テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!
ゲームは全員がルールを知っているからという理由でババ抜きになった。滞りなく淡々と進み、やがて最終局面。
1番最初に「この俺がNO.1なんだぞ!!」と言いアルフレッドが上がった。
その次は「恐れ入ります」と菊が、(アーサーは恨めしそうに睨んだ)そのまた次にアントーニョが「なんか手持ち全部出せたわー」と勝負を抜けた。
さあ残るはいつも不憫な目に遭っている2人、ギルベルトとアーサーだ。お互いに睨み合って、カードを引き合う。一手一手がどんどん慎重になってきて、ここまでくるとほぼほぼ心理戦だ。
この勝負を制したのは、、、
「、、、っくっっっそおぉぉ!!!」
「ケセセセ!!残念だったな!!!勝利の女神は俺様に微笑んだようだぜ?」
「うっわぁ、、、まっじか、、、、」
「大人しく負けを認めるんだぞ、アーサー」
そう、1体1の戦いに勝ったのはギルベルトだった。そして、最下位、すなわち罰ゲームに苦しめられることになる対象はアーサーに決定した。
「、、、本当に言わなきゃダメか?」
「駄目です(即答)」
(数秒の間)
「、、、、、、、、、 い、言いたくねえぇ、、、」
「まあまあ、お前の好きな奴がどんな相手だって否定はしないぜ?」
「でももう今更感ないかい?」
「眉毛の好いてる人なんてもう知っとるしなぁー」
「確かにそうですね」
「、、、え?」
「面白みに欠けるんだぞー、もう結構前から気づいてるし」
「コイツ分かりやすいもんな」
「ふふ、バレバレですよね」
「え、ちょ、」
「意外な相手ーとかでもないしなー、知った時驚きもせんかったわ」
「態度に出すぎ。まあ相手には伝わってないけど」
「ウブな感じですよね。いつも見守っていましたよ」
「、、、ななな何だよお前ら!?じ、じゃあ相手言えんのかよ!?」
「「「「フランシスさんですよね?」だろう?」やんな?」だよな?」
普段はバラバラな4人の声が、初めて重なった瞬間だった。さも当たり前かのように発せられるその名前は、直前までアーサーの頭の中にあったものと一致していた。
まあつまり、そういうことだ。
「、、、、、、、なんっで知ってんだよ、、、」
「ケセセ!知られていないとでも思ってたのか?」
「オーラ出すぎなんだよ。アーサーは」
「私達だけではなく多分他の人達も知っているかと」
「、、、、、、嘘だろ?、いつから気付いて」
「んー前々から予想は大体ついてたけど、まあはっきりしたのは同クラになってからやな」
「いや結構経ってるじゃねーか!!えそんな最初から?今まで?、、、俺そんな分かりやすかったか、、、?」
顔が信号機のように赤くなったり青くなったりする様をじっと一同は観察していた。彼は大分顔に出やすいので見ているだけで面白い。
「あれ〜?どしたん眉毛〜(笑)別に外れとらんやろ?」
「いやーあのアーサーがアイツのこと好きだなんてなー知らなかったぜー(棒)」
「ちっ、違、、、、っお前ら、、」
「えっ!?もしかしてアーサーさん、別の人がお好きなんですか!?いや〜私達てっきり貴方はフランシスさんのことが好きなのかと〜いやー勘違いでしたねーあんなにわかりやすい態度とってたのにー、ねー あらー、好きじゃないんですねー?」
「、、、、っ!、あーもう!!そうだよ!!俺はフランシスのことが好きだよ!!結構前から!!悪いか!!、、くっそ、何でこんなこと言わなきゃいけねーんだよ、、、 」
アーサーはほぼ吹っ切れて宣言した。
その数分後、、、
「、、、しにたい」
遅効性の羞恥心が襲ってきたアーサーは布団に包まり、そう呟いていた。
髪の隙間から見える耳は先まで真っ赤に染まっている。対して、その周囲はこの光景を大変微笑ましく見守っていた。具体的に言うと、 まず菊は、メモ帳を取り出し慣れた手付きで何かを書き込んでいる。ちなみに中身は誰も見たことがないが、想像がついているので誰も見ようとしない。
そしてアルフレッドは、布団に包まったアーサーを木刀(菊が昼間買ったやつ)の先でつついていた。 その現場をアントーニョとギルベルトが携帯(没収対象)で撮影している。各自写真担当、動画担当に分かれて撮っているが、笑いを堪えきれないため手ブレが激しい。
以上が、この部屋の現状だ。微笑ましく、というよりも半ば面白く思っているだけのような気もする。
ひとしきりアーサーをつつき終えたアルフレッドが顔を上げた。
「そうだ、折角質問攻め出来るんだから、出来る限り色んな事を聞き出したらいいんじゃないかい?」
「アル??」
「そうだな、相手は知っててもまだまだ知らねえことがある」
「せやな!」
「ではまず私からよろしいでしょうか。お相手のことをいつからお好きになられたんですか?」
「ぅっ、、、いやまじで聞くのかよ、、、 」
「あれ〜?何やったっけな〜最下位の人は〜?」
「、、、必ず質問に答えなければいけない」
「よな!ほら早よ早よ〜」
「だー!!しつけえな!もう、、、、子供ん頃だよ。小学生、とかそんくらい」
「あら、大分お若いんですね」
「まあ分かるぜ。あのフランシスもガキの頃は随分と可愛らしー見た目してたからな」
「!?えっそうなのかい!?」
「せやせや。近所の児童館でも女の子に混ざれるくらい見た目詐欺やったなー。ほんま何であのまま育ってくれへんかったん」
「全っ然想像つかないんだぞー、、、、で、アーサーはその詐欺に遭ったと」
「、、、別に騙されちゃいねえよ、、、アイツ、俺にも優しくしてくれたし、、菓子とかくれたし、、、」
「、、、お前さー、あれだろ。初恋なんだろ?」
「っっ!?は!?」
「おっ、図星やな。まあそんなちっこい頃から一緒なら当然ちゃう?」
「結構長い時間一緒にいるんですね。」
菊はメモにペンを走らせながら続けた。
「では具体的にどこが好きなんですか?」
「、、、、、、、、、、、、、、、 顔」
「顔かよw」
「随分と間が空きましたね 」
「だっ、て仕方ないだろ、他にどう言えばいいんだよ」
「いやいやもっと何かあるやろー?ほらさっきも言っとった優しいとこーとか、お菓子くれるとこーとか!」
「、、、まあ、確かに、アイツの菓子の味は悪くない、よな、優しい、というかまああの性格もむかつく時はあるけど、案外合うっつーか、、、 っというか別に顔っつったって俺が面食いな訳じゃねーからな!?顔、っじゃなくてなんていうか、、、表情、とかだよ、」
「いや絶対それだけじゃないでしょう」(ふふ、素敵ですね)
「菊、多分やけど心の声と現実の声逆になってるで」
「ほら、その一部しか好きじゃない訳じゃねえだろ?」
「、まあそりゃ他にもあるけど、、、って何言わせようとしてんだよ!べべべ別にアイツが髪の毛縛ったり服装固めてる時が好きとか俺にだけ喧嘩ふっかけてくるのが悪い気しないとか意外と周りのことを気にかけていてそういう所にちょっとグッと来るとかそんな事全然思ってないんだからな!?」
「頼んでないものまで言っとるwめっちゃ早口やん」
「分かりやすいというかほぼギャグだなこれ」
「典型的なツンデレですね」
「、、、はぁ、まったく、なんで男同士の惚気話なんか聞かなきゃいけないんだい」
「っあーもう!!だから!!俺には元々そういう趣味はねえ!!!」
「分かってる分かってる。フランシスだけ特別、だもんな?」
「っ!!!?」
「ちょっギル、あかん、、、w眉毛トマトみたいになっとるwww」
「お、お前ら〜、、、!!」
アーサーは、もうこれ以上染まる場所が無いぐらいに身体を真っ赤にさせながら、涙目で睨んだ。が、周りには効果は無い、逆にメンバーの5分の2に煽られる。
消灯時間からとっくに2時間は過ぎていて、そろそろ大声で騒ぐと怒られる時間帯になってきたが、この部屋の班員は誰も気づくことはできなかった。