しらゆいを拾ってから不思議な日常が続いた。
「あら〜、しらゆいちゃん!こんにちわ」
「こ、こんにちわ、」
「挨拶できて偉いわねぇー!はい、お菓子あげちゃう!」
「あ、ありがとう、」
「黒龍様!またいつものやってー!」
「好きだなぁこれ」
そう言って村の子供を抱き上げ空高くまで上げる。
「きゃー!笑」
「次俺もやって!」
「わ、わたしも!」
「順番だぞ?」
「黒龍様、いつもありがとうございます、💦」
「村の人々の笑顔を守るのが仕事だからな。それにあいつとの約束だしな」
「、!雨、、ふる、、」
「あら、そうなの?」
「うん」
「しらゆいちゃんはそんなことまで分かるのね!」
するとさっきまでの晴天が嘘かのように、綺麗に澄んでいた青い空は薄暗い雲におおわれポツポツと雨が降ってきた。
「あら、ほんとに雨が降ってきたわ」
「みんな!お家の中へ入んなさい」
「「「はーい!」」」
「黒龍様方も上がっていきますか?」
「いえ、お気遣い感謝します。私達は、もう帰ります。」
そう言ってしらゆいの手を引き2人は山の中へと帰っていった。
「あめ、、止まないね、、」
「あぁ、でもこの雨が村の人々の助けにもなっているんだ」
「ふーん」
「黒珀はお菓子ってたべたことある?」
「ん?あぁ、多少はな」
「これ、おばちゃんに貰った」
「!」
しらゆいが持っていたのは巾着袋に入った色とりどりのあめが手元にあった。
ふと、昔の記憶が蘇る。
『見てー!黒珀!』
『ん?なんだ?その丸い物体』
『飴だよ飴!食べたことない?』
『あぁ』
『もったいない!人生損してるよ!』
『食べた方が損すると思うけどな』
『黒珀はそう言って新しいものとか食べないんだから』
『自分の好きなものを見つけると厄介だからな』
『?厄介?』
『自分の好きな物が分かって、いつかそれがなくなったら、悲しくなるからな。特に食べ物はどれだけレシピ通りに作っても、その味にならないこともある。』
白結は眉間に皺を寄せ思い悩んでいると、何か吹っ切った顔で袋に入った飴を人差し指と親指で持ち
『えいっ!』
黒珀の口に雨を放り込んだ
『んぐっ?!』
『、、、うまい、』
『でしょ?!それは、蜜柑味!』
『蜜柑、、、』
『黒珀は、何味が好きなんだろうね!』
「今食べてもいい?」
「あぁ、お前は何味が好きなんだろうな」
「この、白いの食べる」
「あ、それは、」
「!?か、、からっ、、!?」
「それはハッカだ、、」
「からい、、」
目に涙をため今にも泣きそうな顔をしていた。
「あー、ほら、だせだせ」
黒珀が手に持っていたちり紙に飴をだした。
「ハッカの飴は俺が貰おう。」
「黒珀は、大丈夫なの、、?」
「?あぁ、スースーするだけだしな」
「黒珀は、何味が好きなんですか?」
「俺か?、俺は、、、蜜柑味が好きだ。」
暗闇のなか提灯を持ち、茂みの中を慣れた足取りで歩いていく。空には満月が浮かび、月明かりに負けないくらい数多の星々も輝き提灯などいらないくらいに空は光り輝いていた。
「ついた、」
黒珀がいたのは山のふもとだ。
集落だけでなく、村の近くの大きな湖も隣の集落も木々の邪魔がなく村の活気や自然が見れる所となっていた。
そんな所にお墓があった。手入れが行き届いていて墓の辺りの雪は除雪されていた。
「久しぶり、白結。」
「最近、妙な子を拾ったんだ。お前とどこかにていて、姿もどこかお前の面影があるんだ。」
「そいつが今日飴をもらってな、お前の好きなスモモ味の飴を少し貰ってきたぞ」
そう言ってすももの味がする飴が数粒入った巾着袋を墓の近くに置く。
「お前の好きな花は暖かくなるまで供えることはできないわ、ごめんな、」
「、、ここ、いいだろ、、お前の大好きなこの集落をみれる。景色もいいだろ?」
墓を手で撫で、どこか寂しく、儚げな視線を墓におとす。喋ることなく静寂な夜、黒珀の綺麗な黒い長髪が月明かりに照らされて輝きながら風に靡かれていた。
「お前、、早く帰ってこいよ、、、力なんか俺があげるのに、、」
「今更か、。またな」
そう言って黒珀は深い森の中へと消えていった。
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