16 逢いたかった人。
『失礼しまーす』
『あれ?店長ー、手塚さんは?』
「今日は休みだよ。よろしくね」
『休み…あ、お願いします、』
手塚さん、何かあったのかな。
謝ろって思ってたのに、
カラン。
手塚さんのこと、頭に入れながら、今日の一日が始まった。
・
バイトが終わる1時間前。
『いらっしゃ、、』
「ん?、、、姫野、」
『、渡辺先生、、』
先生、、!!
やっと、来てくれたんだね。
もうちょっと可愛くしてたら良かった。
『あ、こちら、どうぞ。』
「ん。」
「ここで働いてんの?バイト?」
『バイトです。』
「俺、よく来るんだよね。ここ。」
知ってるよ。先生。
だって、探したんだもん。で、ここにしたもん。
『そうなんですか。今週のオススメはいちごオレです。』
「いちごオレ、姫野好きそうだな。」
『すきです。』
「じゃ、それで。」
『わかりました』
すきです、をいちごオレがすきと、思われたよね。
ま、そっか。
『お待たせしました。いちごオレです』
「さんきゅ。」
『失礼します、』
何この会話。
思ってたのじゃない。もっと、
「姫野じゃん。綺麗になったな。」
『そんな事ないですよ、ふふっ』
こんな会話を想像してたのに。
高校生活の時より、距離があるような感じがする、
まぁ、しょうがないのかな、
・
「あのお客さんと仲いいんですか?」
『うわっ、店長、』
『仲がいい、というか元高校教師で』
「…先生ですか。あ、帰られるみたいですよ」
ほんとじゃん、
もう、私が働いてるって知った先生は、
来てくれなくなるかな。
来たくない、って思っちゃうかな。
もうちょっと、話したかったなぁ。
『ありがとうございました。』
この”ありがとう”は、
来てくれてありがとう、だけじゃなくて、
今までありがとうって込めたけど、
気づいてくれたかな、
「姫野、今日何時まで?」
『え?、あと、30分くらい、、』
「30分か、この後ヒマ?」
え!?
『ヒマです、!!』
ちょっと、声を出しすぎてしまった。
「じゃ、桜坂公園で待ってる。」
『え、、あ、はい!』
やった、!!
夜の公園って、、やば。
コメント
9件
最高! これも推す👊🏻🎀
まじさいこう!