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ふわふわと甘ったるい慣れない空気。

どうしようかと無意味に制服のベストのボタンを触ってみる。


(なんて返したら、彼女っぽいのかな……わかんない)


彼女っぽい発言どころか、普通の会話でさえも緊張が勝ってしまっていてきっとままならない。


「あ! それよりもさ、お前今スマホ持ってる?」


話題が変わって、ガラリと一瞬で空気も変わる。

正直『それよりも』どころではない。


「え? あ、スマホ? ……あれ、ゴメン多分引き出しの中だ」


ないのだけれど正直に言えるはずもなく。ポカン、としたまま真衣香が答えると。


「じゃ、総務まで一緒に行こ。 連絡先、知らないとかビビったし」

「わ、私も知りたい! 休み中連絡できなくて、その……金曜日の事私の妄想だったらどうしようって、そんなの嫌だなって!」


(休みの間坪井くんも連絡取ろうとしてくれたんだ……!)


その事実が嬉しくて土日の自分の葛藤を、ありのまま言葉にしてしまう。


「妄想?」

「あ!? えっと……その、酔って夢見てただけとかのオチなんじゃ? とか、その……ちょっと不安で」


しかし言いながら恥ずかしくなった真衣香は段々と声が小さくなる。

反応が気になり坪井を見あげようとした瞬間だ。

吐息が耳を刺激した。


「残念でした、現実だったな」

いない歴=年齢。冴えない私にイケメン彼氏ができました

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