったのに…」
「私のせい」この言葉が脳内に響き出す
一歌(幼)「…っ」
私は、今にも泣きそうな顔をしていた。もちろん、志歩も穂波も
一歌(幼)「…めん…さい」
穂波(幼)「一歌ちゃん?」
途切れ途切れに聞こえた私の声は、震えていた
一歌(幼)「ごめんなさい!私が…私が咲希のことをもっと見てたら…咲希は…っ」
自分でも思う。どうして、謝るのだろう。でも、小さいときの私はそんな事を考えないで走りだした。
穂波(幼)「一歌ちゃん!」
頬を伝う涙を、無視して。穂波の声も、無視して
一歌(幼)「あれ、どこだろう…ここ」
無我夢中で走り続けた私は、知らないところに来ていた。少し遠くから海の音がする
一歌(幼)「…海みたいに、溶けれたら良いのに」
コメント
7件
一歌ちゃん辛そう… ほんとにお話好きすぎます︎🫶🏻︎
やっぱり凄すぎる… いっちゃん…辛いよね…