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~獣人の国 クロヴィス~


 獣人の国クロヴィスは、リーヨンから数千キロ離れた大都市。


 その人口は50万に以上に、及びそのほとんどが獣人である。

 

 獣人とは、基本的に身体能力が人種よりも高く、寿命も人種より長寿。

 

 男性の場合は体毛が獣のように体毛が生えている人もおり、逆に女性の場合は獣耳や尻尾はあるが、その他は基本的に人間の女性と同じである。


 クロヴィスは、軍事に力を入れている国。

 

 街の中心にはこの国の顔とも言える立派なコロッセオが建設されており、ここで日々剣闘士同士の戦いが行われている。

 

 この国の国王その名もフィラー=アレクサンドル・レオ通称”猛き獣王レオ”である。

 

 そしてその国王レオには3人の息子と娘がいた。

 

 クロヴィスでは、代々王家の者は、戦闘における英才教育を施される。

 

 この3人の子供たちはAランク以上の戦闘力を持っていた。

 

 さらにレオ自身は元Sランク冒険者であったため、その武力は民衆から絶大な支持を得ていた。


 レオ自身も相当な好戦的な性格であり、戦いの中から喜びを見出すタイプであった。

 

 そのため、毎年隣国と戦争を起こしており、一部の貴族から恨みを買うこともしばしばあったが、クロヴィスの兵士は隣国よりも強く、幾度となく起こる戦争に勝利を収めてきた。

 

 そんなこともあり隣国からは強国として認知をされていた。


 クロヴィス王の間にてライオンの獣人レオは玉座に腰を据える。

 

 彼はイヌ科の大臣であるパトリスとこれから起こる戦争について話をしていた。


 「レオ様!これより魔王軍が攻めてくるというのにどうしてそこまで落ち着いておられるのですか?」


 大臣のパトリスは尋ねた。


 「王と言う者、毅然とした態度を取るのは当たり前だろ。」

 「お前は何年私のそばに仕えてきたのだ?」


 「それはそうですが―――」

 「今回の相手はいつもと違い、魔王軍なのですぞ!」

 「それもあの伝説の六魔将と新しい魔王が攻めてくるという話ではないですか!」


 「ふむ、”新しい魔王”か・・・。」

 「私が幼少の頃に父上が必死に語っておったな、魔王軍最強の六魔将の強さを。」


 「ですから民衆を逃がす算段をですね―――」


 「そうだな。」

 「ここが戦場になるというのなら、民衆は避難させろ!」

 「戦えるクロヴィス兵は何人だ?」

 

 「は、はい!現在戦闘可能なクロヴィスの精鋭は5万に及ぶかと」


 「よし各部隊の隊長には、装備の確認を怠るなと伝えろ!」

 「そして、ジェネラルクラスと息子たちには後程ここに集まるように伝えろ!」


 「ハッ!かしこまりました!」


 パトリスは跪き、レオの命令に従った。



~1時間後 クロヴィス城王の間にて~



 クロヴィス王国のジェネラルクラスとレオの息子と娘が王の間にて一同に集まった。


 「皆の者よくぞ集まってくれた!まずはそのことに感謝致す。」


 ジェネラルクラスとレオの息子たちは、一斉にレオの前で跪いた。


 「今日ここに集まってもらったのは、これからここに攻め込む魔王軍のことについてなのだが…」


 レオはここにいる者たちのそれぞれ守護する場所を一人ずつ指名していった。


 「我が息子レオンハルトとクロードには、この国の南、商業地区の中枢を守護してもらおう!」


 「ハッ!承りました!」


 「そして、わが娘リオンには、この城にて守護をしてもらいたい!」


 「ハッ!承りました!」


 レオの息子と娘はそれぞれ王の命令に従った。


 そして、全員の持ち場が指定された後、一人の狼の獣人が男が王様に対して進言をする。


 「レオ様!お言葉ですが、今回の戦争においてどれほどの勝算があるとお思いですか!」


 「こら王に向かって無礼だぞ!」


 大臣のパトリスは叱咤をする。


 「パトリスよい!話の続きを聞かせてくれ!」


 「ハッ!無礼を承知で申し上げます!」

 「魔王軍には伝説の六魔将がおります。」

 「その中には私と同じオオカミでありながら魔王軍に味方するリカントがおります。」

 「私は実際に面識がないのですが、奴は私と同じ村の出身であり、その実力はこの世界最強と伝えられています!」


 「奴が出張ってくるとなれば、恐らくここに居る兵士全員で掛かったとしても全滅になることでしょう!」


 男は、リカントの恐ろしさを長々と語った後、後ろに下がった。


 「そうだな。確かにその伝説の通りなら、我が国に勝ち目がないかもしれない!」


 レオは皆を見渡しながら、話を続けた。


 「だが!相手が誰だと言って最初から勝負を諦めることはしないぞ!」

 「私はこの国の王だ!民衆のために全力で戦い、抗う義務がある!」

 「こんな私に付いてきたいものだけ付いてくるがよい!」


 このレオの発言にその場にいた者たちは歓喜の声を挙げ、皆の士気は最高潮に達していった。


▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽


 そして、その数時間後―――


 未央と六魔将のサンドル、エレナ、モレクとその配下の者たちは転移のスキルにより、クロヴィス周辺に赴いていた。


 魔族は長寿な代わりに他の種族に比べ繁殖する必要が少なないため、その絶対数は他の種族に比べ少ない。

 

 そういったこともあり、ここに来た実際の人数は100人にも満たない。

 

 ただし、魔族自体他の種族に比べ、戦闘力が高いのでアリスによればこの人数でもクロヴィスを落とすのは、そう難しくないとのことだ。


 「未央よ!これからどうやって攻めるか何か考えはあるのか?」


 先代の魔王アリスは未央に尋ねた。


 「作戦って程じゃないけど考えはあるよ!」




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