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普通科の生徒とヒーロー科の生徒の関わりが少ないのと同じように、教職員もあまり関わりがない。が。一般教科の単位取得に美術も入っており、その成績を共有するため美術教師の彼女とは少し関わりがある。
「心絵先生、あいつらどうです??真面目に授業受けてます??」
「はい。みんな“がっぽーい!!”って、楽しんで受けてくれてます。芸術に日頃の思いをぶつけてるので、見ていて楽しいです。」
「そうですか。」
「今度、校内でデッサンの授業をするんです。お時間あれば覗いていってください。」
「分かりました。じゃあ、HR行ってきます。」
「いってらっしゃい。」
今日はたまたま、そんな会話をした。彼女、心絵美樹の個性は“デッサン”。描いたものが具現化される。ヒーローとしてもなんら申し分ない立派な個性だ。
そして。
「(今日はたしか、デッサンの授業だったな。)」
ひととおりの仕事が落ち着いたので、校内を探してみることに。
「(いたいた。)」
中庭の花壇の周りに生徒達が集まっている。
「(先生をモデルにするとは…。)」
ため息まじりに、楽しそうにデッサンしている生徒を見ていると、遠めで目が合った。彼女が会釈代わりに微笑んだので、自分は会釈を返してその場を離れた。
放課後、彼女に会いにいく。
「皆、楽しそうにしてたでしょ??」
「はい。しかし、先生をモデルにするとは、授業になってるのかなってないのか。」
「人物描写も立派な授業です。作品、見ます??みんな上手に描いてますよ。」
それぞれ、予想通りに上手いヤツと意外と繊細に描くヤツ。
「ほんとに。あいつらにこんな才能があったとは。」
「そうでしょ。また面白い授業思いついたら、報告しますね。そろそろ部活の様子見にいかないとなので、行きますね。」
「はい。今日はありがとうございます。あいつらの作品、また楽しみしときます。」
終始笑顔だった彼女に元気をもらい、残りの仕事も徹夜ながらも何とかのりきった。