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Neutral Keeplayに柊 愛を迎えに行ったヲノとダイン。

ちょうど愛がNeutral Keeplayから出てくるところだった。

愛はNeutral Keeplayの出入り口からNeutral Keeperの方と親しげに話しながら出てきて

そのお見送りをしてくれたNeutral Keeperの方にお辞儀をした。

見送ったNeutral Keeperの方もお辞儀をしており、愛は先に顔を上げて

Neutral Keeperの方も顔を上げてから、また軽い会釈をしてから手を振りながら振り返った。

「柊さん!」

ダインが笑顔で大きく分厚い手を挙げる。そのダインに気づいて上品にお辞儀をする愛。

「ちょうど迎えに来たところです!」

「わざわざすみません。ありがとうございます」

と頭を下げる愛。

「いえいえ!んじゃ!オレらの行きつけの居酒屋行きましょっか!」

とダインが心なしかルンルンとした背中で歩いていく。その背中について歩いていくヲノと愛。

「あ、…あの…」

女性と1対1で話すのは人生で片手で数えるほどしかないヲノ。

緊張で口籠るし、吃るし、詰まるし、目線は泳ぐし、そんな不自然な、不審な言い方で愛に話しかけるヲノ。

「はい?」

「あ、え…。あの…お酒…大丈夫だった…ん、ですか?その…体…」

「あぁ。はい。担当してくださったNeutral Keeperの方に確認しましたら

飲みすぎなければ大丈夫とのことでしたので」

と微笑む愛。ヲノは女性に微笑みかけられたことなどほぼないので、顔を真っ赤にして背けて

「あ、そ、そうですか。よ、よかった…ですね」

と言った。愛はそんなヲノを笑うこともなくただヲノの後頭部に向かって微笑み

「ご心配ありがとうございます」

と言った。そのままダインを先頭に愛、ヲノの3人はいつもの行きつけの居酒屋へ向かい席につく。

すぐに武器屋のおっちゃんも合流して4人でお酒を頼んで乾杯することに。

「じゃ、柊さん。退院おめでとうということで」

「退院なんてそんな大層なものではありませんが。…すいません。ありがとうございます」

「乾杯!」

「乾杯!」

「…乾杯」

「ありがとうございます。乾杯」

居酒屋内には金髪や赤髪、青髪などカラフルな髪のエルフや

ゴツゴツした岩のような体格のムスコル族、茶髪、金髪が多いベーサーが多い中

1人スラリとした綺麗な黒髪のニッポンジンの愛は一際目立った。

「よお旦那(武器屋のおっちゃん)。なんだい?娘かぁ?」

と常連のムスコルのおっちゃんに半笑いでからかわれたり

「ダイン!こんな綺麗な子捕まえて!どした!」

とエルフのお姉さんにからかわれたり

「誘拐か?」

とエルフのお兄さんにからかわれたりするくらい目立っていた。

「すまないな。こんな騒がしくて汚いところで」

と武器屋のおっちゃんが言うと

「誰が汚い店だ」

と武器屋のおっちゃんの頭に肉料理の盛られたお皿を乗せるエルフのお姉さん。

「ま、たしかに綺麗な店ではないけどな?」

と言った後、愛のほうを見る。

「あなたニッポンジンでしょ」

「はい」

「ニッポンジンには口に合わないかもしれないし、たしかに騒がしいけど

よかったら楽しんでってよ」

とニカッっと笑う。

「あ、はい。あ、いえ!はい。お世話になります」

とペコッっと頭を下げる愛。エルフのお姉さんは微笑んで仕事へ戻る。愛は居酒屋内を見回す。

武器屋のおっちゃんは頭に乗せられたお皿をダインと協力してテーブルに乗せる。

「いいとこですね」

「そおか?」

「はい」

「でも…ニッポンジンなら…水人機械之都(みずときかいのみやこ)に…もっと…いいとこ…あるでしょ…」

食べながら喋るダインの頭を叩く武器屋のおっちゃん。

「あ、いえ。…まあ、そうですね。味に関してはもっと繊細な料理が多くて。

あ!ここのお料理が大味とかではなくてですね!?でもお野菜とかも多くて彩り鮮やかで。

でもニッポンジンは静かな方が多いので

これだけ賑やかっていうのは、なんだか新鮮でいいなぁ〜と思いまして」

「そんなもんなのか」

「はい。ニッポンジンは内気な人が多いので」

「そうなのか」

「でも…」

また武器屋のおっちゃんに叩かれると思って、今口の中のものを飲み込んで話を続ける。

「水人機械之都(みずときかいのみやこ)なら他にも種族いますよね?あのぉ〜…」

「マキナ族の皆さんと水民(みずたみ)の皆さんですね」

「そうそう!そうです!あのヒトらはどうなんですか?」

「マキナ族の皆さんはいろいろな方がいます。体のほとんどが機械の方は

オイルや石炭などの燃料が主食となるので、あまり同じ場で食事を摂ることはありません。

体や頭が生身の方は私たちと同じ場で食事をすることはありますけど

元エルフの方だったり、元ムスコル族の方もいらっしゃいますし。

純粋なマキナ族の方は少ないらしく、本当に様々な方がいらっしゃいます」

「へぇ〜」

「水民の方は主成分が水分だったり、水生生物に近い方もいらっしゃいますので

基本的には同じ場で食事を摂ることはないですね。ただマキナ族の方も水民の方もアルコールを摂取されると

私たちのように酔って気分が高揚する方が多く、居酒屋さんなどのお酒の場ではご一緒することも多いです」

「なるほどな」

「へぇ〜。水民のヒトって、あの、スライム状の」

「はい。そういう方もいます。そういう方は地上に上がることが出来るので

私たちと一緒にお酒を飲むこともできるんですけど

水生生物に近い方は呼吸方法が私たちとは違い、エラで呼吸されていらっしゃるので。

ダインさんは水人機械之都(みずときかいのみやこ)にいらしたことがあるのですか?」

「ダインでいっすよ。1回だけ素材を買いに行ったことがあるっす。

たまに掲示板でRichiesta(リチエスタ(お願い))として

水人機械之都(みずときかいのみやこ)にしかない食材とかがあって、それを見かけることはありますけど

Worth(ワース(通貨))は弾みますけど、それだったら浄めのほうがオレの性には合ってるんで」

「オレもRichiestaとして掲示板に貼ってるんだがな。達成率は5割。半分ってとこか。

大体は掲示期限が過ぎるか、要望期間内に達成されず、また掲示板に貼り直すことになるな」

と武器屋のおっちゃんが複雑な表情で言う。

「リチ…なに?」

ヲノが武器屋のおっちゃんに聞く。

「Richiesta(リチエスタ)。ま、いわば「おつかい」みたいなもんだな。

とある花を何輪摘んできてほしいとか、木の実を採ってきてほしいとか

マナトリアを浄めずにWorth(ワース)を稼げる方法だ」

「へぇ〜」

「ただ。だいたいの場所にマナトリアがいる。そりゃそうだよな?

マナトリアがいない場所なら自分で取りに行けばいい。

マナトリアに襲われる危険性があるからこそLimpiador(リンピアドール)たちに頼むんだ」

「ま、そうか」

「で、Richiestaとは別でQuest(クエスト)っていうのがあって、それがマナトリアの浄めの依頼だ」

「クエストは知ってる。ゲームとかアニメであるし」

と話していてハッっと気づいた武器屋のおっちゃんが頬を掻きながら

「いや。すまねぇ。本来はあんたの退院祝い&あんたについて聞こうと思ってたのにな」

と愛に苦笑いで謝る。

「あ!いえいえ!元はと言えば命を助けていただいた身なので

私の話より、皆さんにお礼をするほうが本来の目的ですので」

と言う愛に

「なんであんなとこにいたんです?」

とダインが食べる合間に聞く。

「…」

愛は少し言いづらそうだったが

「そうですね。命を助けていただいたのにお話しないなんて失礼なことないですもんね」

と説明を始めた。

「私、水人機械之都(みずときかいのみやこ)のニッポンジンで、祖父、母、妹、私の4人で暮らしています」

ヲノもダインも武器屋のおっちゃんも


祖父、母、妹…聞いちゃいけないやつかな


と思った。しかし愛はニッポンジン。その心を読むことができ

「いえ」

と言った後に説明を続ける。

「父はヲノさん、ダインさんと同じでAlma Limpiador(アルマ リンピアドール)でした。

ダインさんやキャブさんほどではないですが、ニッポンジンにしてはたくましい父でした。

しかしあるときNeutral Keeperの方から連絡が来て

Neutral Keeplay(ニュートラルキープレイ)に行ったときには父はもう息を引き取っていました。

祖母は妹のために薬を探しているときにマナトリアに殺害されました」


妹のために薬?


とヲノ、ダイン、武器屋のおっちゃんが思うと、またその心を読み

「妹は毒に侵されているんです」

「毒?」

「はい」

「毒ならNeutral Keeperの方(かた)が治せるんじゃ」

と言う武器屋のおっちゃんの言葉に、ゆっくり頷くように軽く下を向いて左右に頭を振る。

「ダメなんです。私の母はお腹に妹がいるときにマナトリアに襲われたんです。

幸い私の魔法でマナトリアの攻撃を防ぎつつ、空に救助信号を放ったことで

その場にNeutral Keeperの方に来ていただいて

マナトリアを退けてNeutral Keeplayに行って母の毒は治癒していただきました。

そして妹が無事産まれて、大きくなっていったら徐々に妹の体調が悪くなっていって。

Neutral Keeplayで診てもらったら、そのときは微毒で簡単に治療できると言われていたんですが

治療を試みても試みても毒が治癒されず、詳細に検査してみると、どうやら治療ができない毒なようで。

さらに妹が成長するにつれて成長する毒なようで、過去のことを鑑みるに

どうやら母が妹がお腹にいるときに回った毒が

母の体からもお腹の妹の体からも取り除いていただいたんですけど

お腹の中の妹にはほんの少し回っていたようで

その毒が成長したせいで“未知の毒”となって、Neutral Keeperの方も治療できないようで…」

「なるほど」

「なるほどね」

ヲノも言葉には出さないが納得しているようで、静かに頷く。

「でも、…それとムアニエルになにか関係が…?」

とヲノが疑問を独り言のように、呟くように言う。

「私が小さい頃、祖母が読んでくれた絵本に、どんな病もどんな傷をも癒す薬草があるって見たので

それを探して探して、ムアニエル地帯に辿り着きまして

探していたら背後に気配を感じて、振り返ったときにお腹にもらいまして…」

と自分の腹部を摩る愛。

「なるほど」

「その絵本にはなんて書いてあったんだ?」

「絵本には「どこかのせかいのどこかにはどんなびょうきやけがもなおしてくれる

ふしぎなふしぎなはっぱがあるようで」と」

「なるほど…。手掛かりなしか…」

腕を組んで悩む武器屋のおっちゃんと肉を口に放り込んでから咀嚼しながら腕を組み悩むダイン。

「どこかの世界にはって言ってるなら、この世界じゃない可能性もあるってことか…」

ヲノが呟く。そのヲノの言葉に

「「それだ!!」」

ハモる武器屋のおっちゃんとダイン。目を丸くして静かに驚きつつも首を傾げる愛。

「柊さん。この世界って世界層っていうのになってるって話知ってるか?」

武器屋のおっちゃんが愛に聞く。愛は頭を横に振る。愛に「世界層」のことを説明する武器屋のおっちゃん。

「そうなんですね」

「で」

武器屋のおっちゃんがヲノの頭に大きく分厚い手を置く。

「こいつはその世界層を上っていこうとしてる変態だ」

「変態…」

「誰が変態だ!」

今度はご飯を食べているダインを太い親指で指指して

「こいつもヲノの旅についていくらしい。柊さんもこいつらについていったらいい。

で、その「ふしぎなはっぱ」を見つけてここに帰ってきて、妹さんを治してあげたらいい。

こいつらがボディーガードになる。ま、こいつはまだまだ頼りねぇかもしれねぇがな」

と笑いながらヲノの頭をフードごとぐしゃぐしゃする武器屋のおっちゃん。

「やめっ」

「いいんでしょうか」

「いいっていいって。それになんか…話の中で言ってただろ?なんか」

「あぁはい。私魔法が使えまして」

「そう!それ!」

「一応妹のためにとヒール系の魔法を学びまして。

あと自身守るための防御魔法とちょっとした攻撃魔法なんかも」

「全然いけるいける!よし!おまえたち」

ヲノとダインに言う武器屋のおっちゃん。

「ん?」

咀嚼しながら武器屋のおっちゃんを見るダイン。無言で武器屋のおっちゃんを見るヲノ。

「明日、水人機械之都(みずときかいのみやこ)に行ってこい」

「は?」

「そもそも大陸越えようと計画してたんだからちょうどいいだろ。んで柊さんの家行って説明してこい」

「オレらが!?」

「そりゃそうだろ。オレはここから応援してるからな!」

バシンッっと背中を叩かれるヲノ。

「いっ…て!」

その様子を見て笑う愛。そんなこんなで新しい大陸へ行くことが決定した。

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