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一歌(幼)「私、何がしたかったんだっけ…」
かすかに聞こえる波の音を聞きながら呟く。今私がいるのは、公園だ。志歩たちがいる公園ではない。迷子にならないようにとスマホを持たされていたので迷子にはならなかったが…家に帰ると叩かれたりするので少しだけ休憩しようと思った。
一歌(幼)「あ、夕焼け…綺麗」
オレンジから青のグラデーションが雲しかない空を染めあげる。ちらちらと星が見える。
一歌(幼)「…咲希も、この景色見れてるかな。あ、でも咲希すぐ寝るからもう寝ちゃってたりするのかなぁ?w」
遠い病院に行った咲希にはもう会えないのかも知れない。でも――
一歌(幼)「また4人で、一生に星を見たいなぁ…」
この想いは、私の心の支えになっていた。
高校生になって、咲希は戻り、「Leo/need」を結成。その時が絆の崩壊の合図だった。
一歌「♪――――――!♪―――――!!」
咲希「ふ〜…出来たね!」
一曲を全員で通した時に、穂波が言った。
穂波「うん!みんなが個人でやると難しいって言っていた場所もみんなとやるとすぐに出来ちゃったね」
一歌(みんなと…か)
なぜか、“みんな”という言葉に違和感があったのだ
志歩「うん。ところで、一歌」
志歩が私に話題を振った。
一歌「え?何?」
なんだろう。そう思って聞く。
志歩「一歌、中途半端で演奏してるんじゃない?」
一歌「…中途、半端…?」
思いも寄らない言葉が返ってきて私の思考は停止した。
一歌「ど、どういうこと?中途半端って…」
納得が行かなく、もっと詳しく説明してほしい。そう頼んだ。
志歩「一歌、私達がフォローするからって調子に乗りすぎ。ちゃんとやってほしいんだけど」
“調子に乗りすぎ”…?
穂波「志歩ちゃん…!」
志歩「穂波も思ってたでしょ」
穂波も…?私には状況が分からなくなった。
穂波「…っ。そんなこと…」
そういう穂波は、何かためらっているような雰囲気だった。
咲希「…………」
咲希は黙って見てるだけ。スタジオの中は、ピリピリとした空気で満たされていた。
志歩「一歌、私達の邪魔しないでよ。どうせ、プロになるって嘘だったんでしょ?」
一歌「そんなことない!!」
邪魔?嘘?そんなわけないでしょ。私の心は、怒り、悲しみ、絶望、様々な感情が混ざり合っていた。
一歌「…ごめん。今日は帰る」
もう、話せない。これ以上は。そういう風に感じた私はそのスタジオを後にした。
咲希「いっちゃん…!」
咲希の止める声も、その時は「構わないで」としか感じなかった。その日から、みんなは変わった。
前みたいに、仲良くはしてくれなくなった。話すことがあるなら、バンドの話だ。だが、私の意見は無視される。
ただ、ボーカルがいなければ成り立たない。と志歩が言っていたので、Leo/needは健在している。
**もう一緒にいたくない。**そう思っていたけど、セカイだけは消えなかった。