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3人は久しぶりの登校となった。
ハルとトウマは相変わらずクラスメイトに囲まれていた。
ミズキが少し変わったことと言えば、あれだけ続いていた嫌がらせがなくなったことだ。
「雨音さん、久しぶり。」
「霧島君、おはよう。あんまり久しぶりな感じはしないかな。」
管理棟に行けば一生懸命に業務を覚えている霧島を見かけていた。
「来月の文化祭の担当だけど、一緒に飾りつけと入り口の装飾だよ。」
「わかった。」
「ホームルーム始めるぞー。」
担任が入って来る。その後ろから入ってきた2人の姿に3人は固まった。
「急遽だが、今日から2人新しい生徒が来た。来月が文化祭だからな、新しい2人含め、みんなで盛り上げてくれ。」
「奏 アリアです。よろしくお願いします。困った時は助けてください。」
「•••片瀬 ハクト。よろしく。」
「ぶはっ!」
「こら!」
耐えきれずにハルが吹き出した。なんとなく想像はついたが、罰ゲームかなにかなのだろうか。
ハクトとアリアはミズキの近くの席に着く。
「•••アリア、何が」
「聞かないで。」
余程触れて欲しくないのだろう。アリアから殺気が出ている。
「ハクトさんは」
「ほっとけよ。そこのコスプレ女と一緒にすんな。」
「あんたの方がもっと年上なんだからコスプレでしょう。」
「はぁ!?」
「静かに!」
「•••すみません。」
ハクトは静かにアリアを睨み付けた。
休み時間になるとアリアはすぐに囲まれていた。いつもの演技でそつなくみんなと打ち解けていた。
「はぁ、なんで俺が。」
「ハクトさん、理由聞いてもいいかな?」
トウマが近くに来ていた。
「あ?お前ら2人が下手なマネしないか監視だよ、監視。ったく、あの性悪平野、わざわざ俺達指名しやがって。絶対面白がってるな。」
「アリアは歳が近いから。ハクトさんはいくつ?」
「おいミズキ、今それ聞くか?」
「ねぇ、トウマ君、知り合いなの?」
「私達にも紹介してよ!」
たちまちトウマとハクトは女子に囲まれる。
トウマは苦笑いだが、ハクトは愛想もなく無反応だ。
「雨音さん、あの人達別の部隊の人だよね?」
「監視役って。確かに、瓜生さんが来るってなるとね。」
「あー•••。」
霧島は嫌な想像をしてしまった。
そして午後からの文化祭準備ではハクトが着せ替え人形と化していた。
「やっぱりクールな感じが似合うー!」
「ちょっと並んで並んで!」
ハルとトウマはもう慣れっこだ。
「•••なんで俺が•••!」
「まぁまぁ。」
「似合ってんぜ、トウマ。」
「てめっ! 」
ハルの煽りに一気に赤面する。
「あいつら本当に元気ね。」
ミズキとアリアは黙々と内装の装飾を作る。大がかりな看板などはアリアにお願いされた男の子達が請け負っていた。
「アリアも大変だったんじゃない?」
「別にー。ちょっと話したらあんだけ動いてくれるんだから、ちょろいちょろい。」
「•••凄いね。」
「•••あんたはなんで猫かぶってんの?」
「え?」
「訓練中はあれだけズケズケと踏み込んできて、あいつ(ハクト)とはバッチバチにやりあったんでしょ?なのに、なんでここで猫かぶってんの?」
ミズキは押し黙った。
「ミズキ?」
「•••普通になりたかったの。」
「普通?」
「私達、特殊訓練を小さい時から受けてきてそれが当たり前だと思ってた。でも小学校になったら普通の女の子とは違うことばっかりで、孤立しちゃって。力でねじ伏せるのは簡単だけど、そうじゃないのが羨ましかった。トウマもハルもうまくやってるのに、結局、ずっと私だけ失敗してるんだけどね。」
「•••私だけは失敗してないじゃない。」
「アリア。」
「奏さん!どうかな!」
そこに看板を作成した男の子達が戻ってきた。
「凄い!素敵!じゃあ、次は 」
そう言ってアリアは的確に指示を出す。
「雨音さん、完成した?」
「うん。」
ミズキはアリアと作成した装飾を霧島に渡す。
「雨音さんは凄く丁寧にしてくれるから助かる。ありがとう。」
「そうかな。」
ちょうど終業のチャイムがなり、各自片付けを始めた。
アリアとハクトは放課後のカラオケに誘われていた。
その様子を尻目にミズキは花村との待ち合わせ場所に向かう。
トウマも時間差で合流予定だ。
「ごめーん!私、今日はどうしても外せないんだ!また誘って?」
「そっか、じゃあ次はいつにする?」
「じゃあ、パパにいつ行けるか聞いてみるね! 」
「アリアちゃんの家厳しいんだね。」
「•••。」
一瞬ハクトは何かを言おうとしたが、空気を読んだ。
そして早足でミズキと合流した。
「•••奏、お前よくあんなのできるな。」
「感謝と私の出来のよさに尊敬しなさいよ、片瀬。あんたが空気悪くしたんだから。」
どうやらハクトの前ではキャラは作っていないみたいだ。
「ほらみんな乗って!」
丁度花村が到着して3人で車に乗る。
「ミズキ?」
「え?」
アリアがミズキの顔を見る。
「なに?考え事?」
「お前が大人しいとゾワゾワするわ。」
「2人は凄いなって思っただけ。」
「すみません、遅れました!」
ちょうどトウマが乗ってきた。
「あいつは?」
「ハルなら部活だよ。あいつだけは継続許されたからな。」
花村はチラッとトウマをみる。破壊神の子どもである以上、トウマは部活の継続は許されなかった。
「•••引き留められたろ。」
「まぁ•••はい。」
作り笑顔の裏にある感情はわからない。しかし花村は事情を説明した時の顧問の様子を知っている。
トウマの知識量や才能を認めてくれ数少ない人だった。
(ごめんな、トウマ。大将でも、総帥でも、どうしようもなかったんだ。 )
言いたいが言えない言葉を飲み込んで花村は屋敷へと戻っていった。