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こんにちは!こうちゃです。

第2話になります。 注意事項は第1話をご覧下さい!

🇬🇧を体調不良にさせすぎた気がします…つい手癖で…笑 ちょっと可哀想なくらい弱ってるのでご注意ください。代わりに面倒見の良い🇫🇷をプレゼントします✨️では、ぜひ楽しんで貰えたら嬉しいです!




やっと得られたであろう睡眠を邪魔してしまうのは忍びないが、かといって起こさない訳にはいかない。


「アーサー、もう着くよ」


軽く肩を揺するとピクリと瞼が動いてペリドットの瞳が現れる。


「大丈夫?立てる?」


「……ん…」


手すりに体重をかけるようにして立ち上がったアーサーの隣で2人分の鞄を担ぐ。最寄り駅の名前がアナウンスされ、アーサーに肩を貸しながら降りた。


「……げ、さいあく…」


そういえば朝の天気予報で午後から雨だと言っていたのを思い出して頭を抱える。電車に乗る前までは全然大丈夫だったのに。天気予報のアプリを開くとこの後さらに酷くなるらしく、ここで雨宿りしたらもっと悲惨な目にあうことは確実だった。


「しゃーない…タクシー呼ぶか…」


歩いて15分の距離でも、この雨の中体調不良で帰るのはいくらなんでも酷だ。高校生にとっては痛い出費だがそんなことを言ってる場合じゃない。アプリを開こうとスマホをいじる俺の手にアーサーの手が触れる。


「ん?どしたの、しんどい?」


アーサーの顔を覗き込むと首を数回横に振って潤んだ瞳を俺に向けた。


「……たくしー…いらない…」


どうやらこの坊ちゃんは自分の状態をまるっきりわかってないらしい。なんで、と聞くと歩くから、といまいち話が噛み合わない返答をされた。


「お金のことなら心配いらないよ」


どうやらビンゴだったらしくアーサーはバツが悪そうにうつむく。


「……でも…いつ、かえせるか…っ…わかんない…から…」


「お前はそんなの気にしなくていいの。 そんなふらふらで歩けるわけないでしょー」


少し咎めるように言うとアーサーは渋々頷いた。この頑固者の気持ちが変わらないうちにとっととタクシーを呼ぶ。しばらく止まない雨を眺めながらタクシーを待っていると、ついに限界が来たのかアーサーがしゃがみこんでしまった。


「しんどい?」


「…っ…ん…」


俺も隣でしゃがんでアーサーの背中を撫でてあげると小刻みに震えてるのがわかった。これは熱が上がるかもなと思いつつ着ていたベストをアーサーの背中にかけてあげる。気休め程度にはなるだろう。程なくして到着したタクシーに抱えるようにしてアーサーを乗せたあと俺も隣に乗り込む。行き先を伝えるとタクシーは緩やかに発進した。


「寒い?」


大きな音がキツいであろうアーサーに普段より小さい声で話しかけると、ぐったりしながら首を横に振った。アーサーの肩にあったベストをそそくさと回収し、窓の外を見る。相変わらず止む気配のない雨はアーサーの病状を表しているようで俺はそっとため息をついた。



「ありがとうございました」


タクシーの運転手さんに一言お礼を言ってお金を支払う。


「……っ…ふらっ…」


もう本当に限界が近いんだろう。瞳に薄い涙の膜を張ったアーサーは、車の背もたれに体を沈めたまま動けなくなってしまったらしい。俺は鞄を背負い直したあと、深呼吸をして気合を入れる。


「…いくよ……お゛いしょっ…!」


少々掛け声が年寄り臭くなってしまったが許して欲しい。いくらアーサーの方が細身だからといって、人ひとり持ち上げるのは気力がいるのだ。運転手さんがオロオロとしてるが心配いらないとにっこり笑って再度お礼を言うと、早々に走り去っていった。


「ほらっ…もうちょいだから頑張って!」


半ば引きずるようにしてアーサーを抱えつつ、少々雨に濡れながら家に転がり込んだ。


「っはぁ…しぬっ…まじでっ…」


「…ぅ…っはぁ……」


肩と腰の痛みを感じながら鞄を下ろすと、アーサーは糸がプツンと切れてしまったように玄関に倒れ込んだ。


「あー!ちょっと!!もうちょい頑張って!」


閉じかけたグリーンアイを叩き起しながら、何とかリビングのソファに寝かせることに成功した。


「……ぁー…あぶなぁ……」


肩で息をしながら顔色を伺うと完全に落ちてしまったようで、その瞳は固く閉じられていた。眉間に寄せられた皺と真っ赤な顔、おまけに荒い呼吸がアーサーの容態の悪さを物語っていた。


「…冷えピタ…あと体温計と薬…」


疲れた体にムチを打って病人に必要なものを揃える。


「はーいちょっと失礼」


念の為声をかけて体温計を挟み、測り終える前に冷えピタを額に貼る。やがてピピピと音を立てた体温計を覗くと、思わずやばっと声が出てしまった。


「40度いってんじゃん…!?」


通りでこんなぐにゃぐにゃになるわけだ。そっと首に触れると、尋常じゃない熱が伝わってきてこっちまで気分が悪くなりそうだった。


「いつもより酷いわ…なんかあったっけ…」


この坊ちゃんはこんなんでも一応中学棟の生徒会長をやっていて、イベントが近づくとこちらが驚く程の仕事をこなしている。タチが悪いのが、忙しくなるとまともにご飯を食べず、睡眠も取らず、おまけに鈍感すぎて自身の体調が分からなくなってしまうというフルコンボ。廃人になる前にちょくちょくうちでご飯を食べさせてはいるが、忙しい時期にはただでさえない体重がごっそり持っていかれて倒れる、という悲劇が起こる。しかし、この時期は体育祭が終わったばかりでなんのイベントも無いはずだ。


「…学校じゃないとしたら…家か…?」


そういえば今スコットが帰ってきてることを思い出す。もしかしたら家での何らかがストレスでこうなってしまったのかもしれない。この坊ちゃんはなんでもない顔をしながら、実はメンタルが常人より酷く弱いのだ。


「本当、不器用な子だねぇ…」


冷えピタのおかげか少し和らいだ顔を眺めていると、ピンポーンと家のチャイムが鳴る。


「はいはーい」


扉を開けるとそこに立っていたのは予想通りの人物だった。

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