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プロヒーローになって3年。とは言うものの、まだまだ新人のうち。事務仕事、雑用とやること学ぶことがたくさんある。そんな中で街のパトロールが唯一、ヒーローをしているという実感が湧く仕事である。
「(今日も平和だな。)」
指定されたコースの巡回を終えて事務所に戻ろうとすると。ひったくりと叫ぶ声と共にひったくり犯のバイクが切島を追い越した。
「さっき巡回したとこだっつーの!!」
追いかけながら応援を呼ぶ。こういう時に、爆豪や緑谷みたいに素早く追い付けたらと思いながら必死に走る。
「(くそぉ、待ちやがれぇ~!!)」
体力の限界を覚悟した時、黒いバイクが物凄い勢いで切島を追い抜いた。
「(あいつらの仲間か!?)」
と思っていたら。ひったくり犯から取り返した鞄を持って戻ってきて、持ち主に返している。そして、ひったくり犯は応援にきたヒーローに確保されていた。
「あ、あの。鞄取り返してくれてありがとうな。」
一瞬の出来事に呆気にとられながらも、バイクの主に声をかける。
「あんた、どこの事務所に所属してんだ??」
バイクの主は無言で自分を指さす。首を横に振ったと思えば、ヘルメットを外し。
「ごめんなさい。私ヒーローじゃないの。ただの通りすがりのバイカーよ。」
「…えー!?」
パトカーのサイレンに負けないくらい、切島の驚きの声が街に響いた。
久しぶりの休みの日。
「この前のひったくり事件、めっちゃネットでバズってたな。」
と、上鳴。今日はオンラインで上鳴と爆豪とゲーム中。
「らしいな。あんまSNS見ないからわかんねーけど。」
「あの美人バイクレーサーの鋼舞衣ちゃんを知らねえんだもんな。」
「任意聴取で知ったんだ。最初は男のヒーローかと思ってマジでびっくりした。」
上鳴が言う、鋼舞衣とは。デビューから今までのレースの賞を総ナメにしている、若手レーサーである。切島のスマホが鳴ったので見てみると、上鳴から舞衣に関する画像が送られてきた。
「見た見た??」
「おう。見たけど…。」
バイク専門誌の表紙を飾っている舞衣の服装。ぴっちりとしたバイクスーツに大胆に開いている胸元のチャック。上鳴の悪意を感じる…。
「もうちょいマシな画像なかったんかよ。」
「舞衣ちゃんが女の子だっていう証明。」
「それはもう、任意聴取で解決したから。」
「でもやっぱり凄くない??このナイスバディから繰り出されるバイクさばきはマジで凄いから!!あ、やべっ!?」
「なにやられてんだコラァ!!」
上鳴キャラがモンスターにやられたところで、やっと爆豪が会話に入ってきた。
「わりぃ~!!もっかい張って!!」
「ちっ!!次失敗したらブッ飛ばす!!」
「(確かに美人…。すげーな。自分の体の倍もあるバイク乗るんだから…。)」
クエスト準備中、切島は舞衣のプロフィールやらを検索する。
「おーい、鋭ちゃん。」
「はよボタン押せや。」
2人の声で我に返る。
「わりっ!!」
「舞衣ちゃんのこと調べてた??」
「調べてわりーかよ。」
「照れるなよー。な、美人だろ??」
「美人はとにかく、自分より大きなバイク運転するんだからすげーなって。」
「だよな~。おれもあんなバイク乗ってみて~!!」
「てめぇに倒れたバイクが起こせるかよ。」
「バイクが起こせないとまずいのか??爆豪。」
「自分より何倍も重いバイクを起こせないと免許すら取れねーぞ。それこそ事故った時に動かせなかったら大変だろ。」
珍しく丁寧な説明に、2人は関心する。
「爆豪も、舞衣ちゃんのこと気になってきた??」
「調子乗んなよアホ面ァ??」
「んー??って!!いやぁ~!?」
また上鳴キャラがモンスターにやられた。
「ブッ飛ばすっつったろ!!」
「オレが張るから、次失敗したら違うゲームやろうぜ。」
「頼む鋭ちゃん!!」
「(もう1回、会えたりしないかな…。)」
そんな淡い思いを巡らせながら、ゲーム三昧の1日は過ぎていった。